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映画の話 その55(パリ、テキサス)

85ドルストジュムノ
ヴィム・ヴェンダース監督のロードムービーの傑作と言われた作品です。
パリテキサス1
当時はジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」もあり、甲乙つけがたい作品です。
モノクロ対カラー、ジョン・ルーリー対ハリー・ディーン・スタントン、ライ・クーダ対スクリーミン・ジェイ・ホーキンス、ニューヨークの下町エスター・バリント対テキサスの砂漠です。
私としてはジャームッシュの勝ちです。
しかし「パリ、テキサス」は名画です。
4年前に妻子を捨てて失踪した兄のトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)がテキサスの砂漠で行き倒れていたという連絡を受けたウォルト(ディーン・ストックウェル)は病院に引き取りに行く。
パリテキサス3
トラヴィスは口をきかないため、記憶があるのかないのか、何を考えているのかまるでわからない。
自分の家に連れて帰ろうとするが飛行機に乗ることは拒絶する。
仕方がないのでレンタカーで妻とトラヴィスの息子が待つカリフォルニア州ロサンゼルスへと向かう。
当初、全く喋らなかったトラヴィスだが、やがて自分がテキサス州のパリスへ行こうとしていたことを明かす。
トラヴィスによると、パリスは彼らの両親が初めてセックスをした土地であり、それ故トラヴィスはパリスに土地を買ってあるのだという。
ウォルトはロサンゼルスに住んでいて、妻のアン(オーロール・クレマン)と共に8歳になるトラヴィスの息子ハンターを我が子のように面倒を見ている。
再会したもののぎこちないトラヴィスとハンターではあるが、5年前にトラヴィス、トラヴィスの妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)、ハンター(ハンター・カーソン)、そしてウォルトとアンヌの5人で撮影した8ミリフィルムを見たときから少しずつ二人の関係は変わっていく。
パリテキサス2
アンヌは最初はハンターをとられてしまうのではと思い不安になっていたが、ハンターの様子を見てやはり本当の親にはなれないと理解した。
そこでトラヴィスに「ジェーンがヒューストンの銀行から毎月送金してくる」ことを教えた。
トラヴィスは中古で車を買い、ハンターにジェーンを探しに行くと告げると、ハンターも自分も行きたいと言い出し、そのままヒューストンへ旅立つ。
銀行の駐車場で見張っているとジェーンらしき人物がのった赤い車を見つける。
パリテキサス4
二人は車を追うが不思議な建物に入る。
トラヴィスはハンターを車に残して建物に入った。
そこはいわば「のぞき部屋」でブースの中にはマジックミラーをつけていて、客からしか見えないようになっている。
ジェーンを呼んでその姿を確認したが、トラヴィスは黙って出て行った。
翌日、トラヴィスはハンターにテープレコーダーで別れを告げて再度のぞき部屋へ行く。
再びジェーンを呼び、自分の気持ちを語る。
パリテキサス5
姿は見なくてもそれがトラヴィスであることを知ったジェーンも自分の気持ちを語った。
最後にハンターのいるホテルのルーム・ナンバーを告げ、トラヴィスは去った。
ホテルで一人でいるハンターの前にジェーンが現れた。
寄り添う二人の影を確認して、トラヴィスは闇の中に去って行く。
ベランダに靴を並べるシーン、ハンターとトラヴィスが打ち解けてくるシーン、覗き部屋の二人、見どころ満載です。
ドイツ人が作ったアメリカ映画の傑作です。
ジョンルーリーもチョイ役で出ているよ。

8-2ウィジョヨクスモの花

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石の巡礼 その8(稲荷原の本門戒壇院八大龍王)

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今回は茨城県稲荷原にある本門戒壇院の八大龍王像を訪れます。
稲荷原の本門戒壇院(八大龍王)
本門戒壇院は柴又にありましたが、こちらに移祀されました。
昭和の初めに建像されたもので古いものではありませんが、技術や意匠が素晴らしく、またとても珍しい像なので必見です。
八大龍王は法華経に登場する蛇(ナーガ)王で、霊鷲山で釈迦の教えに耳を傾け、その結果、覚りを超える境地に至り、護法の神となりました。
本門戒壇院にはこの八大龍王が釈迦如来を囲む形で安置されています。
まず境内に入ると正面左右に邪悪なものの侵入を阻止する門神としての金輪大王と銀輪大王が安置されています。
金輪大王は化仏を乗せ、邪気を踏み潰しています。
金輪大王
銀輪大王には化仏はありませんが、足元で龍がとぐろを巻いています。
銀輪大王
ともに忿怒の形相です。
その先には釈迦を祀ってある基壇がありその周りに龍王が安置されています。
正面右から左周りにまず
難陀(ナンダ)龍王
歓喜を意味し、難陀と跋難陀は兄弟竜王で娑伽羅(サーガラ:大海)竜王と戦った。
1難陀
跋難陀(ウパナンダ)
亜歓喜を意味し、難陀の弟で難陀竜王と共にマガダ国を保護して飢饉なくし、釈迦如来の降生の時に雨を降らせ、説法の会座には必ず参加し、釈迦入滅の後は永く仏法を守護した。
2跋難陀
娑伽羅(サーガラ)
大海を意味し、龍宮の王で大海龍王ともよばれ法華経・提婆達多品に登場する八歳の龍女はこの龍王の第三王女で「善女(如)龍王」と呼ばれた。
3娑伽羅
和修吉(ヴァースキ)
宝を意味し、数が極めて大きく強力であるという意で「九」を冠し九頭とされることもあり、「九頭龍王(くずりゅうおう)」、「九頭龍大神」等 呼ばれることが日本では多く、九頭一身と言われ考えられるようになる。
4和修吉
徳叉迦(タクシャカ)
多舌や視毒を意味し、徳叉迦が怒って凝視された時、その人は息絶えるといわれ、身延鏡と金光明経から七面天女は、タクシャカ龍王の娘とされている。
5徳叉迦 
阿那婆達多(アナヴァタプタ)
清涼や無熱悩を意味し、阿耨達(あのくだつ)龍王とも呼ばれ、ヒマラヤの北にあるという神話上の池、阿耨達池(無熱悩池)に住み、四方に大河を出して人間の住む大陸 閻浮提(えんぶだい、贍部洲 せんぶしゅう)を潤すとされている。
6阿那婆達多
摩那斯(マナスヴィン)
大身、大力を意味し、阿修羅が海水をもって喜見城を侵したとき、身を踊らせて海水を押し戻したといわれている。
7摩那斯
優鉢羅(ウッパラカ)
青蓮華や黛色蓮華池を意味し、青蓮華龍王とも呼ばれ青蓮華を生ずる池に住んでいて、インドでは花弁や葉などの形状を比喩的に眼を現すことに使われるが、特に青睡蓮は美しい眼の喩えとなっている。仏教では仏陀の眼は紺青色とされ、三十二相八十種好の一つ「眼色如紺青相」となっている。
8優鉢羅
基壇上には正面に釈迦如来坐像が安置され、
釈迦
右に日蓮上人立像、
日蓮
左によくわからない比丘尼の立像が安置されています。
比丘尼
そのほか境内には法華経の守護神である魚籃観音立像、観音立像、地蔵菩薩坐像などが安置されています。
魚籃観音
龍王はインドではナーガ族で有名なのは、寺院の彫刻その44のガルーダの母親と賭けをしたカドゥルー、寺院の彫刻その25のクリシュナに退治されるカーリヤ、寺院の彫刻その13のアナンタ龍、寺院の彫刻その17の乳海攪拌のヴァースキー龍などがあります。
また旅の話その5でお話しした古い木の根元にナーガの像を祀り、豊穣や多産を祈願する「ナーガッカル」という習慣もあります。
蛇族はインドではとてもポピュラーです。
Kunisada_II_The_Dragon.jpg
これらのナーガが中国を経由して竜王になったと思われます。
稲荷原の本門戒壇院はとても不思議な空間でした。

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音楽の話 その56(ヴァン・ダイク・パークス)

ガンジーファ - 079
今回は全く売れなかったヴァン・ダイク・パークスです。
1968年にリリースされた「ソング・サイクル」は全く売れませんでした。
レコード会社ワーナーは新聞と雑誌に全面広告で損失を公表します。
ヴァンはビーチ・ボーイズの幻のアルバム「スマイル」の共作者として有名です。
ブライアン・ウイルソンと二人で作ろうとしていたアルバム「スマイル」はお蔵入りになってしまい、ヴァンはワーナーと専属契約を結び「ソング・サイクル」を発表します。
ヴァン・ダイク・パークス2
このアルバムはコンセプトアルバムでハリウッドの映画音楽のような人工的で豪華な要素と、アメリカの雄大な自然を思わせる牧歌的な要素との絶妙な融合でした。
サウンド・コラージュを使ったアルバムはプログレッシブで壮大なヴァンの世界を作り上げました。
使われた楽器も多様でストリングスやブラス・セクションはもちろんのこと、ハープ、バラライカ、アコーディオンなども使われています。
Vine Street (Randy Newman)からPot Pourri (Van Dyke Parks)まで12曲ほとんどつなぎがなく流れるように続きます。
ヴァン・ダイク・パークス4
ランディニューマンのヴァインストリートはよきハリウッド映画のようです。
どこかで聞いたようなフレーズがたくさん出てきますが、どれとも違います。
何も考えず、音楽に身をゆだねます。
ヴァン式のミュージックコンクレートで色々な音がストリングスの間から流れます。
音が右から左に、左から右に流れます。
そこにエコーのかかったヴァンのボーカルが入ります。
ポップスから提示した現代音楽の様でもあります。
ヴァン・ダイク・パークス3
このアルバムが出た1968年はThe BeatlesのHey Jude、CreamのSunshine of Your Love 、Otis ReddingのThe Dock of the Bay、 Simon & GarfunkelのMrs. Robinson などロック、R&B、フォーク全盛の時代です。
この時代に「ソング・サイクル」ですよ。
売れるわけがありません。
私も興味を持ったのは70年過ぎてからで、レニーワロンカーの元に集まったランディニューマン、ライクーダ、リトル・フィートなどバーバンクサウンドと呼ばれる人達からです。
そして「ディスカバーアメリカ」です。
ヴァン・ダイク・パークス1
なんと聞こえてくるのはカリビアン・カリプソサウンドなのです。
スティールパンとホーン全開で南国気分です。ジャケットが最高です。
トリニダード行き、ハリウッド行きの2台のパスはこの音楽を表しています。
ガソリンを入れるドラム缶を廃品利用して作ったスティールドラムはとても不思議な音を出します。
ヴァンのアルバムは何回聞いてもいろいろな発見があり、飽きません。
それは彼の音楽に対する姿勢とセンスだと思います。
若い頃の彼の写真を見るたびに思うのですが、どうしてもアメリカのメジャーな新聞社の新聞記者にくっついている助手みたいなのですが、それも1930〜1940年代の。そしていまは編集長かな。

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映画の話 その54(さらば青春の光)

84ゴンドモノ
この映画はイギリス音楽好きには必見です。
この映画はスウィンギング・ロンドン好きには必見です。
この映画は映画好きにはオススメしません。
はっきり言って、脚本、映像、音楽どれも並みです。
しかしドキュメンタリー映画としては中々です。
モッズが好きな人には涙ものです。
原作はザ・フーのピート・タウンゼントが1964年のブライトンビーチの思い出を元にモッズの少年のを主役にした風景を綴る青春物語でザ・フーの「四重人格Quadrophenia」を原作にしています。
1さらば青春の光
映画を観る前にモッズの定義を考えます。
モッズとはモダニストのことで1958年のロンドンで生まれた若者の風俗のことです。
1)ファッション
  細身の三つボタンスーツでサイドベンツ、ボタンダウンシャツにナローネクタイを身に着け、ミリタリーパーカー(M-51)を羽織るのがモッズファッションの基本です。リーヴァイスのジーンズ、フレッドペリーのポロシャツも正統派です。
  靴はデザートブーツ。
2)乗り物
  ライトやミラー、シートを派手にカスタマイズした「ベスパ」や「ランブレッタ」などのスクーター。理由はエンジンがむき出しのバイクだと、スーツが汚れてしまうから。M-51もスーツを風などから守るため。
3)音楽
  彼らが好んだ音楽はアメリカのモダンジャズ、R&Bやソウル、スカなど。初期はUKスーから出されたシングル、その後の2大バンドはザ・フーとスモール・フェイセス
4)嗜好品
  アンフェタミン。特に紫色のパープルハーツ(アンフェタミン+バルビツール)がお気に入り。これを飲んでクラブで踊る。特に「The Scene」「Marquee」「The Flamingo」などがお気に入り。 TV番組「Ready Steady Go 金曜日の夕方」はどんなことがあっても見る。
などが定義です。
5さらば青春の光
物語は1964年ロンドン、モッズの若き青年ジミー・クーパー(フィル・ダニエルズ)の生活をたどります。
まさに上記の通りの生活、ロッカーズとの対立、ハイライトは有名なブライトンのモッズ対ロッカーズの大乱闘、尊敬するモッズのカリスマ「エース・フェイスースティング」が実は平凡なベルボーイであることを知り、エースのスクーターを盗み、崖の上からスクーターを転落させたところで終わります。
4さらば青春の光
オープニングはエンディングでスクーターを転落させたジミーが戻ってくるところから始まります。
そしてスクーターに乗ってロンドンの街を走るところはまるでイージー・ライダーです(音楽はThe Real Me)。
ジミーの表情が最高。
2さらば青春の光
私が一番興味を持ったのはジミーの生活です。
クラブでのダンスや男女のファッション、ジミーの部屋、バスタブを貸すお風呂屋さん、食堂での食事、自宅でのパーティー、お気に入りのカフェ、父親、母親とジミー、床屋、テレビで「Ready Steady Go」を見るところ(もちろんザ・フー)、などです。
クラブやパーティーでかかる曲はまさに私たちが行っていたディスコと同じです。
ダンスも同じようなものでした。
3さらば青春の光
とても親しみが持てる映画です。
リアルタイムのロンドンが楽しめる映画でした。
6さらば青春の光
ザ・フーはとても面白いバンドです。
気になる話 その10(スウィンギングロンドン)と映画の話 その13(欲望)も見てね。

8-2ウィジョヨクスモの花

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