寺院の彫刻 その17(クールマ)

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ヴィシュヌ2番目の化身は亀クールマです。
クールマは単独で彫られることはあまり無く、10化身か乳海撹拌のエピソードの中で彫刻されます。
クールマ
乳海撹拌のエピソードとは「地上の魔族アスラの勢力が強くなり、神々は怯えていた。そこでヴィシュヌに救いを求めた。ヴィシュヌは永遠の生命を保証する霊薬アムリタを飲めば良いと言った。そのためには乳海撹拌を行わなくてはならない。これは神々だけでは不可能な作業でありアスラの協力も必要だったため、神々はアスラと和睦した。アムリタを分け合うことを条件にアスラは協力に応じた。ヴィシュヌは多種多様の植物や種を大海に入れた。マンダラ山を撹拌棒として綱としてヴァースキー龍を巻き付け、神とアスラで引っ張りあった。お互いあまりにも強い力で引っ張りあったため、支点が擦れて海の底に穴が開きそうになった。穴があくと海の水が流れ去り、アムリタは手に入らない。そこでヴィシュヌは亀に変身してマンダラ山の下に潜り撹拌棒を支えた。
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1000年間攪拌が続き、乳海からはさまざまなものが生じた。太陽、月、白い象アイラーヴァタ、馬ウッチャイヒシュラヴァス、牛スラビー(カーマデーヌ)、宝石カウストゥバ、願いを叶える樹カルパヴリクシャ、聖樹パーリジャータ、アプサラスたち、酒の女神ヴァルニー、ヴィシュヌの神妃である女神ラクシュミーらが次々と生まれた。最後にようやく天界の医神ダヌヴァンタリが、アムリタの入った壺を持って現れた。アスラはアムリタを要求し、神々との争いになった。アスラは一度はアムリタを手にしたが、機転を利かせたヴィシュヌ神が美女に変身して誘惑し、心を奪われたアスラたちはアムリタを美女に手渡した。その結果、アムリタは神々のものとなった。神々は永遠の命を得ることに成功したのである。」という話です。
南インドのMYSORE近郊の小さな村SOMANATHAPURAにあるKESHAVA寺院です。
1268年に建立された典型的なホイサラ形式の寺院で壁面すべてに精密な彫刻が施されています。
ここに顔は亀で身体は人(ヴィシュヌ)の珍しいクールマが彫られています。
マツヤに似ていますが4臂の内、2臂でアムリタの壷を持っています。
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  KESHAVA TEMPLE 1268年
  マツヤもそうだがクールマも不気味。
  ホイサラ独得の衣装をつける。













中央インドのNACHNAの寺院には、顔が人で身体は亀のレリーフがあります。
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  NACHNA TEMPLE 5世紀
  とてもユニーク









南インドのVIJAYANAGARAにあるRAMACHANDRA寺院の柱には亀そのもののクールマが彫られています。
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  RAMACHANDRA TEMPLE 15世紀
  マンダパの柱 スッポンに見える。
















南インドのKANCHIPURAMにあるVARADARAJA寺院の柱に顔が人(ヴィシュヌ)で身体が亀の彫刻があります。
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  VARADARAJA TEMPLE 16世紀
  4臂4足

















クールマの彫刻を探すには、乳海撹拌の綱引きを見つけ中心の下の亀を見つければ良いのです。
西インドのCHITTORGARHにあるKALIKAMATA寺院です。
ここでは乳海撹拌のクールマが主役です。
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  KALIKAMATA TEMPLE 14世紀
  乳海撹拌の亀の部分だけを彫刻してある。
















インドのBADAMIの第2窟天井際に乳海撹拌の彫刻がありますが上にあるのでクールマは見にくいです。
第3窟の同じ位置にもあります。
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  BADAMI CAVE 2 6世紀
  









南インドのHALEBIDUには1120年建立のHOYSALESHWARA寺院があります。
ホイサラ様式の寺院の基壇に彫刻されています。
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  HOYSALESHWARA TEMPLE 1120年
  基壇の装飾帯の一部として彫られている。









同じくホイサラ様式のLAKSHIMINARAYANA寺院の基壇にも彫刻されています。
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  LAKSHIMINARAYANA TEMPLE 1250年
  HOYSALESHWARAと同じように基壇の
  装飾帯として彫られている。
  ホイサラ様式の寺院に多い。
  






東インドのVISHUNUPURの町にKESHTA RAYA寺院があります。
10化身が彫刻され顔が人で身体は亀のクールマが彫刻されています。
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  KESHTA RAYA TEMPLE 17世紀
  パネル下段左上部に彫られている。
















壁画はネパールのカトマンドゥにあるKRISHANA NRARAYAN寺院にあります。
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  KRISHANA NRARAYAN TEMPLE
  ヴィシュヌの右足に食らいついている。
















乳海撹拌の彫刻は横に広がるのでスペース的にドアーフレイムの上部、天井付近、基壇などに限られてしまいます。


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