2020/09/05
食べ物の話 その25(合鴨)

以前、友人に連れられ合鴨料理を食べに行きました。
琵琶湖の周りで鴨料理を食べていた私は合鴨料理には乗り気ではありませんでした。
鴨は冬の琵琶湖の野生の真鴨だよ、と思っていました。
友人が熱心に勧めるので東日本橋にある「鳥安」へ行きました。
「鳥安」は明治5年創業の老舗で「あひ鴨一品」の看板を掲げています。

その通り相鴨(合鴨)の「すきやきコース」しかありません。
とても雰囲気の良い日本家屋の暖簾をくぐり、6人でしたので二階の個室に案内されました。
料理は決まっていてまず前菜五品盛がでます。

鮭の麹漬、鴨のローストなどで味は普通です。
次に鶏のササミの団子、三つ葉、なめこ、さらし葱の入ったお吸い物がでます。

これはとても美味しいです。
食欲が増します。
続いて鶏のササミと季節野菜のサラダ仕立てが出ます。

鍋をかける美しい炭の備長炭が登場です。

炭火の美しさに見惚れていますと、合鴨の登場です。
胸肉・ササミ・モモ・レバー、嬉しいことに砂肝と心臓が一緒です。

美しい。
ツクネも出てきました。

そして驚くべきは野菜です。
みずみずしさ、寸分たがわぬカットはもはや芸術的です。

さらに大根おろしです。
完全な球形です。
まるでシャーベットのようです。

この大根は大吟醸のように中心の部分だけをおろしたものだそうです。
ほぼ半分になってしまいます。
これで主役は揃いました。
中居さんが年季が入った鍋に鶏の脂をたっぷり敷きます。
この鍋には小さな窪みがあり、そこに脂が貯まるようになっています。
物によってはそこに入れて仕上げに焼きます。
はじめに葱、椎茸、鶏肉を並べて焼きます。

鴨肉の味は素晴らしいものでした。
以前食べた野生の真鴨より美味しいかもしれません。
鴨とアヒルを掛け合わせた合鴨を軽視していました。
しかしよくよく考えれば両方の美味しいところが出るように人間が作ったものですからまずい訳がありません。
脂が乗った胸肉を中居さんが取ってくれます。
おろし醤油で食べます。
もちろん一緒に葱です。
至福のときです。
そして中居さんが手際よくつくねを丸めて鍋に入れます。

ツクネもしっとりして歯ざわりもとても良いです。
いよいよ砂肝・ハツの登場です。

とても小さいですが、コリコリして独特の味で大好きです。
すき焼きは絶品でした。
合鴨の美味しさを堪能しました。
しかし美味しさはそれだけではありません。
締めの鴨肉のそぼろご飯です。

これがとても美味しいのです。
さらに絶品なのが今まで焼いていた鍋にご飯を入れ細かくした鴨肉と醤油をかけて作る鴨炒めご飯です。

これを食べて完全です。
最後にはデザートの和風プリンが出ました。
素晴らしい食材を丁寧に調理し伝統の技で食べさせてくれた老舗に感謝です。

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