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MEMORIES 1969春

思い出表紙のコピー2

僕はダットサンフェアレディを運転して皇居前を走っている。
となりにPを乗せて。
やっとフェアレディをスムーズに走らせることが出来た。
ダブルクラッチを踏んで回転数を合わせないとスムーズにつながらない。
初めはとても苦労した。
しかし不安はそればかりではない。
僕の免許は軽免許なのだ。
16歳で取れる軽免許は360ccまでの車しか乗れない。
つまり無免許だ。
Pの顔を見る。
春風に髪をもてあそばれ、とても気持ち良さそう。
僕の不安は消し飛ぶ。
1週間前、従姉にソニービルの「カーディナル」に呼び出された。
従姉はロックバンドのボーカルとつき合っており、そこにいたPはリーダーと、Mはベースとつき合っていた。
僕がなんで呼ばれたかはわからないが、とても楽しかった。
従姉とMは何処かへ出かけ、僕とPは家の方向が同じなので一緒に帰る。
Pはとても魅力的で一緒に歩いているだけで嬉しい。
Pは茗荷谷のとても大きい家に家族と住んでいる。
良く解らないうちにPの部屋で今つき合っているリーダーの女性関係の話を聞いている。
Pは同じ大学の「ジャックス」の「空っぽの世界」を何十回もかける。
とても不思議な曲で洋楽しか聞かなかった僕にはとても新鮮だった。
しかし歌詞の内容が、とてもシュールで自殺や死後の世界を歌っている様な気がして、Pがとても悩んでいることがわかった。
僕はPと一緒にいたいので運転手になる。
学校が終わるとすぐにPの家に行く。
ある日、神宮前にあるブッテック「ドリアングレイ」に出来上がったスラックスを取りに行った。
とても不思議なお店で全体的に濃い紫のインテリアで宇野亜喜良さんの人形も置いてある。
店内を見ていると試着室からPが「似合う?」と出てきた。
僕は一瞬戸惑った。
Pが履いていたスラックスは何と裾が少し広がっている。
僕はソウルマンだ。
ズボンは細身でなくてはならない、が出てきた言葉は「すごく似合う」だ。
それから半年後にはパンタロンとなり大流行する。
よく原宿に行った。
「レオン」でコーヒーを飲み、「マドモアゼル・ノンノン」や靴屋の「ブティック・オオサキ」へ行く。
レオンはセントラルアパートの一階にあり、当時のスノッブのたまり場である。
広告関係、写真関係、ファッション関係の人達が集まる特に特徴のない喫茶店である。
セントラルアパートはすべての情報発信基地である。
荒牧太郎さんの「マドモアゼル・ノンノン」は当時一番流行っていたブティックで、レディスのお店だが男も女もマドモアゼル・ノンノンのロゴが入ったボーダーのT−シャツを着ていた。
車が日比谷を通るとPは「日劇の5階よ」と言った。
Pは姉の付き人を始めた。姉はシャンソン歌手で今、日劇のミュージックホールに出演している。
日劇ミュージックホールはトップレスのダンサーがレヴューをおこなう。
その幕間にコントをやったり、歌手が歌ったりする。
Pの姉は幕間にシャンソンを歌うのである。
姉は楽屋を一つもっておりPはそこで色々手伝う。
私はそこで何をするのかわからないが一緒について行く。
「お友達のKENちゃん」「はじめまして、よろしくお願いします」「どうぞ、そこに座って」僕は何をして良いかわからず5階の窓から有楽町を見ていた。
「お昼何食べる? アマンドの海老フライでいい?」じゃ電話して。
悪いはずがない。
アマンドの海老フライがこんなにおいしいとは思わなかった。
姉はステージのためお化粧を始め、Pが手伝う。
着替えのために僕は部屋から出る。
部屋の前の廊下は狭く、ここをトップレスのダンサーが行ったり来たりする。
僕は1人で緊張していた。
コントをやる矮人の人達も通る。
姉の出番だ。
舞台の裾から覗く。
姉は堂々として、歌がうまく、美しい。
歌の中に引き込まれる。
楽屋に戻り僕はお茶を入れた。
これから何回かステージがある。
居場所のない僕はPに後で迎えにくると行って銀座の町に出た。
銀座の空気がとても新鮮に感じた。
小さいころから来ている銀座の町がとても愛おしく思える。
4丁目を新橋方面に向かう。
銀座ヤマハへ行きピアフのレコードを買うために。

♥︎7済みのコピー


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音楽の話 その74(吉田美奈子)

ガンジーファ - 093
吉田美奈子はユーミンのデビューアルバム「ひこうき雲」と同じ時期に「扉の冬」でデビューしました。
吉田美奈子1
全曲吉田美奈子の作詞・作曲でユーミンと同じです。
バックミュージシャンもキャラメル・ママで同じです。
年も同じです。
どうしても比較されがちですが当時そのような話は無かったように思います。
あまりにも音楽が違いすぎるのかもしれません。
音楽評論家の受けは断然美奈子でした。
「ひこうき雲」で書きましたが、ユーミンは当時の女性シンガーのローラ・ニーロやキャロル・キングの影響を受けていないか、表に出していません。
吉田美奈子5
吉田美奈子は「扉の冬」を聴くとかなりローラニーロの影響を受けているように思います。
しかしどちらのアルバムも日本的です。
当時はユーミンや大貫妙子をよく聞いていましたが、歌のうまさでは断然美奈子です。
「扉の冬」は全曲吉田美奈子ですがセカンドアルバム「MINAKO」はユーミン、大瀧詠一、細野晴臣、佐藤博などの曲も入っています。
私が完全にトリコになったのはサードアルバム「フラッパー」です。
吉田美奈子3
A面1曲目「愛は彼方」でノックアウトです。
イントロは「時の中へ」みたいな曲を想像しましたが、突き抜けて違う次元に飛び出します。
最高です。
2曲目は矢野顕子の「かたおもい」です。
自分の曲にしています。
すごい曲です。アレンジもすごい。
3曲目「朝は君に」は佐藤博の曲です。
この曲も最高です。
こんなに密度が高くて良いのか心配していたら「ケッペキにいさん」です。
吉田美奈子4
大瀧詠一の「シャックリ・ママさん」のアンサーソングですね。
素晴らしい。
最後の曲は「ラムはお好き?」です。
細野晴臣らしい曲ですね。
完璧に美奈子の曲です。
A面だけでクタクタです。
完全に美奈子に脱帽です。
B面1曲目はモコ・ビーバー・オリーブ(古すぎ)のオリーブことシリア・ポールの「夢で逢えたら」です。
やっぱりこの曲は美奈子です。
大滝詠一は曲作りがうまい。
吉田美奈子7
2曲目は「チョッカイ」めちゃくちゃ黒っぽくて最高です。
3曲目はピアノの弾き語りで名曲「忘れかけてた季節へ」です。
ローラニーロと並びました。
涙が出ます。
美奈子しか歌えません。
4曲目は山下達郎の「ラスト・ステップ」です。
まるで美奈子のための曲です。
なかなか良い曲を作るね達郎。
吉田美奈子8
続いて最後の曲「永遠に」も達郎の曲です。
美奈子と達郎は合いますね。
このアルバムは吉田美奈子の全てが詰まった素晴らしいアルバムです。
個人的な意見ですが日本のアーティストのアルバムのベストに入れたいと思います。

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映画の話 その87(スモーク)

121スリカンディ
今回はウェイン・ワン監督の「SMOKE」です。
原作はポール・オースターの「オーギーレンのクリスマスストーリー」です。
特にどうと言う映画ではないですが妙に心に残ります。
スモーク1
ブルックリンの街角の小さなタバコ屋に集まる人々の映画です。
14年間毎朝同じ時刻に店の前で写真を撮り続けている煙草屋の店長オーギー(ハーヴェイ・カイテル)、彼の馴染みの客で突然の事故により出産まもない妻を失って以来ペンを持てずにいる作家のポール(ウイリアム・ハート)、彼が車に跳ねられそうになった所を助けた黒人少年ラシード(ハロルド・ペリノー・ジュニア)の3人を軸に、ブルックリンのとある煙草屋に集まる男達女達の日常を、過去と現在、嘘と本当を巧みに交差させながら進んでゆく哀しい都会の物語です。
スモーク2
16才のラシードは疫病神です。
ラシードはギャングのお金を盗んだため、囲まったポールはギャングにボコボコにされます。
ラシードを雇ったオーギーは5000ドルの葉巻を水浸しにされます。
生き別れの父親サイラスを見つけ、偽名を使って雇ってもらいますが、バレて本名を名のり、息子であることを伝えますが混乱から乱闘になってします。
スモーク6
オーギーの店に昔付き合っていたルビーが現れオーギーはごたごたに巻き込まれます。
そんな中、ポールに、ニューヨークタイムズからクリスマスの短編の依頼が来ます。
スモーク3
締め切りが近く、いいアイディアが浮かばないポールにオーギーはとっておきの話があるからランチをご馳走しろと食堂で話しはじめます。
「昔万引き犯を追いかけるが逃げられ、落としていった財布には写真だけがあった。
家を訪ねるとそこには盲目のおばあさんが一人で住んでいて、自分のことを孫だと思い込んだ。
だから話をあわせて一緒にクリスマスを過ごしてきたという。
もちろんおばあさんも声を聞いて別人だと解っていたが一緒にクリスマスを楽しんだ」。
ポールは「本当にいいことをしたな。
人を幸せにした。生きていることの価値だ」と言い、オーギーはその言葉に心から満足する。
そしてトム・ウエイツの「Innocent When You Dream」が流れ、エンディングでその話がモノクロで演じられます(うまい!)。
スモーク7
映画の中でさりげなく面白いエピソードが語られます。
タバコの煙の重さを量る話、雪山で遭難した親子の話、死の直前に最後の一服をしようと思ったらタバコの巻き紙がなく、10年かけて書いた原稿で巻いて一服した話など。
とにかくハーヴェイ・カイテルとウイリアム・ハートの演技に尽きます。
スモーク5
大人の映画を撮ってくれたウェイン・ワン監督に感謝です。
登場人物が皆喫煙しているのに嫌な気分にならないのは不思議です。
ジャン・ポール・ベルモンドから始まり、現代の日本映画のタバコの吸い方はひどいものです。
もっと考えてスマートに喫煙しましょう(元ヘビースモーカーより)。

8-2ウィジョヨクスモの花


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石の巡礼 その26(庚申塔2)

AA1_0301のコピー
前回は儀軌に従って埼玉の吹上観音の庚申塔を見てみました。
今回はそのほかの庚申塔を見ていきます。
まずは前回同様2童子・4夜叉か彫られている庚申塔です。
埼玉のさるまん塚庚申塔(1742年)です。
1さるまん塚埼玉
宝珠を乗せた立派な笠付き角柱型で笠に日・月が彫られ6臂で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持っています。
足元には2邪気を踏みつけ、2童子、4夜叉が彫刻されています。
童子も夜叉の儀軌に忠実に彫られています。
下段には3猿と2鶏が彫刻され完璧です。
千葉の銚子の庚申神社の庚申塔(1772年)の上部は瑞雲で、ここに日・月があるのかもしれません。
2庚申神社銚子
6臂で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持っています。
邪気は1匹みたいです。
2童子・4夜叉、下段に3猿・2鶏が彫られています。
大分県の真木大堂古代公園にある庚申塔(1728年)です。
3真木大堂
とても可愛い庚申塔で上部に日・月、6臂で合掌しています。
2童子を左右に彫り、邪鬼ではなく蓮華の上に立っています。
その下には3猿・2鶏、そのさらに下にとても可愛い4夜叉が彫られています。
秋田県男鹿市の渡部神社の庚申塔です。
4渡部神社秋田
自然石に彫られ上部に日・月、火焔で覆われ、6臂で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持っています。
足元には邪鬼1匹を踏みつけ左右に2童子を彫っています。
その下に3角形に3猿を配置し、その下に2鶏を彫り両脇に4夜叉を彫刻します。
とても良い出来です。
埼玉県鴻巣市にある西中曽根の庚申塔は素晴らしい出来ですが、覆屋の中に入り全体の写真が良く撮れません。
5西中曽根埼玉1
5西中曽根埼玉2 5西中曽根埼玉4
立派な懸魚が付いた笠付き角柱型で傘の下には雲で覆われた日・月が彫られています。
その下には12支も彫られています。
着色されていた色素も残っています。
6臂で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持っており、邪鬼(1匹)の上に乗り左右には2童子を従えています。
一番の見所は邪鬼と4夜叉です。
とても素晴らしく一見の価値があります。
基部には3猿・2鶏が掘られています。
栃木県足利市の金蔵院の庚申塔(1697年)はこじんまりしており、4夜叉が特徴的です。
6金蔵院足利
同じく足利市の徳蔵寺の庚申塔(1800年)はなんと5層になっています。
7徳蔵寺足利1 7徳蔵寺足利2
7徳蔵寺足利4 7徳蔵寺足利3
7徳蔵寺足利6
1番上に火焔をバックに6腕で髑髏のネックレスに蛇のベルトと蛇のブレスレット・アンクレット、両膝の間には獅子、精巧な2童子を引き連れ、1夜叉の上に乗る。左右の面には4夜叉が精巧に掘られ、3段目にはおそらく十三仏の種字、4段目には千個の庚申の文字、5段目には2鶏・3猿が掘られ、凝りに凝った庚申塔です。
千葉の宝城院の庚申塔(1736年)は一石に彫られています。
8宝城院千葉
日・月、6臂で合掌し、邪鬼(1匹)を踏みつけ2童子が彫刻されています。
その下に2鶏、中央に3猿、一番下に4夜叉が彫られていますが保存状態が良くありません。
埼玉の南蔵院の庚申塔はとてもユニークです。
9南蔵院埼玉
月・日、6臂合掌で邪鬼(よくわからない)を踏みつけ2童子、その下に4夜叉と薄肉彫の立派な2鶏、基部に3猿を彫ってあります。
特に4夜叉が可愛いのです。
東京の板橋宿の東光寺の庚申塔(1662年)は傘付き角柱型で雲に覆われた美しい日・月、光背を伴った三尊形式で3面6臂の青面金剛と左右に2童子を彫刻し、気品があります。
10東光寺 板橋
邪鬼(1匹)と4夜叉もとても良い出来です。
その下に1猿・1鶏(初期の庚申塔は1猿・1鶏)が彫刻されています。
一番下の文様も凝っています。
神奈川県三浦海岸の谷戸の庚申塔です。
11谷戸三浦
上段の石には日・月、6臂で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持ち邪鬼(1匹か2匹かわからない)を踏みつけています。
両脇には2童子です。
邪鬼の下に3猿が下段の石につながって彫られています。
左右には2鶏、その下の4夜叉が彫刻されています。
庚申塔は全国にあり、バリエーションがたくさんあるので興味は尽きません。

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食べ物の話 その25(合鴨)

120スムボドロ
以前、友人に連れられ合鴨料理を食べに行きました。
琵琶湖の周りで鴨料理を食べていた私は合鴨料理には乗り気ではありませんでした。
鴨は冬の琵琶湖の野生の真鴨だよ、と思っていました。
友人が熱心に勧めるので東日本橋にある「鳥安」へ行きました。
「鳥安」は明治5年創業の老舗で「あひ鴨一品」の看板を掲げています。
鳥安1
その通り相鴨(合鴨)の「すきやきコース」しかありません。
とても雰囲気の良い日本家屋の暖簾をくぐり、6人でしたので二階の個室に案内されました。
料理は決まっていてまず前菜五品盛がでます。
鳥安2
鮭の麹漬、鴨のローストなどで味は普通です。
次に鶏のササミの団子、三つ葉、なめこ、さらし葱の入ったお吸い物がでます。
鳥安2−1
これはとても美味しいです。
食欲が増します。
続いて鶏のササミと季節野菜のサラダ仕立てが出ます。
鳥安3
鍋をかける美しい炭の備長炭が登場です。
鳥安4
炭火の美しさに見惚れていますと、合鴨の登場です。
胸肉・ササミ・モモ・レバー、嬉しいことに砂肝と心臓が一緒です。
鳥安5
美しい。
ツクネも出てきました。
鳥安6
そして驚くべきは野菜です。
みずみずしさ、寸分たがわぬカットはもはや芸術的です。
鳥安7
さらに大根おろしです。
完全な球形です。
まるでシャーベットのようです。
鳥安8
この大根は大吟醸のように中心の部分だけをおろしたものだそうです。
ほぼ半分になってしまいます。
これで主役は揃いました。
中居さんが年季が入った鍋に鶏の脂をたっぷり敷きます。
この鍋には小さな窪みがあり、そこに脂が貯まるようになっています。
物によってはそこに入れて仕上げに焼きます。
はじめに葱、椎茸、鶏肉を並べて焼きます。
鳥安9
鴨肉の味は素晴らしいものでした。
以前食べた野生の真鴨より美味しいかもしれません。
鴨とアヒルを掛け合わせた合鴨を軽視していました。
しかしよくよく考えれば両方の美味しいところが出るように人間が作ったものですからまずい訳がありません。
脂が乗った胸肉を中居さんが取ってくれます。
おろし醤油で食べます。
もちろん一緒に葱です。
至福のときです。
そして中居さんが手際よくつくねを丸めて鍋に入れます。
鳥安10
ツクネもしっとりして歯ざわりもとても良いです。
いよいよ砂肝・ハツの登場です。
鳥安11
とても小さいですが、コリコリして独特の味で大好きです。
すき焼きは絶品でした。
合鴨の美味しさを堪能しました。
しかし美味しさはそれだけではありません。
締めの鴨肉のそぼろご飯です。
鳥安12
これがとても美味しいのです。
さらに絶品なのが今まで焼いていた鍋にご飯を入れ細かくした鴨肉と醤油をかけて作る鴨炒めご飯です。
鳥安13
これを食べて完全です。
最後にはデザートの和風プリンが出ました。
素晴らしい食材を丁寧に調理し伝統の技で食べさせてくれた老舗に感謝です。
鳥安14

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