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寺院の彫刻 その52(シヴァ2 リンゴードゥバヴァ)

PANATA079.jpg
今回はリンガから現れるシヴァ(リンゴードゥバヴァ)です。
この神話は『宇宙の消滅後,ヴィシュヌ神が混沌の海を漂っていると(アナンタ龍の上に横たわるヴィシュヌ)、光が現れブラフマー神が姿を現した。ブラフマー神はヴィシュヌ神を見つけると,自分より先に存在している者がいることに驚いた。
「私はあらゆるものの根源である創造者ブラフマーである。貴方は一体何者か」「私こそ宇宙の根源、諸々の世界の創造者ヴィシュヌである。貴方こそ何者か」宇宙の創造者を自認する二人は譲らず激しい口論になった。
そのとき二人の目前に大閃光を発しながら巨大なリンガが出現した。
               (ロサンジェルス美術館)
12世紀初めロサンジェルス美術館
その根は水中深く没し、頂は天空高くそびえている。
驚いた二人は口論をやめ、このリンガの果てを見てきたものを創造者と認めることを約束した。
ブラフマー神は巨大な翼を持つ白鳥に姿を変え、天高く飛翔し1000年もの間、上昇を続けた。
ヴィシュヌ神も山のような大きさの猪に姿を変え1000年間、水中深く潜行を続けた。
                  (ギメ美術館) 
ギメ美術館
ところがどこまで高く飛んでも、どこまで深く潜行しても巨大なリンガの果てを見極めることは出来なかった。
二人の神は元の場所へ戻り、お互いの能力をはるかに超えた存在があることを認めた。
するとどこからともなく、「オーム」という明快な響きが聞こえ,リンガは突如として炎につつまれた。
そしてその中から1000本の手と1000本の足、3つの眼を持つシヴァ神が現れた。
               (サンフランシスコ美術館)
Asian Art Museum of San Francisco
シヴァは「聞くが良い、私達は本来一体であったが、ブラフマーは私の右腰から生じ、ヴィシュヌは左腰から生じたのである。いずれカルパの始まる時にブラフマーはヴィシュヌのヘソから生まれ、私はヴィシュヌが憤怒するとき、その顔から生まれるであろう」と告げるとシヴァは姿を消した。
このとき以来人々はリンガに対する信仰を始めたのである』
               (バーミンガム美術館)
バーミンガム美術館1150年
この話はヴィシュヌ神に対するシヴァ神の優位を表す話なのでヴィシュヌ派の人々は認めません。
シヴァの神話は主に南インドで好まれて彫刻されています。
彫刻としては中央にリンガ、そこから現れるシヴァ、リンガの上部にブラフマーの乗り物である白鳥、下部にはヴィシュヌの化身の野猪ヴァラーハが彫刻されています。
場合によってはリンガの左右にヴィシュヌとブラフマーが彫刻されます。
それでは一番古い南インドALAMPURアランプールのSVARGA BRAHMA寺院から見ていきます。
1SVARGA BRAHMA
  SVARGA BRAHMA TEMPLE 689年
  左右にブラフマーとヴィシュヌ、下部左に白鳥の
  ブラフマーと右に猪のヴィシュヌ、上部左は
  空を飛ぶブラフマー右は剣を持つ女神(大地の女神?)












南インドカンチープラムのKAILASANATHA寺院です。カンチープラムは7〜9世紀にかけて、パッラヴァ朝の首都として栄え、KAILASANATHA寺院は特に重要な寺院です。
2KAILASANATHA.jpg
  KAILASANATHA TEMPLE 8世紀初め
  ラージャシンハ2世が建立
  壁龕中央のリンガの中にフル装備をしたシヴァ、
  左側の小壁龕にブラフマー、 右側の小壁龕に
  ヴィシュヌ、リンガの下部にヴィシュヌの
  化身ヴァラーハ









次はパッタダカルのVIRUPAKSHA TEMPLEです。
3virupaksha.jpg
  VIRUPAKSHA TEMPLE 733〜746年
  ヴィクラマディティヤ2世(733~746)の二人の王妃に
  よって740年に建立された。パッラヴァに勝利した
  戦勝記念としてカンチープラムから連れてこられた
  建築家グンダによって建てられた。 
  従ってカイラーサナータ寺院を模している
  彫刻は細かいが下部の保存状態が良くない。
  リンガ上部に文様。左にブラフマーらしきものが
  彫刻されている。おそらく右下にもヴィシュヌ
  の痕跡がある。 
  壁龕上部には素晴らしいガジャラクシュミーが
  彫刻されている。



西インドのエローラ石窟寺院です。第15窟に素晴らしい彫刻があるのですが、真っ暗で見えません。
4E-CAVE15018 2
  ELLORA CAVE 15 8世紀中頃
  左にブラフマー、右にヴィシュヌ、左上に飛翔する
  ブラフマー、 右下にヴァラーハ、
  暗いので良くわからない。











南インドのTIRUPPATTURにある寺院の一角に8世紀のパッラヴァ朝のKAILASANATHA寺院があります。放置されたままなので保存状態がとても悪く、表面の漆喰が剥がれてボロボロです。
5KAILASANATHA(TIRUPPATTUR).jpg
  KAILASANATHA寺院 8世紀
  中央の壁龕にリンガから現れるシヴァ、
  他の彫刻はわからない 
  左右にはパッラヴァ朝のシンボルの
  シンハ(獅子)の柱が彫刻されている










南インドのパッタダカルにあるKASHIVISHVANATHA寺院です。
6kashivishvanatha.jpg
  KASHIVISHVANATHA寺院 760年
  北方寺院で内部の柱に色々なシヴァの
  彫刻パネルがある。中央にリンガから
  現れるシヴァ、左にブラフマー、右に
  ヴィシュヌ、ヴィシュヌの足下に
  ヴァラーハ、頭上に象に乗る神や
  動物に乗る神、ブラフマーの周りにも
  動物に乗る神々が彫刻されています。
  全員穏やかな顔をしています。


タミルナードのキーライユールKALAIYURのAGASTYESHVARA寺院はチョーラ朝と婚姻関係を結んだパルヴェータライヤル家の建立です。
7AGASTYESHVARA(KALAIYUR).jpg
  AGASTYESHVARA寺院 9世紀後半
  中央にリンガから現れるシヴァ、左にブラフマー、 
  右にヴィシュヌ、上に白鳥、下にイノシシの
  オーソドックスな彫刻です。












タミルナードのプッラマンガイPULLAMANGAIのBRAHMAPURISVARA寺院です。
建築当初の初期チョーラ朝寺院の姿を残しています。
8BRAHMAPURISVARA(PULLAMANGAI).jpg
  BRAHMAPURISVARA寺院10 世紀初め
  中央の装飾されたリンガから現れるシヴァ、
  右にブラフマー、 左にヴィシュヌ、
  上に飛翔するブラフマー、
  下にイノシシの素晴らしい彫刻です。










タミルナードのタンジャブールTANJAVURのBRIHADISHVARA寺院です。
ラージャラージャ1世が建立した本殿が60mを超える大寺院です。
9BRIHADISHVARA(TANJAVUR)2.jpg
  BRIHADISHVARA(RAJARAJESHVARA)寺院 
  1003〜1009年
  巨大な壁龕の中央にリンガから現れるシヴァ、
  左に小さくブラフマー、右に小さくヴィシュヌ、  
  上部に飛翔するブラフマー、下部にヴァラーハ。










ここにはもう一つあります。
9-2BRIHADISHVARA(TANJAVUR).jpg
  BRIHADISHVARA(RAJARAJESHVARA)寺院
  シンプルでリンガから現れるシヴァの左下に
  ひざまずくヴィシュヌ












タミルナードのガンガイコンダチョーラプラムGANGAIKONDACOLAPURAMにはラージャラージャ1世の息子ラージェンドラ1世が建立したBRIHADISHVARA寺院があります。
10GANGAIKONDACOLAPURAM.jpg
  BRIHADISHVARA寺院 1025年
  壁龕には巨大なリンガから現れるシヴァ、左右と
  上部には彫刻がないが下部にヴァラーハのみが
  彫刻されている。











タミルナードのダーラースラムDARASURAMにはラージャラージャ2世の建立したAIRAVATESHVARAがある。
11AIRAVATESHVARA(DARASURAM).jpg
  AIRAVATESHVARA寺院 12世紀後半
  中央に黒い石に彫られたリンガから現れるシヴァ、
  左にブラフマー、右にヴィシュヌ、リンガの上部
  にブラフマー、下部にヴァラーハが彫刻されている。











これらの彫刻はシヴァ神の優位性を表しています。南インドのシヴァ派の寺院でよく見られます。
インドの他の地域、東南アジアではあまり見かけません。

ホームページ  www.ravana.jp

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