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映画の話 その66(バグダッド・カフェ)

108ウルクドロ(ビモ)
バグダット・カフェは観終わると心が温かくなって、優しい気持ちになる映画です。
バグダッド・カフェ1
パーシー・アドロン監督は言っています。
「バグダッド・カフェは人種もバックグラウンドも違う二人が友情をはぐくみ、お互いに対する思いやりを持つという物語だ。そして、理解すること、偏見を乗り越えること、ただ囚われの身になっていたかもしれない自分自身の人生を自由に解き放つことについての物語だ」と。
それは監督の望み通り成功しました。
舞台はモハーヴェ砂漠の中にあるさびれたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンド「バグダッド・カフェ」で、物語は全てここで進行しますので舞台劇でも十分だと思いましたが、主人公の砂漠の空気は舞台では届きません。
この映画のオープニングでアメリカを旅行中のドイツ人・ムンシュテットナー夫妻の車が、ラスベガスに向かう途中でエンストし夫婦喧嘩の末、妻・ジャスミン(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は間違えて夫のスーツケースを持って車を飛び出します。
バグダッド・カフェ2
モハーヴェ砂漠を歩き続けるジャスミン、滴り落ちる汗、バックで流れる「Calling You」、ここで観ている人は砂漠の空気を感じこれから起こることを想像し映画に引き込まれます。
たどり着いたバグダ・カフェにチェックインします。
バグダッド・カフェ3
そこにはいつも不機嫌で誰彼構わず当たり散らしてしまう女主人ブレンダ(CCH・パウンダー)、愛想をつかされ家を追い出された夫サル、男友達と遊び呆けるブレンダの娘フィリス、1日中ピアノを弾いているブレンダの息子サロモ、妖艶で寡黙な刺青入れの女性、ブーメランを投げてばかりの旅の青年、カウボーイ風の老画家ルーディ(ジャック・パランス)たちが暮らしています。
行くあてもないジャスミンはその中に入って働いていくうちに、少しずつみんなと心を通わせ、砂漠のカフェを変えていきます。
バグダッド・カフェ4
伏線は夫婦喧嘩の際、間違えて持ってきた夫のスーツケースにあります。
そこには夫の服とマジックの教則本しか入っていないのです。
ジャスミンはマジックを覚え、夫の服を着て、カフェで披露します。
バグダッド・カフェ5
それがトラック運転手達に受け、バグダッドカフェは大盛況です。
しかしある日保安官がビザの期限切れと労働許可証の不所持を理由に、ジャスミンをドイツへの帰国を命じます。
みんなの心を虜にしたジャスミンがいなくなり、バグダッドカフェは元のカフェに戻ります。
ところが数ヶ月後、アメリカ市民となったジャスミンがカフェに帰って来ます。
バグダッド・カフェ8
ブレンダたちはジャスミンを迎え入れ、カフェは賑やかさを取り戻します。
私が一番喜んだのは画家のルーディです。
バグダッド・カフェ7
子供の頃から何回も見ている「シェーン」の殺し屋のウィルスンなのです。
ウィルスンがかっこいいのです。
黒ずくめでいつもにやけています。
子供の頃はシェーンよりインパクトがありました。
ジャック・パランスを始め出演者が素晴らしくチロルの衣装が似合うマリアンネ・ゼーゲブレヒトに夢中になってしまいました。
ボブ・テルソンのCalling Youを歌うジェヴェッタ・スティール、とても不思議なカラーの映像、全てが砂漠にマッチしています。
この映画はパーシー・アドロン監督が仕掛けた大人のマジックです。

8-2ウィジョヨクスモの花

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音楽の話 その63(あがた森魚)

ガンジーファ - 022
はっぴーえんどの次はあがた森魚でした。
フォーク派でもガロ派でも無い私ですが、赤色エレジーは強烈でした。
林静一の世界を歌にしました。
そして「乙女の儚夢」を購入しました。
あがた森魚2
弾き語りで始まる「乙女の儚夢」、女学校の「春の調べ」、オルガンで始まる「薔薇瑠璃学園」、昭和歌謡「女の友情」、口上で始まる「大道芸人」、「曲馬団小屋」、ブルース「電気ブラン」、春の調べに対峙する「秋の調べ」、ヒット曲「赤色エレジー」、昭和カントリー「君のハートのクィーンだよ」、名曲「冬のサナトリウム」、「清怨夜曲」など荒削りだけれと、乙女の大正ロマン、浅草のロマンが伝わります。
これを経て傑作「噫無情」が生まれます。
あがた森魚1
プロデュースは松本隆です。
バックははちみつぱい、鈴木茂、後藤次利、矢野誠などで、緑魔子もヴォーカルで参加しています。
1曲目「蒲田行進曲’74」でも分かる通り、今回はキネマが主題です。
港で子供時代の思い出を語る「永遠のマドンナK」、傑作「キネマ館に雨が降る」、「組曲噫無情」、「星のふる郷」の流れは素晴らしい。
あがた森魚6
コミックな「元祖ラヂオ焼き」、アレンジの良いアメリカ映画の主題歌「上海リル」、はっぴーえんどの「はいからはくち」、ドイツのタンゴ「小さな喫茶店」などなかなかの選曲です。
ここでマドンナKが戻ってくる「月曜日のK」、緑魔子がとても可愛い「最后のダンス・ステップ(昭和柔侠伝の唄)」、これも傑作「大寒町」こういう曲を歌わせると最強です。
あがた森魚4
キネマから「テレビヂョン」に変わって終わります。
このアルバムは一言でいえばセンチメンタルです。
日本人のセンチメンタルです。
松本隆とあがた森魚のお互いの世界がリンクしたためにできた稀有なアルバムです。
そして次のアルバム「日本少年‐ヂパング・ボーイ」では世界に飛び出します。
あがた森魚3
2枚組のトータルアルバムです。
今度のプロデュースは細野晴臣です。
今回は細野晴臣とあがた森魚の世界です。
あがた森魚5
そして参加ミュージシャンがすごいです。
これはあがた森魚の実力と人気が認められたからです。
アルバムジャケットはガロ三羽烏の一人鈴木翁二です。
このジャケットがアルバムを表しています。
今まで超ウエットだった世界がドライになります。
サイダーを飲んであがた少年といざ出航です。
7つの海をめぐり、憧れのネモ船長にも御面会です。
ホーソン船長と森魚船員と一緒に出航!
「よーそろー」
くれぐれも船酔いには気をつけて!

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食べ物の話 21(アンコウ)

104ドルパディ
先日アンコウを食べに北茨城まで行ってきました。
親潮と黒潮が交わる鹿島灘海域はプランクトンが豊富で質が良く、久慈漁港や日立漁港、平潟漁港で主に水揚げされている常磐物は築地市場で上物とされていると言うことで平潟漁港へ行くことにしました。
遠かった。
190kmもあり常磐自動車道を通って2時間半です。
1アンコウ
アンコウの旬は11月から2月(特に1、2月)です。アンコウは深海魚であり外見が奇妙であるが食べられない所がないと言われるように、身はもちろん、皮や内臓、エラなど、骨以外は全て食べることが出来る無駄のない魚です。
北茨城のアンコウ鍋の特徴は割下にあん肝を大量に入れるどぶ汁です。
平潟は温泉なので宿に着いたらお風呂へ行きます。
私たちの部屋は露天のコラーゲン風呂の前にあるので直行です。
2アンコウ
この宿は内風呂のほか、露天風呂と貸切風呂が4つもあり楽しめます。
夕食まで時間があるので露天風呂の後、泥が入った泥風呂と、とても深い立ち湯に入ります。
立ち湯は階段になっており、最深部では170cmほどありました。
この宿の浴衣はもちろんアンコウ柄ですが、なんと畳の縁は海の中です。
3−1アンコウ
さていよいよ夕食です。
食事処へ行くとテーブルには一人一人に巨大なお刺身の盛り合わせがあるではないですか。
ヒラメ、カンパチ、ツブ貝、ホウボウ、ボタンエビ、マダイ、そしてアンコウのとも和え、とも酢、蒸肝、ヤナギ(アンコウの頬肉)ですよ。圧倒されます。
3アンコウ
そのほかアンコウのソテー、アンコウの唐揚げにキノコあんがかかったもの、アンコウの煮こごり、が並んでいます。
そして暖かいマコガレイの煮物が登場します。
3−2アンコウ
最後に鍋が運ばれてきます。
味噌の割下にアンコウ、ネギ、ダイコン、ワカメが入っており、その上に大量の肝がのせてあります。
4アンコウ
コンロに火を着け蓋をして少し煮ます。
ひと煮立ちしたら火を止めよくかき回します。
ものすごい濃厚な味です。
5アンコウ
アンコウも色々な部位が入っていてとても美味しいです。
具を食べたらいよいよ「おじや」です。
鍋を一旦調理場へ持って行ってご飯と卵を入れて出てきます。
もう最高です。
満足して部屋に戻ります。
寝る前に部屋の前の露天風呂へ行くと空には満天の星です。
これが露天風呂の醍醐味です。
朝食もおどろきます。
テーブルに並んでいるのはごく普通の温泉卵、さつま揚げ、塩辛、佃煮、サラダなどです。
7アンコウ
が、そこに登場するのは巨大な鯛の塩焼きです。
優勝した関取が持っているやつです。
8アンコウ
さらに味噌汁がここの名物の「豪快汁」です。
野菜や魚が入った味噌汁に熱した石を入れます。
これでお腹がいっぱいです。
10アンコウ
帰りは五浦によって天心記念五浦美術館を見学します。
震災で破壊された六角堂は再建されてました。
9アンコウ
ひと安心です。

8-2ウィジョヨクスモの花

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気になる話 その22 野津唯市「懐かしい未来 沖縄」

サンチ−2塔046
沖縄旅行した際、重要文化財に指定されている中村家住宅を訪れたときです。
とても素晴らしい古い沖縄の豪農の家がとてもよく保存され感激しました。
特に沖縄の古民家に興味があり、その実用性に驚きました。
琉球石灰岩で作られた石垣、入口の門は無く、内部を見えなくするための掘りであるヒンプン(悪鬼の侵入も防ぐ)、防風林としてのフクギの木、屋根は赤瓦でアマハジと言うひさしのように出っ張った構造、そこの魔除けのシーサーが鎮座しています。
中村家の前に入場券発売所があり、休憩所になっています。
見学後、そこでお茶と黒糖ゼリーを出してもらいました。
お土産物も売っており、その中に野津唯市「懐かしい未来 沖縄」と言う画集がありました。
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沖縄には住んだことはありませんが、郷愁を覚え買いました。
自分がその絵の中にいたいと言う願望があたかも自分がその絵の中にいたという状況を作り出し、風の匂いや、南国独特のネットリした空気、物音などを感じ取ることができるのです。
もちろん絵の中で私は子供です。
7〜8歳ぐらいかな。
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キジムナー(ガジュマルなどの古木の精霊)の住む森で遊んだり、虫取り網を持って昆虫を追いかけ、村のよろず屋でアイスキャンデーを食べ、小川で泳いだり、海で魚や貝を採ります。
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ほとんど勉強していません。
たまにガジュマルの木陰で村のお姉さんに宿題を手伝ってもらいます。
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銭湯は友達か父親といきます。
いつもは家や水場で行水ですが熱いお湯に入るのはとても気持ちが良いです。
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家や浜辺で宴会の時は、大人に混じってカチャーシーを踊ります。
お祭りの時は朝まで踊ります。
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うりずんの季節はデイゴの真っ赤な花が咲き乱れ、ウキウキします。
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台風の時は大変です。普段開けっ放しの雨戸を閉め補強の板や木を打ちつけます。
私は中で布団にくるまっています。
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台風明けの空の青さが好きです。
このような世界にこの画集は連れて行ってくれます。
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野津唯市さんは、10歳の時に、ご両親と共に東京から沖縄へ戻り、若狭と与那原に住まれていたそうです。
65歳で定年退職したあと、本格的に油絵を描き始め、沖縄の風土や生活文化を中心に、数々の作品を生み出してきました。
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沖展や沖縄芸術美術展、那覇市民芸術展、二科展などでも多数入選し、その芸術性も高く評価されております。
この画集から感じられることは全員が一つの共同体でお互いがお互いを必要とし、助け合って生きていることです。
おじいさんおばあさんは、村の大人たちを見守り、大人たちは若者を見守り、若者は子供たちを見守り、一つでも上の子は下の子を見守る社会です。
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そしてそれは自然の中で育まれていきます。
最終的に村の人びとは自然に対する畏敬の念を持って生活していくのです。
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そういう中で育った子供たちにはキジムナーが見えるのです。
キジムナー 見てー!!
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映画の話 その65(ウィズネイルと僕)

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ブルース・ロビンソン監督の1987年のイギリス映画です。
イギリスでは大評判になりましたが、日本では1991年に短期間上映されただけでした。
2014年にDVD化されました。
1ウィズネイルと僕
舞台は60年後半、スウィンギングロンドンからヒッピーのアメリカ西海岸に注目が集まった時代のロンドンです。
モッズ終焉のロンドンです。
1969年ロンドンのカムデンタウンのフラットに住む二人の
売れない役者、ウィズネイル(リチャード・E・グラント)と
僕(ポール・マッギャン)はエージェントに頼んで仕事を探していますが代役や端役などの仕事しかこないのでまったく働いていません。
失業手当で暮らしていますがすべてお酒とドラッグでなくなってしまいます。
少し幻覚も見えてきます。
こんな状況から抜け出すためにウィズネイルの叔父モンティの湖水地方にある別荘へ行くことにします。
2−1ウィズネイルと僕
ボロボロのジャガーで大雨の中ボロボロの別荘につきます。
とても寒くて薪集めからしなくてはなりません。
それから食事の調達もです。
隣の農家の人に助けてもらい、なんとか生活していると叔父のモンティがやってきます。
実は叔父はゲイで僕のことを狙っていました。
3−1ウィズネイルと僕
何とか難を逃れてロンドンにもどりますとフラットには友人の麻薬密売人と見知らぬ黒人が住んでいました。
またドラッグと酒浸りの日々です。
4−1ウィズネイルと僕
そんな時エージェントから大役のオーディションの話が来て見事役を勝ち取りました。
演劇学校を出て人一倍プライドの高いウィズネイルは嫉妬します。
これを機にフラットからはなれ、ウィズネイルと別れる決心をした僕は髪を切り荷物をまとめフラットを出ます。
何とウィズネイルは僕を見送ってくれました。
6−1ウィズネイルと僕
雨の中二人で駅に向かい公園で別れます。
別れた後ウィズネイルは公園の狼の檻の前で狼を聴衆にしてハムレットを演じるのでした。
7−1ウィズネイルと僕
とても好きな映画です。
1969年という時代設定が最高です。
世界で価値観が変わった時代です。
二人のファッションが最高です。
ウィズネイルのモッズ風ファッション、僕のださいファッション、ウィズネイルのパンツ一丁で全身にクリームを塗ったファッション、二人のボロボロの下着、麻薬の売人のファッションなど最高です。
8−1ウィズネイルと僕
ミニではなくジャガーのボロボロの車を使うセンス、伯父さんのオープンのロールスロイスなど車のセンスが最高です。
やはりウィズネイルのリチャード・E・グラントの演技が光ります。
9−1ウィズネイルと僕
カリスマ的かっこよさです。
以前お話ししたクリストファー・リー2世です。
ダメ男なのに最初からシェークスピア役者の雰囲気がします。
それは最後のシーンで確認出来ます。
オオカミ相手に演じるハムレットは映画史上に残る名シーンです。
この映画には女性が1人も出てきません(役として)。
それも素晴らしい演出だと思います。
5−1ウィズネイルと僕
音楽も所々でシーンを引き締めます。
イントロのインストロメンタル「青い影」、ジミヘンの「見張塔からずっと」「ブードゥー・チャイル」、ジョージの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」などです。
決して表に出ず、音楽映画になっていない所も素敵です。
ジョージ・ハリソンは若い芸術家やF-1レーサーなどのスポンサーになり、この映画も自分の映画会社「ハンドメイドフィルム」の作品です。
監督のブルース・ロビンソンはこの映画が第一作目で半自伝的な脚本を書きました。
イギリスのユーモア、アイロニーが揃った青春映画の名作です。
さらば青春の光」とともに。

8-2ウィジョヨクスモの花


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