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寺院の彫刻 その76(シヴァ26チャームンダー)

PANATA151.jpeg
今回もシヴァの神妃の話です。
7母神の一人チャームンダーはドゥルガーと同一視されシヴァの神妃の一人です。
その姿は独特で痩せこけた骨と皮だけで、顔は骸骨のようで、乳房もひからびており、墓場などの不浄な場所に住み、乗り物はフクロウです。
チャームンダー3
不気味な笑い声を立てて魔神たちの闘争心を恐怖に変えてしまう恐ろしい女神です。
象の皮を被ったり、死体のはらわたを引きづり出して口に運ぶ姿、体に蛇を巻く姿はシヴァと似ています。
天然痘の神であるとも言われサソリとともに描かれ、サソリもまた天然痘と関係のある動物で、死と結びついています。
また人々の苦痛を引き受ける女神とも言われています。
オリッサミュージアム
名前の由来は「多くの男神たちが悪魔との戦いに敗れ、困った彼らはドゥルガー女神を呼び出し、助けを求めた。チャンダ、ムンダという悪魔が率いるアスラの軍勢がドゥルガー女神に戦いを挑み近づいたとき、ドゥルガー女神は怒りで顔が墨のように真っ黒に染まり、ドゥルガー女神の額から、虎皮を巻きつけた、ほとんど裸の痩せこけて真っ黒な身の毛もよだつ姿をしたカーリー女神が辺りを満たす咆哮と共に現れる。
彼女はアスラの軍勢に飛び掛ると、彼等を一瞬にして虐殺し、喰らってしまた。
それを見たチャンダが弓の雨を、ムンダが数千の円盤をカーリー女神に浴びせるが、カーリー女神はそれを顎で噛み砕き、飲み込んでしまう。チャンダの首を切り落とし、次にムンダをメッタ斬りして、ドゥルガーにその遺骸を捧げた。カーリー女神はこのとき、「チャームンダー」という名を与えられた」という話です。
また冥界の神ヤマの妻として7母神の一人となります。
彼女の彫刻はどれも不気味です。
まずはELLORA CAVEの21窟(6世紀後半)にあるパネルを見ます。
1E-CAVE21006
ここは真っ暗なのでさらに不気味です。
ほとんど骨だけのチャームンダーは4臂で同じように骨だけの従者を連れています。
右上方にフクロウが彫刻されています。
バックは森のようです。
手には人間の手首とナイフのようなものを持っているように見えます。
左側にはガンダルヴァや普通の神が彫刻されています。
ラジャスタン州のBAROLIにあるGHATESHWARA寺院(10世紀)の壁龕です。
2BAROLI(GHATESHWARA)
多臂(16?)でとても迫力があります。
下半身がないのが残念ですが踏みつけられている悪魔がなまめかしい。
中央インドのASHOK NAGARの近くにあるKADWAHA寺院(8〜9世紀)の壁龕にあります。
3Kadwaha-159
お腹に穴があきサソリが住んでいます。
同じ中央インドのMAHUAにあるその名もCHAMUNDA 寺院(7世紀)です。
5Mahua-48中央インド
ここの本尊がチャームンダー像ですが、この像が当時のものかどうかわかりませんが素晴らしい像です。
私が一番好きなチャームンダー像です。
上方には天人が飛び、多臂(10?)で顔が素晴らしい。
残念なことに下半身は布で覆われてわかりません。
何より素敵なのが下部に集まった仲間たちです。
その表情や仕草が最高です。
中央インドのTIGAWA寺院(5世紀後半)のチャームンダーは一番古いかもしれません。
7Tigawa5世紀後半
チャームンダーよりも周囲の彫刻の方に興味があります。
インドにはカーリー女神(ドゥルガー)とバイラヴァ神(シヴァ)に仕える64の女神信仰があります。
64ヨーギニーと言いこの女神達のための64ヨーギニー寺院が各地にあります。
そこにヨーギニー女神が64体祀られています。
チャームンダーもその一人です。
従って64ヨーギニー寺院にはチャームンダー像が安置されています。
BHEDAGHATの64ヨーギニー寺院のチャームンダー像です。なかなか良い出来です。
8Chausath_Yogini_temple_Bhedaghat
9Chaunsath yogini bhedaghat
BHUBANESWARの近くにある64ヨーギニー寺院のチャームンダーは動物の皮(トラ?本来はゾウ)をかぶり、足下には乗り物の動物がいます。
チャームンダーの乗り物はフクロウで夫のヤマ神の乗り物は水牛ですがこの動物は水牛には見えません。
10 64YoginiTemple_Hirapur
11 64YOGI032
ホイサラ朝寺院のチャームンダー像はホイサラ朝の特徴を持つ像です。
DODDAGADAVALIにあるLAKSHIMI DEVI寺院
12LAKSHIMI DEVI(DODDAGADAVALI)
HALEBIDのKEDARESHWARA寺院の像もホイサラ朝の特徴を持つとてもたくましいチャームンダーです。
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博物館にも素晴らしい像があります。
ALLAHABAD博物館の11世紀の像です。
14インド博物館Allahabad Museum11世紀
メトロポリタン博物館の10世紀の像です。
15メトロポリタン10世紀
とても威厳があります。
お腹のサソリがワンポイントです。
作家の遠藤周作が小説「深い河」の中で添乗員の江波にチャームンダーの事を説明させています。
「彼女の乳房はもう老婆のように萎びています。でもその萎びた乳房から乳を出して、並んでいる子どもたちに与えています。彼女の右足はハンセン氏病のため、ただれているのがわかりますか。腹部も飢えでへこみにへこみ、しかもそこには蠍(さそり)が噛み付いているでしょう。彼女はそんな病苦や痛みに耐えながらも、萎びた乳房から人間に乳を与えているんです」
いかにもクリスチャンの狐狸庵先生らしいお話しです。
チャームンダーは不気味ですがキモカワイイ女神です。

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