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寺院の彫刻 その60(シヴァ10 両性具有のシヴァ2)

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東南アジアのアルダーナーリーシュヴァラを調べてみますと、彫像は見つかりましたが、寺院彫刻はありませんでした。
東南アジアで寺院彫刻が沢山見られるのはカンボジア・タイ・ベトナム・インドネシアです。
特に多いのはクメール帝国のカンボジアとタイです。
8アルダナリー
クメールの王たちはインドの宗教(思想)を利用して国を統治しました。
ほとんどの王はヒンドゥー教のシヴァ神を絶対神として崇め、王とシヴァ神が合体して王が世界を治める現人神信仰を作り上げました。
そしてその合体する場所として寺院を建立し、王の名前のついたシヴァリンガを祀りました。
従ってクメール寺院のほとんどはシヴァ派の寺院です。
寺院彫刻もシヴァに因んだものが多いはずですが、あまり種類は多くはありません。
ほとんどが「ナタラージャ」か「ナンディに乗るシヴァとウマー」です。
一つはインドの寺院と違い壁龕を作りそこに彫刻したり、身舎に彫刻したりせず、楣や破風に彫刻するため場所が限られる、もう一つはシヴァの話はヴィシュヌに比べて面白くない(ヴィシュヌにはラーマやクリシュナがいる)からだと思います。
そのようなことでアルダナーリーは見つかりませんでした。
9アルダナリー
しかしすでに5世紀には彫像が制作されていたので、早い時期に伝わったことは間違いありません。
ハリハラもそうですが彫刻よりも彫像の方が魅力的な題材なのでしょう。
それでは彫像を見てみます。
とても古い5世紀のアルダナーリーです。
1アルダナリーシュヴァラ(ウボンラチャタニー出土バンコク国立)5世紀
カンボジアとタイの国境に近いウボンラチャタニーで出土し、現在バンコクの国立博物館に保存されています。
とても不思議なのは坐像なことです。
インドでもあまり見かけません。
蓮華座の上に胡座で座り、両手は手首で破損しています。
頭髪は変わりありませんが、シヴァ側にメダリオンのようなものがついています。
顔は左右で違います。
第三の目は半分、目、鼻、口とパールヴァティー側は優しく、シヴァ側は男らしく、ヒゲも蓄えています。
腰衣も左右違います。
10世紀初めのアルダナーリーはバケーン様式で堂々としています。
2アルダナリーシュヴァラ10世紀初め
右半分のシヴァ側は円筒形の髷に三日月の半分を表しています。
左半分のパールヴァティーは三重の宝冠です。
第三の目は半分でパールヴァティー側は若干優しく作られています。
胸はインドほど強調されていません。
ウエストのくびれも気がつかないほどです。
腰衣は素材は同じようで模様が違います。
次も同じ時期の作品です。
3アルダナリーシュヴァラ10世紀初め
10世紀後半のコーケー様式のアルダナーリーです。
4アルダナリーシュヴァラ10世紀初め
頭部もあまり変わらず、半分の第三の目と左のパールヴァティーのイアリングが目立つ程度です。
同じく10世紀コーケー様式のアルダナーリーがホノルル美術館にあります。
5アルダナーリー10Stone_sculpture_of_Ardhanarishvara_from_Cambodia,_Koh_Ker_style,_10th_century,_Honolulu_Academy_of_Arts
この像は今までの像と比べてスタイルが良く、パールバティー側の胸の下のシワの線がありません。
着衣はとてもシンプルです。
バッタンバンで見つかった13世紀のアルダナーリーは肉感的です。
6アルダナリーシュヴァラ13世紀BATTAMBANG
そのほか東ジャワで見つかった14〜15世紀の像はアルダナーリーと言われていますが、よくわかりません。
7Ardhanari, East Java, 14-15th c
東ジャワの像は神に似せた王、女王のポートレートスタチューが多く、宝冠が左右少し違うようにも見えますが、顔、胸、腰、着衣に違いが見つかりません。
ベトナムでも見つかりませんでした。
東南アジアでは作品として地味ですので、寺院彫刻としてはあまり使用されないモチーフです。
そのかわり彫像としては魅力的な題材だったと思われます。

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