音楽の話 その45(デヴィッド・ボウイ)

ガンジーファ - 008
70年頃だったと思いますがスペース・オディティを聞き驚きました。
まだキューブリックの「2001年宇宙の旅」の余韻が残っていおり、アポロ計画が話題を集めていたときでした。
あまりにも美しく壮大な曲で感動しました。
そして初めて購入したアルバムは「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Marsー屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群」でした。
ボウイ
何と素敵なタイトルでしょう。
5年後に迫る資源枯渇を原因とする人類滅亡の危機に、異星よりやってきたロックスター「ジギー・スターダスト」と彼のバンド「スパイダーズ・フロム・マーズ」の成功から没落までの物語をアルバムにしました。
妖艶さと狂気を兼ね備えた「ジギー」のキャラクターは正にボウイそのものです。
ステージでは宇宙人である奇抜な衣装それも山本寛斎デザインの衣装を歌舞伎で用いる引き抜きを使ったり、蜘蛛の糸を投げつけたりするパフォーマンスは圧巻です。
もともと舞踏家リンゼイ・ケンプにパントマイムを習ったりしていましたので身体の動きがとてもきれいです。
ボウイ4
私は1973年に新宿の厚生年金会館で見ました。
完全にジギーの世界=ボウイの世界に引き込まれました。
今までにないロックスターの出現に大興奮です。
さてアルバムA面に針お落とします。
「Five Years」はシンプルで乾いたロック、オープニングにふさわしい5年後です。
同じくドラムで始まる「Soul love」サッックスがとても印象的な佳作、「Moonage Daydream」はとても面白い曲、「Starman」は言わずと知れた名曲。
最後はRon daviesの「It Ain’t Easy」です。
この泥臭い曲は色々な人がカヴァーしていますがボウイはまるで彼のオリジナルのように歌います。
最高です。
ボウイ3
B面「Lady Stardust」はピアノが印象的で私はとても好きです。
「Star」はスターのジギーがだんだん落ちぶれて、スターにしがみついているのがわかります。
「Hang Onto Yourself」ノリのいいロックナンバー、ミック・ロンソンのギターにしびれます。
タイトルチューンの「Ziggy Stardust」は自分とバンドの歌、最後のZiggy played guitarの
ところは泣けます。
「Suffragette City」はスピーと感あふれるロックナンバーですが仲間ともいざこざがあり、薬と女に溺れるジギー、彼に残されたのは死しかありません。
そして最後の「Rock’n’Roll Suicide」アコースティクギターで淡々と歌うジギー、やがて魂の叫び、ストリングスで終わります。
ボウイ2
新しいヒーローの登場です。
8-2ウィジョヨクスモの花

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映画の話 その42(欲望のあいまいな対象)

66ロジョモロ
ルイス・ブニュエル監督の遺作です。
ストーリーは一人の娘に翻弄される初老のブルジョワ紳士の姿をブニュエル風に描いたものです。
欲望のあいまい
テロ事件が頻発していたセビリアからパリまで列車で移動する初老のブルジョワ紳士マチュー・ファベールは一等のコンパートメントで子連れの婦人、判事、心理学教授と乗り合わせた。
皆が見つめる中で列車に乗り込もうとする若い女にバケツの水を頭からかける。
不審に思うコンパートメントの人達に説明を始める所から物語が始まります。
欲望のあいまい2
水をかけられた女はコンチータと言いマチューの家のメイドで初日に関係を持とう迫ったが断られ、翌日彼女は辞めて出て行きます。
次にコンチータにあったのはレマン湖畔です。
再び関係を迫るが断られる。
パリで彼女に聞いたアパートを訪れると、コンチータはクリスチャンの母親と慎ましく暮らしています。
マチューは母親に大金を払い、コンチータを引き取ろうとするが断られます。
再びバーでマチューに会います。
今度こそと別荘に連れて行くがなんと彼女は貞操帯を着けているのでした。
欲望のあいまい4
失意のマチューはセビリアに旅行します。
そこでフラメンコダンサーをしているコンチータに出会うのです。
マチューはコンチータに家を買って一緒に暮らそうとするが、コンチータは家に鍵をかけて入れないばかりかマチューが見ている前でギター弾きと抱き合い、マチューに罵詈雑言を浴びせます。
欲望のあいまい6
ついに怒りが爆発してパリに戻るために冒頭のセビリアの駅に来たのです。
そしてなんとコンチータが追いかけて来て、マチューに水をかけられたと言うことだったのです。
話が終わったときコンチータがコンパートメントに入って来てマチューにバケツの水をかけ返します。
なんとパリの駅から出て来た二人はとても仲が良さそうです。
後日パサージュを仲良く歩く二人。
突如パサージュが爆破され映画は終わります。
この映画の特徴はコンチータが二人一役なのです。
欲望のあいまい5
やせ形のキャロル・ブーケ、豊満なアンヘラ・モリーナが演じます。
しょっちゅう入れ替わりますが気になりません。
77歳で素晴らしいアイディアです。
もう1つの特徴はズタ袋です。
冒頭のセビリアのシーンでおじさんがズタ袋を担いでいます。
カメラはズタ袋を追います。
コンチータが別荘へ行くことを承諾した場面でもズタ袋を担いだおじさんがカメラの前をよこぎります。
次のシーンではマチュー自身がトレンチコートにズタ袋を担ぎます。
セビリアのレストランから出て来た時もズタ袋をお忘れですよと係の人から言われます。
パリの駅でもズタ袋が沢山運ばれるシーンがあります。
ズタ袋の中身は白い下着や寝間着が入っていることがパサージュのシーンでわかります。
そのなかの1枚は血が付いて破れている。
それをお店の人が繕っています。
マチューはそれを真剣に見ています。
欲望のあいまい3
ズタ袋の意味は私にはわかりませんがこのシニカルなブラックコメディにはとても似合います。
最後の爆破のシーンは伏線として何回も起るテロの爆破やハイジャックの新聞記事で想像がつきます。
ルイス・ブニュエルの懐の深さが解る名画です。

8-2ウィジョヨクスモの花


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寺院彫刻 その49(ハリハラ)

PANATA083-2.jpg
今回はハリハラ像です。
ハリハラ像のハリはヴィシュヌ神、ハラはシヴァ神のことでヴィシュヌ神とシヴァ神の合体した像のことです。
一般的に左側がヴィシュヌ神で右側がシヴァ神です(逆も多数存在)。
ヴィシュヌ側の頭は冠をかぶり手にはヴィシュヌの持物である法螺貝や円盤を持っています。
シヴァ側の頭は髪を結い上げ、手には斧や三叉戟、シカなどを持っています。
その他着衣やアクセサリーも違います。
11Harihara.jpg
ある神話では「ヴィシュヌはある聖者に、自分とシヴァは一体であり、自分の中にシヴァも存在すると告げ、シヴァの様相を示した」とあります。またある神話では「神々とアスラたちが、乳海を攪拌した時に、アスラ達がアムリタを神々に飲まれる前に全て飲み干そうとした。その事に気づいたヴィシュヌは、アスラ達を惑わすためにモーヒニーという美女の姿になって彼等を魅了し、その間に神々にアムリタを飲み干させた。その後、シヴァに一目惚れされ、一夜を共にする事になる。そうしてハリハラ(アイヤッパン)が生まれたとされる」とあります。
何れにしてもシヴァとヴィシュヌが合体した像で最強です。
しかしハリハラがアスラと戦ったり、何かしたと言う話は知りません。
まずは南インドのバーダーミにある石窟寺院(6世紀後半)を見ます。
ここには4つの窟があり、第1窟に素晴らしいハリハラ像があります。
向かって右側はヴィシュヌで左手に法螺貝を持ち、その隣は妃のラクシュミーで二人の間にはガルーダが彫刻されています。
向かって左側はシヴァで右手に蛇の絡んだ斧を持ち、その隣は妃のパールヴァティーで二人の間には牛のナンディがいます。
1cave1
  BADAMI CAVE-1 6世紀後半
  基壇にはガナ(小人)
  上部には天人のカップル
  腕を組んだガルーダと三叉戟を持つナンディ
  女神の表情が良い











第3屈にも素晴らしいハリハラ像があります。
この像は頭部、持物、着衣、アクセサリーの違いがよく解ります。
2cave3
  BADAMI CAVE-3 6世紀後半
  シヴァには蛇の巻き付いた斧
  ヴィシュヌには法螺貝
  シヴァには蛇のベルト












南インドのマハバリープラムのDHARMARAJA RATHA(7世紀)の壁龕です。
3DHARMA014
  DHARMARAJA RATHA 7世紀
  ラタの中でもっとも大きい
  斧とチャクラでわかる













同じく南インドのカンチープラムにあるKAILASANATHA寺院(8世紀初め)です。
シヴァに捧げられた寺院でシヴァ神話の彫刻がいたるところにあります。
ハリハラは倚座し足下にはガナがいます。
4KAILASANATHA
  KAILASANATHA寺院 8世紀初め
  寺院の壁一面にシヴァの彫刻
  斧と法螺貝
  足下にはガナ










南インドのアイホーレには沢山の寺院があります。
そこに彫刻の素晴らしい石窟RAVANAPADI(6世紀後半)があります。
壁面にシヴァとハリハラが彫刻されています。
5RAVANAPADI
  RAVANAPADI 6世紀後半
  向かって左は三叉戟を持つシヴァ
  右にハリハラ













南インドのパッタダカルにあるVIRUPAKSHA寺院(8世紀中頃)の壁龕に彫刻されています。
左手に法螺貝、右手に三叉戟ナンディとガルーダを連れています。
壁龕周囲の彫刻も素晴らしいです。
6VIRUPAKSHA
  VIRUPAKSHA寺院 8世紀中頃
  この寺院は壁龕の彫刻が素晴らしい
  三叉戟と法螺貝
  ガルーダとナンディ
  上部は寺院の中に座す神
  下部はトリ(クジャク)










南インドのアランプールにあるSVARGA BRAHMA寺院(7世紀後半)です。
保存状態が良くありませんが頭部で解ります。
7SVARGA BRAHMA
  SVARGA BRAHMA寺院 7世紀後半
  シヴァの三叉戟が残っている













南インドのホイサラー寺院HOYSALESHWARA(12世紀中頃)の彫刻です。
左手には棍棒、チャクラ、法螺貝、右手には太鼓、三叉戟を持ちます。
ナンディもうずくまっています。
8hoysaleshvara
  HOYSALESHWARA 12世紀中頃
  ホイサラー朝独得の彫刻
  足下にナンディがいます











中央インドのTERAHI寺院(8世紀)です。持物や頭部でハリハラと解ります。
9Terahi
  TERAHI寺院 8世紀
  足下にナンディとガルーダ













西インドのオシアンにあるその名もHARIHARA寺院(8世紀)です。
ここには3つのHARIHARA寺院があります。
足下にナンディとガルーダが彫刻されています。
面白いのは身体に巻き付けてある聖なる紐が半分から違っている所です。
10HARI-2012.jpg
  HARIHARA-2寺院 8世紀
  足下にナンディとガルーダ
  シヴァ側の紐はドクロ












このようにインド全土でハリハラは見つかります。
先に述べたようにこれだけ人気があるのにこれと言ったエピソードもありません。
またアイヤッパンとハリハラの関係もよくわかりません。
どう考えても2大神をくっつけただけのような気がします。
とても不思議な像です。

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気になる話 その5(鈴木大拙館)

サンチ−2塔011
以前から鈴木大拙には興味があり、金沢の生誕地の近くにある鈴木大拙館にはぜひ訪れてみたいと思っていました。
鈴木大拙館は仏教哲学者の鈴木大拙の考えや足跡を広く内外の人々に伝えることにより、鈴木大拙についての理解を深めるとともに、来館者自らが思索する場として利用することを目的として建てられています。
素晴らしい建物でモダニズム建築で有名な谷口吉生の設計です。
1鈴木大拙
設計方針は敷地の特長である小立野台地から続く斜面緑地を背景に、石垣や水景などによって金沢を象徴する景観を創造し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを設計の基本方針としたそうです。

建築は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」を回廊で結ぶとともに、「玄関の庭」「水鏡の庭」「露地の庭」によって構成されています。
配置図
この3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することによって、来館者それぞれが鈴木大拙について知り、学び、そして考えることが意図されています。
3鈴木大拙.
入館すると照明を押さえた内部廊下を通ります。
まるで胎内くぐりです。
回廊の突き当たりは展示空間になっています。
ここに展示されているものには解説はおろかタイトルもありません。
大拙の思想に基づき、来館者それぞれが先入観に囚われず自由に感じてもらうためです。
4鈴木大拙.PB230352
隣は学習空間になっています。
所蔵されている大拙の著作、鈴木大拙館を掲載した雑誌のほか、大拙の映像・ラジオを視聴でき、大拙の思想や考えについてじっくり学べるようになっています。
路地の庭にはイサム・ノグチ作のつくばいがあります。
7鈴木大拙.
展示棟を出ると目の前は水鏡の庭。
ただそこにいるだけで大拙が説く「全宇宙」が感じられるようです。
浅く水が張られた水盤に周りに生い茂る樹木や青い空、美しい建物が映りこんでいるさまはどこまでも静謐で穏やかで、定期的に発生する波紋やそよぐ風が立てるさざ波、葉擦れの音は肌に心地よく、時間の流れが空間の中に溶けだしていくような錯覚に陥ります。
5鈴木大拙.
大拙について知り、彼の思想を学び、自ら考える、その最後の要素を司っているのが水鏡の庭に突きだした思索空間です。
白い箱型の建物内部には畳でできた長椅子が整然と並んでいるだけのシンプルな作りで、そこでどのように過ごすかは訪れた人にゆだねられています。
8鈴木大拙
1870年金沢で生まれた鈴木大拙は日本の禅を世界に広く普及させた仏教学者です。
帝国大学で哲学を学びつつ、鎌倉円覚寺で禅を学びました。海外で仏教に関する著作を発表した後、東京帝国大学の講師、学習院大学の教授、大谷大学の教授などを歴任。
日本仏教の魅力を世界に広めるという考えのもと、英文での著作を多く残します。
6鈴木大拙.
1949年には文化勲章を受賞。
1950年より1958年にかけ、アメリカ各地で仏教思想の講義、とくに禅の思想の授業を行い、ニューヨークを拠点に米国上流社会に禅思想を広める立役者となりました。
現代音楽家のジョン・ケージも大拙から禅を学び、アップル創業者のスティーブ・ジョブズも禅の影響を受けていたことは有名です。
9鈴木大拙.
今回訪れて鈴木大拙の思想を建築物に表した谷口吉生の感性に驚きました。
「水鏡の庭」に佇んで二人のコラボレーションを楽しみました。

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音楽の話 その44(スティビー・ワンダー)

ガンジーファ - 009
初めてスティビーの曲を聴いたのは66年頃の「Uptight」、か「A Place in the Sun」です。 
おそらくまだリトル・スティビー・ワンダーと言っていたと思います。
ハーモニカが上手な盲目の天才少年歌手のようなキャッチフレーズだったと思います。
「A Place in the Sun」が好きでシングル盤を買いました。
ワンダー5
次は68年の「For Once in my Life」です。
もうハーモニカが最高でノリノリの曲ですが、実際はアンディウイリアムスが歌うようなスローバラードです。
これ以降スティビーのハーモニカが大好きになり、何とまったく興味のなかった中島みゆきの45回転のLP「つめたい別れ」を購入してしまいました。
ちなみに私はガチガチのユーミン派です。
ワンダー4
「つめたい別れ」では素晴らしいスティビーのハーモニカが聞けます。
これにより中島みゆきが少し好きになりました。
そして69年の「My Cherie Amour」です。なんて素敵な曲でしょう。
何とおしゃれな曲でしょう。
その後あまりスティビーの曲は聴いていません。
72年にリリースされた「トーキング・ブック」で打ちのめされました。
ワンダー1
音が変わったのです。
シンセサイザーやクラヴィネットなどの電子楽器を使いコンセプチュアルなアルバムになったのです。
そしてモータウンでありながらセルフプロデュースです。
パーカッションとエレキピアノが心地よい名曲「You Are the Sunshine of My Life」、「You've Got It Bad Girl」、クラヴィネットが印象的な「Superstition」、ジェフベックのギターがやさしい「Lookin' for Another Pure Love」などが好きです。
このトーキング・ブックと73年の「インナーヴィジョンズ」74年の「ファースト・フィナーレ」が黄金の三部作と言われています。
「インナーヴィジョンズ」はさらにタイトになりA面「Too High」から「Golden Lady」までとても良い流れです。
B面は「All in Love Is Fair」「Don't You Worry 'bout a Thing」がたまりません。
ワンダー2
「ファースト・フィナーレ」は全体的に力が抜けてとてもリラックスしたアルバムだと思います。
ヒットした「You Haven't Done Nothin'」や「Boogie On Reggae Woman」もよいのですが「It Ain't No Use」が好きです。
アコースティクピアノで始まる「They Won't Go When I Go」はとても面白い曲です。
シンプルな「Please Don't Go」もハーモニカが聞けるとても良い曲です。ワンダー3
スティビー・ワンダーはマーヴィン・ゲイと共にモータウンを変えた、さらに言えば黒人音楽を変えた偉大なミュージシャンです。
敬愛するレイ・チャールスの後継者です。

Ωベストアルバム 黄金の三部作

8-2ウィジョヨクスモの花

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