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寺院の彫刻 その73(シヴァ23 アルジュナに恩恵を与えるシヴァ)

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今回は叙事詩マハーバーラタの主人公の1人アルジュナとシヴァの話です。
『ユディシュティラとビーマが来たるべきカウラヴァとの戦いに備えて議論を行っていると、ヴィヤーサ仙が現れ、カウラヴァとの戦いに勝つ為にはアルジュナを神々の元へ送り、神々の武器と武術を学ばせるべきだ、と助言を残した。
アルジュナはその助言に従ってインドラキーラ(曼荼羅山)へと向かい、そこでインドラ神と「シヴァ神に認められれば天界の武器を全て授ける」という約束を取り付けた。
1キラータ
アルジュナはその後ヒマラヤの北を目指し、とある深い森にて、シヴァ神と出会う為に苦行を始めた。
始まったアルジュナの苦行の凄まじさに森の苦行者達は恐れをなし、シヴァ神に祈りを捧げた。
その祈りを聞き届けたシヴァ神はアルジュナの元に狩人の姿となって現れた。
ちょうどその時、ムーカというダーナヴァ(魔族)が猪の姿となってアルジュナを襲った。
それを見たシヴァ神はムーカを矢で仕留めたが、アルジュナもまた同時に矢を放ち、ムーカを射貫いていた。
二人はどちらが先にダーナヴァを仕留めたかで口論となって戦いを始めたが、アルジュナは敵わず組み伏せられてしまった。
そこでアルジュナはその猟師がシヴァ神であることに気付き、許しを乞い願った。
シヴァ神はアルジュナを許し、パーシュパタアストラ(Pashupatastra)という武器を授けた。
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アルジュナがシヴァ神に認められた事を知るとインドラは喜び、アルジュナを天界へと招いてありとあらゆる天界の武器を授け、その使用法を伝授した』という話です。
彫刻としてはイノシシを挟んで左右に弓を射る人物がいれば確実にアルジュナとシヴァです。
南インドのカンチープラムにあるカイラーサナータ寺院にはシヴァとアルジュナがまさに戦おうとしている迫力ある像があります。
足元にはイノシシです。
1カイラーサ
南インドカルナータカ州のホイサラ朝寺院では基壇に好んで彫刻されています。
1HOYSAL065
PATTADAKALにあるVIRUPAKSHA寺院(8世紀)の内部の柱にも彫刻されています。
2VIRUPA048
この彫刻は東南アジアの方が優れています。
カンボジアのアンコールにあるBAPUON寺院(11世紀)です。
イノシシを挟んでシヴァとアルジュナ。
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シヴァとアルジュナの戦い。
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シヴァからパーシュパタアストラを授かるアルジュナが彫刻されています。
5bapuon
BANTEAY SREI寺院(10世紀)の中央祠堂南面の楣にこの寺院を建立したバラモンのヤジュニャヴァラーハがイノシシとして彫刻され、その上に戦うシヴァとアルジュナが彫刻されています。
6スレイ中央祠堂28南面
タイにあるクメール寺院SIKHORAPHUM(12世紀)の楣です。
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中央に踊るシヴァ神、その左上にシヴァとアルジュナ、イノシシが彫刻されています。
インドネシアにはこの物語(マハーバーラタ)をもとに1035年に作られた「アルジュナ・ウィワーハ」というアルジュナの物語があります。
話はほとんど同じです。
東ジャワにあるSUROWONO寺院(13世紀)の基壇に彫刻されていますので、この彫刻を見ながら説明します。
「悪魔王ニワタカワチャが天界を荒らしまわっていた。神々はアルジュナに成敗をお願いする。危機を感じたニワタカワチャは部下のモモシムカをイノシシに変身させアルジュナを襲わせる。
<ニワタカワチャによって派遣された巨人モモシムカはイノシシに変身する>
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<イノシシに変身したモモシムカとアルジュナ>
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天界にいたシヴァはこの時とばかり、アルジュナの威力を試そうと山地人キラータに変身する。そしてイノシシめがけてアルジュナとキラータは矢を射る。するとその矢は一本となってイノシシに当たる。そこで両者は自分の矢だと主張して争いになりついにキラータは本性を現しシヴァ神になる。
<モモシムカのイノシシにアルジュナの矢と狩人に変身したシヴァの矢が同時に刺さる>
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<猟師とアルジュナが争う アルジュナがキラータの足首を掴んで投げようとしている>
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アルジュナは驚きシヴァの前にひざまずき礼拝する。
シヴァはアルジュナに天界の特別な矢を授ける」というものです。
<狩人に変身したシヴァが姿を表すと驚いてシヴァに帰依するアルジュナと供のプンカワ>
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この物語は東南アジアで見事に開花しました。
特に「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」はインドネシアで好まれ、独自の文学を築き上げました。

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石の巡礼 その20(石塔寺三層石塔)

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前回の狛坂磨崖仏に続き、今回は同じ滋賀県琵琶湖の東近江市蒲生町にある石塔寺を訪れます。
阿育王山の額がかかっている山門を抜け赤松林の急な石段を息を切らせながら上りきると、そこに何万という五輪塔や石仏の中央に素晴らしい3層石塔が立っております。
石塔寺1
この石塔は日本の木造の塔とは全く違った、韓国のプヨでみた百済の石塔です。
三層石塔は、奈良時代前期の作とされ、三層石塔としては日本最古・最大のもので国指定の重要文化財です。
石塔寺2
前回お話ししたように、この土地は渡来人が住んでいました。
4〜5世紀には秦氏が居住しており、その後5世紀から6世紀にかけて高句麗に滅ぼされた百済の民がこぞって亡命してきます。
彼らは大陸の新しい技術を日本へもたらしました。
また諸博士、仏師など技術者を大和朝廷にさしだし、大和、河内、山背、摂津の畿内に次々と寺院が建立されました。
湖東地区は日本書紀によると669年、滅亡した百済から渡来人700余名を近江国蒲生野へ移住させたとの記述があり、湖東一帯に百済人の村があったと思われます。
当然石工達も住んでおり、故郷を懐かしんで石塔を建てたとしても不思議ではありません。
石塔寺3
しかし不思議なことにこの形の石塔はここに1塔あるだけなのです。
この後の石塔は形態の違う九層石塔や十三層石塔か木造になり現在まで続くのです。
この塔を建てた技術者がここにいるのに、この形の石塔は現れません。
日本人好みではなかったのでしょうか。
木造と違い火災の心配はないのです。
理由がわかりません。百済は現在のプヨ(扶余)でここには定林寺址が残り境内には定林寺址五層石塔が建っています。
典型的な百済型の石塔で7世紀に創建されました。
定林寺址五層石塔
しかしあまり石塔寺三層石塔には似ていません。
石塔寺三層石塔に似た石塔がプヨの長蝦里にあります。
長蝦里三層石塔はプロポーションが石塔寺三層石塔によく似ています。
長蝦里石塔
ここでまた疑問が生まれます。
石塔寺三層石塔は7世紀の創建と言われていますが長蝦里三層石塔は10〜12世紀の創建と言われているのです。
この時間のギャップをどうするか。
私にはわかりません。
しかしこの地にあった渡来人の集落は事実ですし、日本人がほとんど作らない石塔があることも事実です。
疑問は専門家に任せてあまり深く考えずに当時のロマンを楽しむのが最良の方法です。
以前プヨを訪れて普願寺址に行き驚きました。
<プヨ 普願寺址>
普願寺址
<飛鳥>
飛鳥
飛鳥ととてもよく似ているのです。
どちらも時間が止まった不思議な空間でした。

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音楽の話 その68(ユーミン2)

ガンジーファ - 017
ユーミンのデビューアルバムを聴き、気に入った私は出るアルバムを次々に聴きます。
それはビートルズと同じでどんどん進化しているので飽きないからです。
当時はカセット全盛でアルバムから好きな曲を録音して、家ではもちろんですが車の中や、ウォークマンで聞くのです。
一日中音楽びたりです。
海やスキーをしている時も聞いていました。
まさにユーミンの曲はどんなロケーションにもスチュエーションにもぴったりなのです。
私はまずメロディーから入ります。
次にボーカルと楽器です。
そして最後に歌詞なのです。
どんなに歌詞が良くてもメロディが受け付けなければ聴きません。
ユーミンの曲はどれも聴きやすく(軽いという意味ではない)ふと歌詞を聴くとそこはユーミンワールドなのです。
アップテンポの楽しい曲も良いのですが、私はミディアムテンポやスローな少しダウナーな曲に魅力を感じます。
私の好きなダウナー系のベストです。
「雨の街を」いいですね。
歌詞が泣かせます。
夜明けの雨はミルク色から始まり、一番好きな歌詞かもしれません。
ユーミン1
「何も聞かないで」曲がいいですね。
ギターのアドリブが泣かせます。
1ユーミン
「ハルジオン・ヒメジョオン」この曲には衝撃を受けました。
曲も良いですが歌詞がすごいです。
ハルジオン・ヒメジョオンはその辺に生えている雑草ですよ。
それが曲のタイトルですよ。
高校の時に罰で学校に生えているヒメジョンをよく抜かせられました。
2ユーミン
「12階の恋人」フレンチポップみたいな曲ですがこれほど怖い歌詞を知りません。
ユーミン恐ろしや。
3ユーミン
「ためらい」<手をつなくほど若くないからあなたのシャツの肘のあたりをつまんで歩いたの>これがユーミンですね。
「5cmの向こう岸」彼は背がひくいのです。
チークをすると口がおでこに当たるのです。
相当低いです。
こんな詩が書けるのはユーミンだけです。
4ユーミン
「大連慕情」名曲です。
父よあなたに似合ったでしょう春の大連なんて歌詞は思いつきません。
メロディと詩がとてもあっています。
5ユーミン
「手にひらの東京タワー」当時、修学旅行の生徒しか東京タワーのことは気にしていませんでした。
東京タワーに行ってお土産を買うなんて素晴らしいことです。
それも大好きな彼に。
私は水族館と蝋人形館があったので時々行きました。
6ユーミン
「忘れないでね」は携帯電話がない時代、みんな一度は経験したのではないでしょうか。
ルルル ルルルが涙ものです。
7ユーミン
「NIGHT WALKER」名曲です。
この曲もギターソロが光ります。
8ユーミン
「TYPHOON」どうでしょう、ユーミンの他にこんな曲作れますか。
素晴らしい台風描写とシンクロする彼女の心、曲もぴったりウエットです。
9ユーミン
「私を忘れる頃」これと言ったところはありませんが聴けば聴くほど好きになるスルメのような曲。 
10ユーミン
「午前4時の電話」他の曲もそうですが、ユーミンの素晴らしいところはすぐに頭の中でMTVを作れてしまうことです。
みんなMTVのディレクターです。
こんなところが好きな理由です。

ユーミンはとても男っぽいひとだと思います。
女性の心理状態とそれを客観的に見る男性の心理状態を体験できる精神的バイセクシュアルな人です。

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映画の話 その74(クロノス )

119ロロ・イルン
今回はギレルモ・デル・トロ監督の長編デビュー作となる異色の吸血鬼ホラーです。
クロノス1
「クロノス」とは、ギリシア神話の「時間をつかさどる神」のことです。
謎の錬金術師が作った永遠の命が手に入る機械、それが「クロノス」です。
古物商を営む初老の男ヘススは孫娘アウロラをとても可愛がっている。
クロノス6
ある日、売り物の天使像の中から奇妙な金属機械を見つける。
彼がそれをいじると、それは時計のように動き出し、中から飛び出した針が彼の手を貫いた。
クロノス4
やがてヘススはその針に刺されることに快感を覚え、また血への渇きを抱くようになった。
そのスカラベ(糞転がし)の形をした機械クロノスは400年前に錬金術師が不老不死の研究の結果造られたものだった。
クロノス2
また恋人のメルセデスは彼が若返っていることに気付く。
同じ頃、彼の店にアンヘルという男が訪れ、天使像を買っていく。
クロノス5
だが、機械がその中にないことを知ると、アンヘルと彼を操る大富豪の伯父クラウディオは機械クロノスを渡すようヘススに要求した。
クラウディオを疎ましく思うアンヘルはクラウディオの遺産のためヘススを始末するが、殺されたヘススは火葬場から姿を消す。
ヘヘスは不死の身体になっていた。
クロノスとは何か知るためにクラウディオのもとを訪れたヘヘスはクロノスを欲するクラウディオに殺されそうになるが、いっしょについてきたアウロラに助けられる。
アウロラを見て我にかえり人間性を取り戻したヘヘスはクロノスをたたき割り、日の光が差し込むベッドに横たわり、アウロラとメルセデスに看取られ死を迎える。
クロノス8
いわゆる吸血鬼映画ですが、ギレルモ・デル・トロ監督にかかれば極上のファンタジーに変わります。
この映画の特徴は素晴らしい小道具と不気味さと映像美です。
始まりの錬金術師がクロノスを鋳造する所、400年後その錬金術師が心臓に杭が刺さったまま発見され、彼の家には血を抜かれた死体がぶら下がっている所、天使像の眼から次々にゴキブリが出てくる所、など始めからわくわくドキドキです。
またアウロラとへススの関係がとてもいいのです。
クロノス3
お互いにとても信頼しあっているのです。
吸血鬼になったヘヘスとアウロラと熊のぬいぐるみは最強です。
ヘススの演技が冴えます。
クロノスの吸血シーンも素敵です。
最高なのはへへスがだんだん吸血鬼になっていくと血に飢えてきます。
大晦日のパーティで客が鼻血を出すのを見つけます。
トイレに駆け込むその客についてトイレに入り、その客のトイレの床にたらした血をなめようとするシーンです。
クロノス7
これは名場面です。
長編第一作でこれだけの映画を撮れる監督は天才です。
へへスが若返ったり、大理石の身体になったり、特殊メイクを学んだ監督の面目躍如です。
ヘヘスの死体を葬儀屋がメイクする所も良いですね。
とても良い映画でした。

8-2ウィジョヨクスモの花

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気になる話 その27 秋田県の人形道祖神

さんちー
秋田県には鹿島様・仁王様・ショウキサマなどと呼ばれている人形道祖神があります。
人形道祖神は主に東日本に残り、福島県のお人形様や新潟県のショウキサマなどがありますが、秋田県はその種類や地域が多数存在し(もちろんナマハゲも)、民俗信仰の宝庫です。
道祖神とは道の神様のことで集落の境や三叉路、辻、橋の袂、坂の始まりや終わりなどに鎮座しています。
これらの地点は一般領域とは異なる特異点として神聖視され、そこに道祖神という神様を配置することで、自分達の安全を確保したと思われます。
自分達の安全を確保するという意味合いから様々な信仰と繋がり、集落から悪霊や疫病の侵入を防ぐだけでなく、道中安全や交通安全など、さらに子宝、豊作などを祈願しました。
秋田県の人形道祖神は全身藁で作られた大きな鹿島様タイプ、
1鹿島様型
仁王のお面だけのタイプ、
2仁王お面型
全身木で作られたタイプ、大きな木に注連縄とワラジや蛇を祀ったもの、
3わらじ型
それらの混合型などいろいろなタイプなものがあります。
残念なことに人形道祖神は明治維新を迎え多くが消滅の危機にさらされました。
道路の拡幅で居場所を失い、中央から派遣された役人などからはかなり嫌がられ、禁止令まで出され、その多くが焼かれたと聞きます。又、製作にはかなりの手間がかかる為、徐々に姿を消していったと思われます。
その中でも初期の形態を保っていると思われる地域があります。
能代市鶴形です。人口638人世帯数238世帯の小さな町です。
鶴形地域は能代市の東に位置します。
北に米代川が流れ、古くから渡し船の運送で栄えました。
江戸時代には「羽州街道」が通る交通の要所でもありました。
この町に入る道6カ所全てに人形道祖神が祀られ結界を作っています。
15能代市鶴形
その道祖神がとても怪奇でシュールで怖いのです。
夜中に会ったら気絶してしまいます。
昼間でも町に入るのを躊躇してしまいます。
身体は1.5mほどで胴体は藁で作られ、顔は木の根なのです。根っ子がツノに見えるのです。
これがとても怖いのです。
手には槍、刀、薙刀などを持ち威嚇しています。
悪人や悪霊は退散します。
それでは見に行きましょう。
一番西にある国道7号線の入り口、半戸沢の人形道祖神①です。
4能代市字半戸沢 5能代市字半戸沢2
道路脇の覆屋に入っています。首から下は藁でできた普通の道祖神です。
刀を差し長靴を履いています。
しかし顔がホラーです。
2体目は昔の奥州街道にある鶴形28②にある人形道祖神です。
6能代市字鶴形28 7能代市字鶴形282
坂の途中にあります。同じように首から下は藁でできています。持ち物は無くなってします。
顔は半戸沢よりも目鼻立ちがはっきりしていますがホラーです。
3体目はもう一本東の道、鶴形214③にあります。
8能代市字鶴形214 9能代市字鶴形2142
やはり坂の途中にあり、身体はビニールで包まれているので良くわかりませんが同じように藁で作られています。
刀と御幣がそばにあります。
やはり顔はホラーです。
4体目は北側の米代川のそばの丘上、鶴形107④にあります。
10能代市字鶴形107 11能代市字鶴形1072
ここは昔の鶴形の渡しがあったところです。
丘の上の大きな木のところにあります。
ここの道祖神は手も足も藁でしっかり作られています。
手には槍を持っています。
根っこの顔もしっかり作られており、恐怖感はあまりありません。
5体目は4体目のさらに東の町後40⑤にあります。
12能代市字町後40−1 13能代市字町後40−12
この道祖神も体は藁で手には槍を持っています。
根っこの顔はしっかり作られ、髭もあります。
一見ユーモラスですが、夜見たらギョッとします。
6体目は南側の道路で国道7号線のすぐ下で戸草沢21⑥にあります。
13能代市字戸草沢21の先 14能代市字戸草沢21の先2
ちょっとわかりにくいところにあります。
藁の胴体に刀を差し槍を持っています。
顔はとても立派な根っこですがやはりホラーです。
この6体が結界を作り、悪人、悪霊、疫病などが集落へ入り込むのを阻止します。
このような民俗習慣はどんどんなくなっていきます。
確かに人形道祖神がなくなっても困ることはほとんどないでしょう。
しかしひとびとの精神的豊かさがなくなり、これらの行事を通しての人々のコミュニケーションもなくなり、地方の特色もなくなり、色のない世界になってしまいます。
文化がなくなるとはそういう事だと思います。

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旅の話 その9(ソムタム)

サンチ−1塔038−2
今回は東南アジア特にラオス、タイ、ベトナム、カンボジアでよく食べられている青いパパイヤのサラダ、ソムタムです。
インドシナ半島を旅している時に、あれば必ず食べる定番料理です。
ソムタム2
ソムタムとはタイ語で酸っぱいを意味するソムと搗く(突く)を意味するタムからなり、鉢にパパイヤと調味料を入れ棒で突いて作ります。
とても単純な料理ですのでお店はもちろん、屋台でも食べられます。
ソムタム5
元々はラオスと東北タイ(イサーン)の郷土料理でしたが、タイ全土からベトナム、カンボジアに広がったと言われています。
基本的な作り方は
1)包丁でパパイヤをたたくようにして、縦に何本もとても細かい切れ目を入れます。表面を削ぐようにして、手前から奥に向かって包丁を動かします(ごぼうのささがきの要領)。
2)鉢に唐辛子とにんにくを入れてつぶします。ヤシ砂糖を加えます。
3)半分に切ったトマト(ミニトマト)を加えて、軽くつぶします。いんげんを3~4cmの長さに切って加えます。
4)1)のパパイヤを加えます。
5)ナンプラー、ライム汁を加え、叩きながらかき混ぜます。
6)ピーナッツ、干しエビを加えて完成です。
材料さえ手に入ればとても簡単です。
ソムタム1
ラオスやイサーンでは干しエビの代わりに沢ガニの発酵させたものを入れます。
これが本格的なソムタムでメチャクチャ美味しくなります。
しかしこの生の沢ガニには寄生虫がいる場合があるので注意が必要です。
イサーン地方はクメール遺跡の宝庫ですので度々出かけました。
そして禁断の沢ガニ入り本格ソムタムを誘惑に負けて、食べてしまいました。
ソムタム3
味は最高です。
その後寄生虫の症状が出ないのでホッとしています。
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このソムタムをますます好きになった理由がベトナム映画「青いパパイヤの香り」です。
ソムタム6
トラン・アン・ユン監督のデビュー作で1951年のサイゴン、布地や縫製の店を営む一家に10歳の奉公人ムイがやってくるところから始まります。
このムイが先輩の奉公人と食事を作るところが度々出てきます。
ソムタム7
その中でムイが庭のパパイヤの木から一つ捥いできて皮を剥き、手のひらの上で叩くようにして縦に何本もの切れ目を入れ、表面を削いてパパイアのサラダを作るシーンがあります。
ムイの可愛さと、ソムタムの美味しさに魅せられ、すぐにタイ料理屋に直行です。
映画の中に出てくる空芯菜炒めもたまりません。
オーダーはソムタムと空芯菜炒めとスープとご飯で十分です。
これ以上頼んではいけません。
この3点が黄金のオーダーです。

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