2020/02/10
食べ物の話23 (エビフライ)

最近エビフライは大衆料理になってしまいどこのファミレスでも比較的安い料金で食べられます。
エビの種類が違っているのだと思います。
私の一番の思い出は日本橋の丸善の裏にあったレストラン紅花です。

今もありますが当時はレンガ造りで地下に降りていった記憶があります。
地下はとても広く赤いテーブルクロスに白いナプキンが置いてあったのか、ギンガムチェックのテーブルクロスか覚えていませんが、赤と白が綺麗だったことは覚えています。
ここのトレードマークのコック帽子をかぶり、口髭を生やしたおじさんがいつも入り口に立っていて席に案内してくれました。
このおじさんの顔が看板やマッチになっていました。

おそらくオーナーの青木氏だと思います。
ここへ行くといつも決まって私はエビフライでした。
そしてもう一つの楽しみがアイスクリームです。
普通のバニラアイスですがガラスの器にデパートなどの3倍は入っていました。
当時のエビフライは高価でした。
おそらく今みたいに輸入の安いエビ(ブラックタイガー、バナメイエビなど)がないので、車海老が大きい大正海老だったと思います。

エビフライはトンカツと同じく日本発祥の料理です。
明治時代にカツレツと天ぷらから考案された説や銀座の煉瓦亭で考案された説があります。
少し大きめの車海老が2本有頭で出されるのが最高です。

これにレモンとタルタルソースが付きます。
付け合わせはキャベツの千切りです。
もちろんドレッシングがかかっています。
そこにトマトが一切れつきます。

私の好みでは、まずレモンを絞り、ウースターソースを掛け、タルタルソースをつけて食べます。
頭は手で中身をくり抜き、外側の硬い殻を残し足もすべて食べます。
尻尾もです。

つまり最後にお皿(ステンレスが好ましい)の上には頭の殻が二つ残った状態です。
大正海老の場合はとても大きいので有頭が一本です。
少しランクが下がるところでは有頭ではありません。
小ぶりのエビが2、3本です。
付け合わせにはポテトサラダが付きます。
輸入エビのおかげで、料金は下がりどこでも食べられるようになりましたが、悲しいことに主役の座から降ろされ、トッピングになってしまいました。
トンカツとのコンビネーションはまだ良いのですが、ステーキ、ハンバーグ、カレー、スパゲッティー、についてくるのです。

それもプリプリなら良いのですが、ほとんど衣もスカスカの貧弱なエビです。
悲しくなります。
王道の有頭エビフライを食べさせてくれるレストランがほとんどなくなりました。
王道ではありませんがエビフライの美味しい食べ方としてエビフライサンドウィッチがあります。
エビフライをカツサンドのように食パンで挟みます。
味付けはソースとタルタルソースです。

だいぶ昔に上野の松坂屋デパートの特別食堂で食べてから大ファンになりました。
しかし松坂屋の特別食堂には魅力的なメニューが沢山あるので中々食べられません。
それでなくても上野には美味しいお店が沢山あるのですから。
エビフライは日本の食べ物ですがやはり魚用のナイフとフォークで食べます。
どうしてもエビフライはトンカツ屋になってしまいます。
最近は高級なエビフライ専門店もいくつかできました。
私は洋食屋の有頭エビフライが食べたい。

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