FC2ブログ

石の巡礼 その24(鮭立磨崖仏)

AA1_0299のコピー
東北地方に磨崖仏はあまりありませんが、福島県だけは磨崖仏の宝庫です。
浜通りには平安後期の磨崖仏が、中通りには鎌倉時代の磨崖仏が見られます。
また県内には江戸時代に流行した西国三十三観音を彫った磨崖仏がいたる所に見られます。
今回訪れる磨崖仏は江戸時代のものですがとても変わった磨崖仏です。
場所は南会津の只見川のほとりにある銀山町横田にある鮭立という集落にあります。
ここに行くのはかなり大変です。
私は会津方面から南下して只見線に沿って行きました。
とても景色が素晴らしいところです。
鮭立14
只見線は2011年の新潟・福島豪雨災害でズタズタになりその後復旧しましたが、未だ横田を含む会津河口から只見の間は不通です。
鮭立磨崖仏は集落の南西の山麓にあります。
この辺りは日本一美味しい金山赤カボチャの産地で磨崖仏の周りはカボチャ畑です。
鮭立2
滅多に手に入らないのでお土産に買って帰りましょう(重くて邪魔になるが)。
鮭立1
この磨崖仏は天明の飢饉や天保の飢饉の惨状を見て、現在の岩淵家の祖先である修験者の法印宥尊とその子の法印賢誉が五穀豊穣と病魔退散を祈って彫ったと伝えられています。
鮭立3
石工が彫ったものでは無いのでとても稚拙ですが、それがとても良い味を出して不思議なムードを醸し出しています。
そこは浅く細長い洞窟で、中央部の壁面は壁全体が奥まった形に掘りこまれていて、その左面と正面に40体ほど像が刻まれています。
鮭立4
鮭立5
鮭立6
鮭立7
総数は51体です。
この辺りは豪雪地帯なので雪よけの覆いが前面にかけられています。
修験道の主尊の不動明王を中心に如来菩薩明王天部の各尊像が配置されています。
正面の中央には不動明王が龕の中に彫られており、左右には矜羯羅童子と制咜迦童子が彫られています。
鮭立8
その上下に摩滅が進んでわかりにくいのですが、他の6童子が彫られています。
左側には飯豊山神社を祀る祠になっていて龍頭観音・牛頭天王・梵天・釈迦三尊などが並んでいます。
鮭立9
左面の岩には鬼子母神・湯殿権現・深沙大将・九頭竜権現の比較的大きな像が並んでいます。
鮭立10
その右には、風神と雷神が並び、その右は4段に分かれて、荼枳尼天・淡島様・愛染明王・聖観音・渡唐天神・弁財天など諸像が所狭しと彫られています。
鮭立11
左面の右端は摩滅が進んだ尊名不明の像と飯綱権現が上下に並んで彫られています。
鮭立13
右側の岩には青面金剛・大黒天・水神・地天などが彫られていますが、中央の諸像よりは摩滅が進んでいるのでよくわかりません。
鮭立12
この磨崖仏は修験道で信心されていた尊像を数多く彫刻したもので、他では見られないものがあります。
所々彩色が残っているので当時はとても華やかだったと想像できます。
そして何より庶民の願いをこめた信仰の磨崖仏です。
このことが他の磨崖仏との大きな違いで、人々の祈りの声が聞こえてきそうです。

ホームページ  www.ravana.jp

コメント

非公開コメント