2019/03/30
映画の話 その59(ホテル・ニューハンプシャー)

大好きなトニー・リチャードソン監督の「ホテル・ニューハンプシャー」です。
原作は人気作家ジョン・アーヴィングの原作です。

ホテル経営を夢見る父を大黒柱とする不思議な家族の物語が、次男のジョン視点で語られていきます。
若い頃高級ホテル「アーバスノット・バイ・ザ・シー」でひと夏のアルバイトを経験したベリー家の父ウィンスロー(ボー・ブリッジス)は、ホテルに現れた熊と大道芸人のフロイトと出会います。
ヨーロッパに渡るためにフロイトは熊をウィンスローに託しますが、熊は誤射によって死んでしまいます。

その後ニューハンプシャー州デイリーで高校教師を務めるものの、ホテル経営の夢を抱いていたウィンスローは廃校になった女子高を買い取り、そこを「ホテル・ニューハンプシャー」と名付け、家族を巻き込んだホテル経営に乗り出します。
一方ゲイの長男フランク(ポール・マクレーン)は学校でいじめに遭い、美しく気丈な長女フラニー(ジョディ・フォスター)はフットボールチームのリーダー格であるチッパー・ダヴとその仲間に輪姦され、心に深い傷を負います。

その時、力になってくれた黒人フットボール選手のジュニア・ジョーンズとは家族ぐるみの親交を結ぶようになりますが、ホテル経営は傾き、おまけに祖父のアイオワ・ボブは急死、そこへ舞い込んだウィーンのホテル時代の知り合いフロイトの誘いにより、一家はウィーンへと移り住むことになります。
飛行機の墜落により、母親と末っ子のエッグが死亡したりと不幸が絶えませんが、残された家族たちは新たな「ホテル・ニューハンプシャー」で逞しく生きてい来ます。

この映画はこれでもかというぐらい不幸が続きます。
長男フランクはゲイで学校でいじめを受け、長女フラニーは集団レイプされる、次女リリーは大きくならない小人症、唯一まともに見える次男ジョンはなんと長女フラニーに恋をするという問題を抱え、母親と三男エッグは飛行機事故で死亡、父親はテロの被害で失明する始末、しかし不思議なことに全くこの映画は暗くなりません。
なんと言ってもジョディ・フォスター、ロブ・ロウ、ナスターシャ・キンスキーの豪華共演で皆なかなか良い演技をしています。

忘れてはいけないのが黒いラブラドールのソローです。
オナラしっぱなしでホテル経営の際に処分されてしまいますが、剥製となって大活躍です。
それと初めに出てくるクマです。
とても可愛くて最高です(ナスターシャ・キンスキーのクマも最高)。
原作も素晴らしいのですが、やはりトニー・リチャードソン監督の面目躍如です。

このブログでもイギリス「ニュー・ウェーブ」として大好きな「蜜の味」、「マドモアゼル」を載せました。
トニーリチャードソン監督の映画の根底にはシニカルとブラックユーモアが流れています。
時を経てもそれは変わらず、「ホテル・ニューハンプシャー」でも確信しました。
以前見た「ラブド・ワン」がまた見たいのですがDV Dもありません。
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