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旅の話 その10(ケチャ KECAK)

サンチー
インドネシアのバリ島を訪れた人は、必ずと言っていいほどケチャを鑑賞します。
耳にハイビスカスをさした半裸のバリニーズが「チャ・チャ・チャ」と大合唱するあのダンスです。
夕暮れ時に松明をともし、屋外あるいは屋内で演じられるケチャは魅力的です。
ケチャ1
ケチャの内容は寺院の建築でお話ししたヴィシュヌの化身ラーマの物語「ラーマーヤナ」の森林の巻(寺院の彫刻その32その33その34)を題材にして作られています。
ストーリーを簡単に説明しますと「国を追われたラーマ・シーター・ラクシュマナはダンダカの森に入り、そこで生活します。魔王ラーヴァナはシーターに一目惚れし、部下のマーリーチャが魔法を使って黄金の鹿に変身し、ラーマとラクシュマナが黄金の鹿を捕まえにいく間にシーターをさらう計画を立てました。
シーターは黄金の鹿が欲しくなりラーマに捕まえてくれるように頼みます。
ケチャ5
ラーマはシーターとラクシュマナを残してシカを追っていきます。
するとラーマの助けを呼ぶ声が聞こえます。
シーターは心配し、ラクシュマナを行かせます。
ラクシュマナは魔法の結界を作り、この線から絶対外へ出ないように言って助けにいきます。
シーター1人になったのを確認し、ラーヴァナは僧侶に変身して、食べ物を求めます。
ケチャ4
信心深く優しいシーターは僧侶に食べ物を渡すために結界から出てしまいます。
すぐさまラーヴァナはシーターをさらいランカ島に連れ去ります。
ラーマとラクシュマナはハヌマンをはじめとするサル軍の力を借り、ランカ島に渡りシーターを救出します」という話です。
ケチャ7
ケチャの歴史は新しく、1930年代、バリ人と共にバリ芸術を発展開花させたドイツ人画家、ヴァルター・シュピースの提案によるものでした。
ケチャ8
呪術的な踊りサンヒャンを基に、男声合唱を使って「ラーマーヤナ」のストーリーを組み込んだ観賞用の舞踊を作りました。
上半身裸で腰布を巻いた数十人(百人を超えることもある)の男性が、幾重にも重なった円陣を組んであぐら座りをし、身振り手振りを使ってサルの鳴き声を合唱します。
楽器は使用しません。
円陣の中央では主人公達が次々と登場し舞踊劇の様式で物語を進行させます。
バリは舞踊が盛んでいろいろな種類の舞踊があります。
そして舞踊に欠かせないのがバリの民族音楽ガムランです。
ヴァルター・シュピースのセンスはバリ舞踊に必須のガムランを使用しないで男声合唱のみで作り上げたことです。
そのため逆に素晴らしい迫力を生み出します。
ウブド村に在住したヴァルター・シュピースは絵画や音楽などバリ芸術に深くかかわり、世界にバリ芸術を紹介しました。
ケチャ9
バリを深く愛しバリニーズを深く理解しなければ出来ない作品です。
最近は主に海岸にある寺院で行われているようです。
私個人としては森の中の寺院で見たいものです。
月と松明で照らされた野外で見るケチャは南国特有の湿気を含んだ重い空気とほのかに香るクローブの香りでバリでしか味わえないエキゾチックな世界へ連れて行ってくれます。

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旅の話 その9(ソムタム)

サンチ−1塔038−2
今回は東南アジア特にラオス、タイ、ベトナム、カンボジアでよく食べられている青いパパイヤのサラダ、ソムタムです。
インドシナ半島を旅している時に、あれば必ず食べる定番料理です。
ソムタム2
ソムタムとはタイ語で酸っぱいを意味するソムと搗く(突く)を意味するタムからなり、鉢にパパイヤと調味料を入れ棒で突いて作ります。
とても単純な料理ですのでお店はもちろん、屋台でも食べられます。
ソムタム5
元々はラオスと東北タイ(イサーン)の郷土料理でしたが、タイ全土からベトナム、カンボジアに広がったと言われています。
基本的な作り方は
1)包丁でパパイヤをたたくようにして、縦に何本もとても細かい切れ目を入れます。表面を削ぐようにして、手前から奥に向かって包丁を動かします(ごぼうのささがきの要領)。
2)鉢に唐辛子とにんにくを入れてつぶします。ヤシ砂糖を加えます。
3)半分に切ったトマト(ミニトマト)を加えて、軽くつぶします。いんげんを3~4cmの長さに切って加えます。
4)1)のパパイヤを加えます。
5)ナンプラー、ライム汁を加え、叩きながらかき混ぜます。
6)ピーナッツ、干しエビを加えて完成です。
材料さえ手に入ればとても簡単です。
ソムタム1
ラオスやイサーンでは干しエビの代わりに沢ガニの発酵させたものを入れます。
これが本格的なソムタムでメチャクチャ美味しくなります。
しかしこの生の沢ガニには寄生虫がいる場合があるので注意が必要です。
イサーン地方はクメール遺跡の宝庫ですので度々出かけました。
そして禁断の沢ガニ入り本格ソムタムを誘惑に負けて、食べてしまいました。
ソムタム3
味は最高です。
その後寄生虫の症状が出ないのでホッとしています。
Som_tam_thai.jpg
このソムタムをますます好きになった理由がベトナム映画「青いパパイヤの香り」です。
ソムタム6
トラン・アン・ユン監督のデビュー作で1951年のサイゴン、布地や縫製の店を営む一家に10歳の奉公人ムイがやってくるところから始まります。
このムイが先輩の奉公人と食事を作るところが度々出てきます。
ソムタム7
その中でムイが庭のパパイヤの木から一つ捥いできて皮を剥き、手のひらの上で叩くようにして縦に何本もの切れ目を入れ、表面を削いてパパイアのサラダを作るシーンがあります。
ムイの可愛さと、ソムタムの美味しさに魅せられ、すぐにタイ料理屋に直行です。
映画の中に出てくる空芯菜炒めもたまりません。
オーダーはソムタムと空芯菜炒めとスープとご飯で十分です。
これ以上頼んではいけません。
この3点が黄金のオーダーです。

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旅の話 その8(船・舟)

サンチ−2塔041
インド・東南アジアの遺跡は川のそばにあります。
北インドにはガンガー、ヤムナー、南インドにはゴーダバリー、クリシュナ、カーヴェリー川があります。
カンボジアのアンコールにはシェムリアップ川、トンレサップ湖、ミャンマーのパガンにはエーヤワディー川、タイのアユタヤはチャオプラヤー川とパーサック川とロップリー川の合流地点、ベトナムではフォン川、ハン川、サイゴン川、ラオスのルアンプラバンではメコン川とカーン川の合流地点、インドネシアのジャワ島ではソロ川、ブランタス川などがあります。
近くに川があり舟でクルーズ(船遊び)出来る時は極力乗ります。
また少し大きな川でディナークルーズがある時も乗ります。
舟に乗ると視点が低くとても景色が新鮮に見えます。
大きい船では逆に視点が高くなります。
また人々の生活が裏側から覗けます。
残念ながらインドで舟に乗ったのはムンバイのインド門からエレファンタ島の往復しかありません。
一番早い船に乗り海風に吹かれながらムンバイの町を見るのは気持ちがよいです。
1ボンベイ
一番早い船で行くと参道のお土産物屋がまだやっていないのでとても静かで落ち着けます。
手漕ぎの竹で編んだお椀のようなボートには乗ったことがあります。
南インドのハンピの遺跡に行った時です。
2ハンピ
ハンピの遺跡はトゥンガバドラ川に沿っているので場所によっては車で行くより早くとても楽しいです。
奇岩を見ながら手漕ぎの舟に乗るのは最高です。
パガンのエーヤワディー(イラワジ川)川は夕方の黄昏時が最高です。
3イラワジ
茜色に染まった空と遺跡がとても美しく、また違った角度から寺院が見えて楽しいです。
カンボジアではトンレサップ湖をクルーズし、水上生活者の生活を見ます。
南のタケオからプノム・ダへのボートは雨期にしか味わえない旅です。
4プノムダ
田圃の中をスピードボートが抜けていきます。
ほとんどの人はしませんがアユタヤ観光はボートが最高です。
なぜならアユタヤは川の合流した中州にあるからです。
5アユタヤ
川から見るアユタヤの人々の生活や遺跡はとても新鮮です。
バンコクーアユタヤ間のランチクルーズも面白いです。
私が行っていた頃のバンコクはまだ水上マーケットがありとても楽しかったです。
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ホテルの前からボートに乗り水路に入り果物や麺類を買って食べます。
バンコクは水上交通が発達しているので渋滞する道路より、ボートの方が便利でとてもわくわくします。
ラオスのルアンプラバンも川に囲まれています。
7ラオス
ボートに乗ってTHAM TINGの洞窟へ行きましょう。
メコンの風がとても心地よく感じます。
ベトナムの南はジャングルクルーズで有名です。
8クーロン
私はクーロンで乗り、果樹園などを回り、近場で取れた魚料理を堪能しました。
サイゴンではサイゴン川のディナークルーズです。
マジェスティクホテルの前から魚の電飾の大きな船であまりきれいではないサイゴン川をクルーズします。
ここの食事が素晴らしいのです。
9ベンゲイ号
一切期待していませんでしたが、ハトを始め何を食べても美味しいのです。
現地の家族連れの人達が多いわけがわかりました。
中部ではホイアンのトゥーボン川クルーズも楽しいですがフエのフォン川の廟を巡るクルーズは最高です。
11フエ
ティエンムー寺院や、帝廟をボートで回ります。
北ではハロン湾クルーズでしょう。
日帰りはダメです。
絶対船中で一泊してください。
10ハロン湾
最高の経験が出来るでしょう。
近くには陸のハロン湾といわれるタムコックがあります。
畑の中を通り奇岩を見ながらの手漕ぎボートの旅です。
12タムコック2
大小関係なく船に乗るのはとても楽しく異次元の体験です。
香港で絶対行かなかったジャンボという船上の中華レストランへ行くことになってしまいました。
黄昏時ネオンが輝き始める時間です。
桟橋の艀に乗ってレストランへ向かいます。
13ジャンボ
艀がネオンで輝くレストランにつきます。
まるで映画のワンシーンみたいで興奮します。
このシチュエーションが最高で食事なんてどうでも良いです。
川があったらボートに乗ってみましょう。
きっと楽しい体験が待っています。

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旅の話 その7(ビンロウジ・キンマ)

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最近はあまり見かけなくなりましたが80年代はインド・東南アジア・東アジア全域でキンマを噛む習慣が見られました。道端や駅、飛行場にも点々と赤い血の様なものが染み付いていました。
これはビンロウと言うヤシ科の植物の実(ビンロウジ)を薄く切って乾燥させたものに石灰を混ぜ、キンマの葉で包んで噛みます。
キンマ6
するとアルカロイドを含む種子の成分と石灰、唾液の混ざった鮮やかな赤や黄色い汁が口中に溜まります。
この赤い唾液は飲み込むと胃を痛める原因になるので吐き出します。
しばらくすると軽い興奮・酩酊感が得られますが、依存性があり、何回も用いると次第に手放し難くなります。
赤いシミはこれが原因です。
キンマ(ベテル)は胡椒科の蔓草で葉はハート形でつやがあります。
キンマ7
葉には薬効があり、健胃薬、去痰薬またアーユルヴェーダでは媚薬として用いられました。
いわゆるビンロウジ(キンマの葉で包んだもの)は古来から高級嗜好品として愛用され、ビンロウジとキンマの葉は夫婦の象徴として、インド・東南アジアでは結婚式に際して客に贈る風習があります。
また上流階級では、唾を吐く痰壷やキンマ、ビンロウジの道具入れなどの用具が発達し、漆を塗った凝ったものや陶器の壷なども愛用されました。
キンマ8
東ジャワにある14世紀に建立されたCANDI PANATARANN寺院の壁面に彫られた「クリシュナヤーナ」物語のパネルにキンマの道具入れと痰壷を持った従者が彫刻されています。
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「ラーマーヤナ」の物語が彫刻されている壁面にもサルの従者が道具入れと痰壷を持っています。
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常用者は減ったとはいえ、地方へ行くと口の中を真っ赤にしたおじさんやおばさんが見受けられます。
ビンロウジに入れるものは基本的にはビンロウジ、石灰、キンマの葉ですが好みによって色々なものを入れます。
キンマ1
多いいのはタバコの葉です。
カルダモン、シナモンなどのスパイスもよく混ぜられ、砂糖などの甘味料、ライムなどの柑橘系果物も搾ったりしている様です。
口の中が赤くなり、唾を頻繁に吐くため若い人の常用者はあまり見かけません。
私は以前パラオに行った時にボートの上で経験しました。
それはタバコの葉が入っているもので当時喫煙者であった私は興味本位で噛んでみましたが酩酊感や高揚感はあまり感じませんでした。
口の中がえぐく、唾が沢山出てきました。
口の中も少し感覚が鈍くなった様です。
赤くなった唾を海に吐いていると、自分がパラオ人に近づけた様な気がしました。
キンマ4
最近は口腔がんの原因になるとの報告もありますが茶飲み友達のように老人達がビンロウジを噛みながら世間話をするのを無理矢理止めることもない様な気がします。
近い将来、この習慣はなくなりますから。

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旅の話 その6(乗り物)

サンチ−2塔008
私の旅はほとんどが自動車を利用します。
しかし村の中や町の中では手軽な乗り物であるシクロやリクシャーが活躍します。
町や村の匂いや音、空気を感じることが出来るので大好きです。
値段の交渉という難題がありますが。
これらの手軽な乗り物としては動物が動力、人が動力、自転車が動力、三輪自動車やオートバイが動力のものがあります。
人が動力のものは日本の人力車が名前の由来になったリクシャーがあります。
1カルカッタ
私がインドへ行き始めた時点ではリクシャーからサイクルリクシャーになり、見かけたことはありましたが乗ったことはありません。
ドミニク・ラピエールの「歓喜の町カルカッタ」は人力車夫の事や下層階級の生活が描かれていてとても興味深く読みました。
お勧めです。2varanasi
「CITY OF JOY」という名前で映画にもなりました。
動物が動力の馬車や牛車も田舎で見かけます。
馬車はミャンマーのパガン遺跡を巡るには最高です。
牛車は同じくミャンマーのシュリクシェトラの遺跡を巡るときに乗りました。
ほとんど道なき道を4WD顔負けで走破します。
乗っているのも大変ですが、夕方の黄昏時を牛車で巡るのは至福の時間です。
自転車が動力のもは座席が前にあるもの、後ろにあるもの、横にあるものなど色々です。
ベトナムではシクロと呼び座席は前です。
3ハノイシクロ
まだ車もオートバイもあまりない時代は、市民も観光客もシクロに乗ってサイゴンの町はシクロだらけでした。
「青いパパイヤの香り」で一躍名を馳せたトラン・アン・ユンの第2作「シクロ」もお勧めの映画です。
カンボジアでもシクロは大活躍です。
一度プノンペンで友人6人シクロに乗り国立博物館へ行きましたが、5人は若い運転手で、1人だけとても高齢の人にあたりました。
4プノンペンシクロ
若い運転手はスイスイ走りますが、高齢のおじいさんはよだれを垂らしながらゼイゼイ言って遅れます。
友人は心配になって車から降りておじいさんを休ませ、だいぶ遅れて着きました。
よだれを垂らし、ゼイゼイいいながらお金をもらって喜ぶおじいさんの顔が忘れられません。
シェムリアップでは後ろに座席のあるシクロに乗りました。
5シェムリアップ1991017
インドネシアではベチャといいやはり座席は前です。
6インドネシアベチャ
ミャンマーではサイカーと呼び、座席は横に付いています。
おそらくサイドカーのことだと思います。
夕暮れ時にシェダゴンパゴダまでドライブとは洒落ています。
7ミャンマーサイカー
南国の空気にサイクルリクシャーはぴったりです。
これらの国では次第にサイクルリクシャーも減って、オートリクシャーに変わりつつあります。
エンジンでは味わえない、こぎ手の息づかいが聞こえるサイクルリクシャーは町にも人にも優しく、異国の空気を観光客にもたらせてくれる魔法の乗り物です。

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