2021/01/30
音楽の話(フィル・スペクターに捧ぐ)
音楽の話(フィル・スペクターに捧ぐ)フィル・スペクターが1月16日に死去しました。
81歳でした。

米カリフォルニア州の刑務所に収監されており、州当局がホームページ上で発表しました。
2003年、当時交際していた女優ラナ・クラークソンを殺害した罪に問われ、禁固19年の判決が言い渡されていました。
死因は調査中です。
何しろ奇行(麻薬常習も)の持ち主で周りはいつもハラハラしていたと言います。
しかし音楽的貢献は素晴らしいものがあります。

多人数のスタジオ・ミュージシャンを起用し、独特の音響を持つゴールド・スター・スタジオにて大編成のバンドを狭いスタジオで一発録音することで作られた重厚な音は、当時としては非常に斬新なものでウォール・オブ・サウンドとよばれました。
完全主義者で偏執的に理想とするサウンドにこだわり、ステレオ録音が主流になってもモノラル録音にこだわりました。
このスタジオから次々とヒット曲が出ます。

特に私が好きなのはロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」、クリスタルズの「ハイ・ロン・ロン」、ライチャス・ブラザーズの「ふられた気持ち」です。
忘れてはいけないのが自身のソロアルバム「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」です。
いきなりウォール・オブ・サウンドで始まります。

ロネッツの「ホワイト・クリスマス」は最高です。
クリスタルズの「サンタが街にやってくる」はジャクソン5より断然良い。
ロネッツの「SLEIGH RIDE」はどんどん転調していきます。
とても楽しいアルバムです。
その後あまりヒットは出ませんでしたが、ビートルズが制作を投げ出した「レット・イット・ビー」を、グリン・ジョンズの後を受ける形で完成させました。
その関係で「ジョンの魂」「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ」などのプロデュースを行いました。

そしてついにジョージの最高傑作「オール・シングス・マスト・パス」を作り上げました。
ジョージとフィルはとても合うような気がします。

フィルの思い出は映画「イージー・ライダー」での金持ちのコカイン中毒者役です。

絶対映画の中で本物をコカインを吸引しています。
それと私が大好きだったロネッツのヴェロニカと結婚(1968年から1974年の間)したことです。
ヴェロニカはフィルの死に声明を出しました。
「彼がレコーディング・スタジオで制作しているのを見ていた時、最上の人と仕事をしているのを分かっていました。彼は完全にコントロールしていて、全員を統率していました。あの日々に多くの愛情を感じています。しかしフィルはレコーディング・スタジオの外ではちゃんと生きることができなかったのです。闇が近づき、多くの人々の人生がダメージを受けました」

合掌
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