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寺院の彫刻 その57 (シヴァ7 象の魔神を退治するシヴァ) 

PANATA115.jpg
前回の「アンダカを退治するシヴァ 」と良く似た彫刻「象の魔神を退治するシヴァ Gajasamharamurti」の神話です。
「カーシー(ベナレス)にクリッティヴァーセーシュヴァラと呼ばれるリンガがあった。
そのリンガの周囲にバラモン僧が集まり、瞑想に耽っていた時、象に姿を変えた魔人が瞑想を妨害しようとした。
その時シヴァがリンガから姿を現し、その象を殺し、その皮をはぎ取り身につけた」という話です。
この像の見分け方は頭上で象の皮を拡げている、象の上で踊る、頭髪はボサボサである、などです。
まずはエローラのCAVE16窟(8世紀中頃)です。
CAVE16窟
1エローラ16
とても微妙な彫刻です。
象の上で踊っていませんが三叉戟で悪魔を刺していないので「象の魔神を退治するシヴァ 」としました。
南インドKANCHIPURAMのKAILASANATHA寺院(8世紀初め)の彫刻です。
この彫刻は本殿やマンダパではなくこれらを取り囲む小祠堂に彫刻されています。
KAILASANATHA寺院
2KAILASANATHA
象の皮を拡げ、象を踏みつけるシヴァです。
表面が漆喰で塗られていたのですがだいぶ剥がれてしまっています。
足元にはパールヴァティーがいます。
もう一つKAILASANATHA寺院(8世紀初め)にあります。
KAILASANATHA寺院
3KAILASANATHA
本殿の壁龕上部に彫刻され、象の皮を拡げ、象を踏みつけています。
KANCHIPURAMのIRAVATANESHWARA寺院(8世紀初め)です。
IRAVATANESHWARA寺院
4IRAVATANESHWARA
KAILASANATHA寺院と同じ8世紀の初めに建立された寺院で、こじんまりしています。
壁龕に彫刻され象の皮を拡げ、象を踏みつけています。
KANCHIPURAMのMUKTESHWAR寺院(8世紀中頃)の入り口ポーチに彫刻されています。
MUKTESHWAR寺院
5MUKTE011
お尻をこちらに向けて体をひねったポーズで未完成の石の上で踊っています。
足元ではガナもおどっています。
南インドのPATTADAKALにあるMALLIKARJUNA寺院(745年)です。
MALLIKARJUNA寺院
6MALLIKARJUNA
未完成ですが一目で「象の魔神を退治するシヴァ 」と解ります。
同じPATTADAKALのSANGAMESVARA寺院(8世紀初め)です。
SANGAMESVARA寺院
7SANGAMESVARA
これも未完成ですが「象の魔神を退治するシヴァ 」と解ります。
PATTADAKALのKASHIVISHVANATHA寺院(8世紀後半)の内部の柱の彫刻パネルです。
KASHIVISHVANATHA寺院
8KASHIVISHVANATHA
シンプルに象の皮を拡げています。
タミルナード州KALAIYURのAGASTYESHVARA寺院(10世紀)の壁龕です。
AGASTYESHVARA寺院
9AGASTYESHVARA(KALAIYUR)
この寺院は現在も使用されていますので、信者が供物を捧げていきます。
スリムで整った彫刻です。
PULLAMANGAIのBRAHMAPURISVARA寺院(10世紀初め)です。
BRAHMAPURISVARA寺院
10BRAHMAPURISVARA(PULLAMANGAI).jpg
彫刻が素晴らしい寺院です。
このチョーラ朝の寺院は本殿の周囲に堀が巡らされ祠堂が水に浮かんでいる様に設計されています。
「象の魔神を退治するシヴァ 」をはじめとしてたくさんの神話の彫刻が基壇に彫られています。 
南インドのカルナータカ州にある後期チョーラ朝寺院やホイサラ朝の寺院では良く見かけます。
LAKKUNDIのKASIVI SVESVARA寺院(12世紀)です。
KASIVI SVESVARA寺院
11KASIVI004.jpg
MUKTESHWAR寺院の様に尻をこちらに向けて体をひねったポーズで悪魔の上で踊っています。
ガネーシャやパールヴァティーもいます。
とても素晴らしデザインです。
BASARALUのホイサラ朝寺院MALLIKARJUNA寺院(1234年)の基壇はホイサラ朝独特の精密な彫刻で埋め尽くされています。
MALLIKARJUNA寺院
12MALLIKARJUNA(BASARALU).jpg
象の頭の上で踊っていますがシヴァ全体を象の皮で覆っている面白い意匠です。
HALEBIDのHOYSALESHWARA寺院(12世紀中頃)の彫刻も素晴らしい出来です。
HOYSALESHWARA寺院
13ホイサレーシュヴァラ
MALLIKARJUNA寺院と同じ意匠ですがさらに細かく精密です。
VELURのCHENNAKESHAVA寺院(1117年)です。
CHENNAKESHAVA寺院
14チェンナケーシャヴァ
重要なホイサラ寺院で圧倒的な腕の数、象の周りの人々、迫力があります。
DARASURAMの博物館に素晴らしい「象の魔神を退治するシヴァ」の彫像があります。
Nayak Palace Art Museum
15Darasuram, Nayak Palace Art Museum
シヴァのポーズが感動的です。Thanjavurの Rajarajesvara寺院で見つかりました。
象の魔神を退治するシヴァの彫刻も東南アジアでは見つかりませんでした。 

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映画の話 その50(天国の門)

77ソムボ
これほど批判を浴び、酷評された映画もありません。
擁護させていただきます。
素晴らしい映画です。
ハーバードの卒業式、とても綺麗で素敵です。
この20分は必要かつ重要な時間です。
天国の門5
この20分にこれらの人達が、どのように関わって、どのように変わって行くのか考える時間です。
つまり重要なイントロなのです。
そしてワイオミングでのネイト(クリストファー・ウォーケン)の牛泥棒殺しです。
ここでどんな形でジム・エイブリル(クリス・クリストファーソン)との関係になるのかドキドキします。
天国の門4
ジム・エイブリルはワイオミング州ジョンソン郡の保安官となり地元で娼館を経営している娼婦の恋人エラ(イザベル・ユペール)のもとへ行きます。
ワイオミングの自然の中での二人はとても幸せそうです。
天国の門
しかしこの地では移民と牧畜業者の関係が悪化し、戦争が起きるかもしれない状況です。
さらに牧畜業者協会のリーダー、カントン(サム・ウォーターストン)は移民たち150人の処刑者リストを作成し、大統領の了承も得て、会議では多数決で可決されたのです。
そんなことをよそに集会場のローラースケートリンクで楽しそうに踊る移民達。
このシーンは素晴らしいの一言です。
天国の門3
そしてこのスケートリンクが悲痛な運命を決める議論の場に変貌するのです。
この映画の根底をなすのがジムとネイトとエラの三角関係です。
前作「ディア・ハンター」と同じです。
「明日に向かって撃て!」もそうでした。
大学の卒業式からラストの戦闘シーンまでこれほどのシーンを完璧の作り上げた人は知りません。
私達は観客です。
制作費がいくらかかろうと、制作時間がどのくらいかかろうと関係ありません。
この世の中で、大間産のマグロを使おうが、輸入マグロを使おうが、新人の職人が握ろうが、世界的老舗の大将が握ろうが値段は同じなのが映画なのです。
この恩恵にあずからない手はありません。
マイケル・チミノ監督が完璧主義者で映画会社がそれを許したために出来上がった偶然の傑作です。
これを見逃す手はありません。
219分は妥当です。
天国の門2
おまけにINTERMISSION付きです。
おそらくアメリカの映画評論家達は再評価すべきかどうか悩んでいるでしょう。
大作とはこういう映画のことを言うのでしょう。
天国の門7
マイケル・チミノ監督のご冥福をお祈りいたします。

8-2ウィジョヨクスモの花

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旅の話 その7(ビンロウジ・キンマ)

サンチ−2塔025
最近はあまり見かけなくなりましたが80年代はインド・東南アジア・東アジア全域でキンマを噛む習慣が見られました。道端や駅、飛行場にも点々と赤い血の様なものが染み付いていました。
これはビンロウと言うヤシ科の植物の実(ビンロウジ)を薄く切って乾燥させたものに石灰を混ぜ、キンマの葉で包んで噛みます。
キンマ6
するとアルカロイドを含む種子の成分と石灰、唾液の混ざった鮮やかな赤や黄色い汁が口中に溜まります。
この赤い唾液は飲み込むと胃を痛める原因になるので吐き出します。
しばらくすると軽い興奮・酩酊感が得られますが、依存性があり、何回も用いると次第に手放し難くなります。
赤いシミはこれが原因です。
キンマ(ベテル)は胡椒科の蔓草で葉はハート形でつやがあります。
キンマ7
葉には薬効があり、健胃薬、去痰薬またアーユルヴェーダでは媚薬として用いられました。
いわゆるビンロウジ(キンマの葉で包んだもの)は古来から高級嗜好品として愛用され、ビンロウジとキンマの葉は夫婦の象徴として、インド・東南アジアでは結婚式に際して客に贈る風習があります。
また上流階級では、唾を吐く痰壷やキンマ、ビンロウジの道具入れなどの用具が発達し、漆を塗った凝ったものや陶器の壷なども愛用されました。
キンマ8
東ジャワにある14世紀に建立されたCANDI PANATARANN寺院の壁面に彫られた「クリシュナヤーナ」物語のパネルにキンマの道具入れと痰壷を持った従者が彫刻されています。
PANATA247.jpg
「ラーマーヤナ」の物語が彫刻されている壁面にもサルの従者が道具入れと痰壷を持っています。
PANATA182.jpg
常用者は減ったとはいえ、地方へ行くと口の中を真っ赤にしたおじさんやおばさんが見受けられます。
ビンロウジに入れるものは基本的にはビンロウジ、石灰、キンマの葉ですが好みによって色々なものを入れます。
キンマ1
多いいのはタバコの葉です。
カルダモン、シナモンなどのスパイスもよく混ぜられ、砂糖などの甘味料、ライムなどの柑橘系果物も搾ったりしている様です。
口の中が赤くなり、唾を頻繁に吐くため若い人の常用者はあまり見かけません。
私は以前パラオに行った時にボートの上で経験しました。
それはタバコの葉が入っているもので当時喫煙者であった私は興味本位で噛んでみましたが酩酊感や高揚感はあまり感じませんでした。
口の中がえぐく、唾が沢山出てきました。
口の中も少し感覚が鈍くなった様です。
赤くなった唾を海に吐いていると、自分がパラオ人に近づけた様な気がしました。
キンマ4
最近は口腔がんの原因になるとの報告もありますが茶飲み友達のように老人達がビンロウジを噛みながら世間話をするのを無理矢理止めることもない様な気がします。
近い将来、この習慣はなくなりますから。

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石の巡礼 その4(十王4)

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今回は中部・関東地方の十王像です。
それでは群馬県から見ていきます。
群馬県利根郡みなかみ町の旧伽立村の祠に安置されている十王はとても保存状態が良くすべてそろっていますが、私が訪れた時には鍵がかかっていたのでガラス越しからの見学になりました。
小さな像ですがなかなか良い出来です。
                 伽立村十王
2伽立(十王)群馬
3伽立(十王)群馬
沼田市の追母薬師堂の十王も堂内に保存されているので全て揃っています。
石の巡礼十王1で載せた写真は追母薬師堂の十王です。
管理されている方に開けてもらい、十分観察しました。
ここは薬師堂ですので、木造の薬師如来、日光・月光菩薩、十二神将が安置されています。
                 母薬師堂十王
4追母薬師堂(十王)群馬
5追母薬師堂(十王)群馬
前橋市の香集寺には十王像はありませんが、地獄の裁判のセットである浄玻璃の鏡(閻魔王庁に置かれており、この鏡には亡者の生前の一挙手一投足が映し出されるため、いかなる隠し事もできない)、人頭杖(檀拏幢とも言い閻魔王が持つ杖で、杖の上には通称「見る目」「嗅ぐ鼻」と呼ばれる2つの頭部が乗っており、これらは閻魔王が冥府で亡者を裁く際に善悪を感知する)、業の秤(地獄にあって亡者の罪業をはかるという秤)が彫られた石像物が境内にあります。
                 香集寺
6香集寺(業の天秤 十王)群馬
信州の駒ヶ根市東伊那にある大蔵寺は守屋貞治の延命地蔵菩薩で有名ですが、ここに十王堂があり保存状態の悪い十王が安置されています。
大きな石の上に小さな石を乗せただけの十王に見えますがとても哀愁のある像です。
                 大蔵寺十王
7大蔵寺(十王)信州
同じく信州上田の別所温泉にある満願寺の境内には十王を安置した小屋があります。
                 満願寺十王
8満願寺001
埼玉県の熊谷市の光照寺には一石に閻魔王と十王を掘った1695年の像立の十王石仏があります。
上部には唐破風を作り、三段に分けて閻魔王、十王5体ずつを彫ります。
                 光照寺十王石仏
9光照寺十王石仏埼玉
山梨県の大月にある新倉薬師堂の十王は人頭杖、業の秤以外は司禄、司命も揃っています。
薬師堂なので木造の薬師如来、十二神将も安置されています。
                 新倉薬師堂十王
10大月新倉薬師堂(十王・十二神将)
大月の袋香寺には素晴らしい十王塔があります。
袋香寺は無住の荒れ果てた寺院ですが参道に十王塔はあります。
1面に地蔵と司禄、司命、その下部に業の秤、浄玻璃の鏡、人頭杖、他の3面に十王が彫られています。
                 袋香寺十王塔
11大月袋香寺(十王塔)
埼玉県の熊谷市近郊には十王塔が数カ所見つかります。
一つは玉井寺の墓地にあります。
                 玉井寺十王塔
12玉井寺(埼玉)
近くの高柳にもよく似た十王塔があります。
                 高柳十王塔
13高柳(埼玉)
星渓園の庭園の中に2基あります。
                 星渓園十王塔
14星渓園(埼玉)
神奈川県では松田町の覆屋の中に他の石仏と一緒に安置されています。
                 松田町十王
15松田町(道祖神)
真鶴の如来寺跡の十王は特異です。
「岩」という海岸の洞窟の中に安置されています。
迫力のある閻魔像を中心として十王、奪衣婆、人頭杖が並んでいます。
注目は倶生神です。
閻魔王の隣に立っています。
この洞窟の奥にも、もう一体閻魔像が安置されています。
                 如来寺跡十王
16如来寺跡(十王)真鶴

湯河原の駅の裏にある薬師堂の十王も見逃せません。住宅の奥にあり薬師堂の向かって右側には素晴らしい閻魔像と十王が、左側には迫力のある奪衣婆と2像が安置されています。
                 湯河原薬師堂十王
17薬師堂(十王)湯河原
東京では練馬の長命寺です。
東の高野山と言われ境内には沢山の石仏があります。
その中にほぼ等身大の十王が並んでいます。
残念なことに石質が悪いのか崩壊が早そうです。
                   長命寺
18長命寺(十王・十三仏)
板橋区の志村の延命寺地蔵堂には素晴らしい十王塔があります。
立派な唐破風の笠がのった角柱の4面に人頭杖、業の秤、奪衣婆、おそらく司禄と倶生神、九王が彫られ、隣に立派な丸彫りの閻魔王が安置されています。
その前には十三仏が並びます。
                 延命寺地蔵堂十王塔
20延命寺地蔵堂(十王、十三仏)
21延命寺地蔵堂(十王、十三仏)
練馬区の大泉教学院には立派な人頭杖と十王が並んでいます。
                 大泉教学院十王
22大泉教学院(十王)
21大泉教学院(十王)

十王像は鎌倉時代から見つかりますが、庶民の間では江戸時代から全国に浸透していったようです。

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音楽の話 その52(渡辺貞夫)

ガンジーファ - 083
ナベサダの話をするときには、1966〜1967年にNET(テレビ朝日)で放送されていた「VAN MUSIC BREAK」は外せません。
この番組はVANジャケット提供で司会は前田武彦でした。
とてもお洒落な番組で音楽と洋服の着こなし方など若い人にはとても参考になりました。
石津健介がチェックの種類とか色の合わせ方など色々説明してくれます。
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コーディネイトに夢中だった私には大変勉強になりました。
この番組の音楽ディレクターはナベサダです。
バークレイ留学から戻ったナベサダは多くの国内外のミュージシャンと共演する一方でボサノバを日本に紹介します。
そのころNHKでアンディ・ウイリアムス・ショーが放送されます。
ゲストとしてよく出演していたのがアントニオ・カルロスジョピンです。
時にギターで、時にピアノでボサノバを聞かせてくれました。
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ジャズ喫茶ではスタン・ゲッツやジョアン・ジルベルトが流行っていましたのでボサノバが流行る要素は既にありました。「VAN MUSIC BREAK」のオープニングはナベサダの作ったテーマで始まります。
もちろん生演奏で当時のクインテットのメンバーは渡辺貞夫(as,fl),菊地雅章(p,rib),富樫雅彦(ds), 原田政長(b),中牟礼貞則(g)です。
なんと豪華なメンバーでしょうか、このメンバーで毎回色々な曲を演奏してくれるのです。
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このメンバーでボサノバですよ。
特に好きだったのは「オルフェのサンバ」です。
映画「黒いオルフェ」のエンディングで子供達が「オルフェのサンバ」を歌うシーンは涙ものです。
「フェリシダード」「メディテイション」「カーニバルの朝」「ソングオブザジェット」などが好きでした。
この番組からボサノバデュオの「ユキとヒデ」がナベサダの楽曲「白い波」でデビューします。
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セカンドシングル「スノードルフィンサンバ」も結構好きでした。
ヒデはヒデとロザンナの出門ヒデ、ユキはアン真理子です。
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毎日ボサノバばかり聴いていたのでだんだん飽きてきました。
ボサノバは軽くてBGMにはもってこいですが、ソウルがないので物足りなくなります。
そんなことは見越してナベサダはさっさとアフリカへ行ってしまいます。
ナベサダの素晴らしいところは何をやっても熱いソウルが根底にあります。
日本のチャーリーパーカーです(いやナベサダはナベサダ)。
そこが世界中のミュージシャンに尊敬されているところだと思います。
秋吉敏子もそこを見抜いていたのです。
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IVYルックを教えてくれたVAN、ボサノバの楽しさを教えてくれたナベサダ、高校時代の素晴らしい思い出です。
初めて買ったVANの製品はプルオーバーの赤いギンガムチェックのボタンダウンシャツでした(体に合うサイズが無いのでブカブカ)。

Ωベストアルバム「SADAO WATANABE:MUSIC BREAK」

8-2ウィジョヨクスモの花


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寺院の彫刻 その56(シヴァ6 アンダカを退治するシヴァ)

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今回のシヴァ神の神話は魔神アンダカを退治する話です。
『魔族のアンダカは勢力を蓄え、神々に敵対するようになった。しかもシヴァ神の妻パールヴァティーに恋し、彼女を奪おうとさえした。アンダカの横暴にシヴァ神はアンダカ成敗を決意し、魔族と全面戦争の態勢に入った。シヴァは戦いのため3匹の蛇を造り2匹を腕輪とし、1匹を聖紐とした。また1000の頭と1000の眼を持つヴィーラバドラという怪物を作り出した。アンダカに味方する魔族ニーラはシヴァを殺そうと魔象の姿でカイラス山に赴いた。ところが従者ナンディンに正体を見破られ ヴィーラバドラに報告された。ヴィーラバドラはたちまち魔象を殺してその生皮をシヴァ神に献上した。シヴァ神は血の滴る象の生皮を身体にまとい、蛇を巻き付け、三叉戟を振りかざして主戦場に向かった。ヴィシュヌ神を始め多くの神々が応援に駆けつけた。激しい攻防の末、シヴァ神とアンダカの一騎打ちとなり,シヴァ神の放った矢がアンダカに命中した。アンダカの傷口から血が滴り落ち地面に触れると、一滴ずつから別のアンダカが誕生した。数千に増えたアンダカはシヴァ神を包囲する。これを見たヴィシュヌ神はアンダカの分身達を円盤で切り刻み、シヴァ神は冷静に本物のアンダカを見つけ三叉戟を投げつけ、殺した。こうして勝利はシヴァ神を始め神々のものとなった 』という話です。
この神話を主題にした彫刻では、シヴァ神は多臂で手に様々な武器を持ち、象の皮を背後に大きく拡げ、象の頭の上で舞踊のポーズをとると神話関係の書籍に書かれていますが、この図像は後に述べる「象の魔神を殺すシヴァ 」と非常によく似ています。
今回私独自の分類で「アンダカ殺すシヴァ 」の図像は三叉戟で悪魔を刺す、悪魔を踏みつけるが象の上で舞踊のポーズはとらない、この2点で分けたいと思います。
はじめにエローラのCAVE-15窟(8世紀中頃)の像です
                 ELLORA CAVE-15
1E-CAVE15004
三叉戟で悪魔を刺し、頭上に象の皮を拡げ、悪魔を踏みつけている典型的な「アンダカを退治するシヴァ 」の像です。
おそらく三叉戟で刺されたアンダカの傷口から流れる血を受け止めるために、チャームンダー(シヴァ の妃の一人)が杯を差し出しています。
シヴァ の腕の一つも杯を差し出しています。
素晴らしい彫刻です。
同じエローラのCAVE-16窟(8世紀中頃)の像です。
                 ELLORA CAVE-16
2E-CAVE16037.jpg
15窟の像と比べるとだいぶ稚拙ですが、三叉戟で悪魔を串刺しにして、頭上で象の皮を広げ、血を受け止める杯を持っている構図は同じです。
同じエローラのCAVE-29窟(6世紀終わり)の像です。
                 ELLORA CAVE-29
2E-CAVE29004
残念なことに三叉戟を持つ腕が破損してしまいましたが悪魔を刺しています。
頭上には象の皮を広げ、腕の一つで杯を持ち、血を受け止めています。
右側にはおそらく妃のパールヴァティーが腰かけています。
これととてもよく似た図像がエレファンタ島(6世紀)にあります。
                 ELEPHANTA CAVE
3elephanta
保存状態がとても悪く下部はほとんど解りませんが、三叉戟によって刺された悪魔とその血を受ける杯を持った腕は確認できます。
象の皮を持った指と象の頭が解ります。
上部にはたくさんの神が集まっています。
南インドALAMPURのSANGAMESHWARA寺院(6世紀中頃)の壁龕にあります。
                SANGAMESHWARA寺院
4SANGAMESHWARA
三叉戟で悪魔を刺す典型的な図像です。
しかし腕がほとんど失われてしまっているので血を受け止める杯や頭上の象の皮は良く解りません。
悪魔を踏みつけ、足元にはガネーシャが彫られています。
同じALAMPURの博物館にも展示されています。
                 ALAMPUR博物館
5alampur博物館
典型的な図像で保存状態もまあまあです。
南インドPATTADAKALのGALAGANATHA寺院(8世紀)です。
                GALAGANATHA寺院
6GALAGANATHA
壁面の窓に彫刻されています。
横幅があまり取れないのでシンプルですが典型的な図像です。
シヴァの顔がとても穏やかで美しいとおもいます。
同じPATTADAKALのKASHIVISHVANATHA寺院(8世紀後半)です。
               KASHIVISHVANATHA寺院
7KASHIVISHVANATHA
この寺院の内部の柱には神話のパネルが沢山あります。
逆光になってしまって解りづらいのですが、典型的な図像で悪魔を踏みつけています。
左右に女神が彫られているようですが向かって右側はパールヴァティーでしょうか。
左側は踊っているようです。
チェンナイのプリンスオブウェールズ博物館にも展示されています。
              プリンスオブウェールズ博物館
8PRINCE023
8世紀のカルナータカ州で発見されたアンダカを退治するシヴァの彫刻です。
ほとんどの彫刻が向かって右向きなのに対し、この像は左向きです。
PATTADAKALのVIRUPAKSHA寺院(745年)の壁龕の彫刻も左向きです。
                VIRUPAKSHA寺院
9VIRUPAKSHA
中インドRAJIMのRAJIVALOCHANA寺院(8世紀)にも素晴らしい彫刻があります。
                RAJIVALOCHANA寺院
10Rajim-122.jpg
4腕で前2本で三叉戟を持ち、悪魔を指します。
後ろ2本で象の皮を拡げます。
タッチが南インドとだいぶ違います。
ELLORA CAVE-15と同じ様に、チャームンダーが血を受けます。 
同じ中央インドのSHIVPURIにあるSURWAYA寺院(10〜14世紀)です。
                 SURWAYA寺院
11Surwaya-137マディヤプラディシュ
ほぼ完全に残っており、典型的なアンダカを退治するシヴァの彫刻です。
8腕全ての持ち物がわかります。
チャームンダーが血を受け、悪魔を踏みつける足元にナンディがいます。

東南アジアでは「アンダカを退治するシヴァ」の彫刻は見つかりませんでした。
次回は非常によく似た「象の魔神を殺すシヴァ 」を見てみたいと思います。

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