寺院の彫刻 その6(門神4)

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クメール近隣諸国のドヴァラパーラを見てみたいと思います。
先ずタイのクメール遺跡を見てみましょう。
東北タイのスリンSURINの近くにあるシーコラプーム寺院PRASAT SRI KHORA PHUM(12世紀後半)です。
中央塔を中心に5点型の配置です。
中央塔の入口の付け柱に正面はデヴァターですが側面にドヴァラパーラが彫刻されています。
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  PRASAT SRI KHORA PHUM 12世紀後半
  タイでは珍しい5点型の寺院
  修復が不完全なのが惜しまれる。














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  PRASAT SRI KHORA PHUM 12世紀後半
  肩にオウムを乗せたデヴァターが素晴らしい。
  デヴァターと同じ様にドヴァラパーラの足も
  同じ方向を向いている。とても珍しい。














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  PRASAT SRI KHORA PHUM 12世紀後半
  こちらもデヴァターの周りには鳥や小動物がいる。
  ドヴァラパーラの足は左右を向いている。















同じくスリンの近くにあるバーンプルアン寺院PRASAT BAN PHLUANG(11世紀)です。
正面の隅には側面の2面にわたってドヴァラパーラが彫刻されていますがいずれも未完成です。
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  PRASAT BAN PHLUANG 11世紀
  高い基壇の上に建っている。
  建物は未完である。
 














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  PRASAT BAN PHLUANG 11世紀
  彫りかけで作業過程がわかり面白い。















タイとカンボジアの国境のすぐ近くにタミエントムTA MUEN THOM寺院(11世紀)の遺跡があります。
ここはアンコールからピマイに向かう王道の中継点に位置しています。
アンコール側から丘を登り切ったところに建っています。
崩壊がひどいのですが何とかドヴァラパーラは認識できます。
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  TA MUEN THOM 11世紀
  かなり大きな寺院でカンボジア側の
  南を正面にしている。
  すぐ近くに宿駅と治療院がある。














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  TA MUEN THOM 11世紀
  近年破壊されたがかろうじて
  ドヴァラパーラは判る。















とても興味深いのがピマイ寺院PRASAT PHIMAI(11世紀から12世紀後半)です。
ピマイはアンコールの衛星都市として機能していた様で、ジャヤヴァルマン6世はこの東北タイの出身と言われています。仏教(密教)の影響を強く受けた様で、彫刻に現れています。
本殿入り口のピラスターには悪魔を踏んづけ三鈷杵を持つヴァジュラサットヴァVAJRASATTVAが彫刻されています。
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  PRASAT PHIMAI  11世紀から12世紀後半
  とても大きい寺院で3重の周壁で囲まれている。
  中央祠堂正面













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  PRASAT PHIMAI 11世紀から12世紀後半
  悪魔を踏んづけ三鈷杵を持つ
  ヴァジュラサットヴァVAJRASATTVA
  
 














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  PRASAT PHIMAI 11世紀から12世紀後半
  悪魔を踏んづけ三鈷杵を持つ
  ヴァジュラサットヴァVAJRASATTVA















ラオスのワットプー寺院WAT PHU(11世紀から13世紀)は聖山リンガパルヴァタの麓にありクメール民族の揺籃の地と言われています。
先ず参道の中腹にドヴァラパーラの彫像が安置されています。
さらに登ると上部テラスにでます。
本殿の両隅にドヴァラパーラが彫刻されています。
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  WAT PHU 11世紀から13世紀
  参道のドヴァラパーラ
  古いものではない。
















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  WAT PHU 11世紀から13世紀
  本殿正面 左右にドヴァラパーラ









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  WAT PHU 11世紀から13世紀
  腰の左右に小動物

















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  WAT PHU 11世紀から13世紀
  腰の左右に小動物

















ベトナムのチャンパ遺跡では唯一ミソン遺跡群MY SONでドヴァラパーラの彫像を見つけましたが他では見つけることが出来ませんでした。
しかしダナンのチャンパ博物館では色々なドヴァラパーラの彫像が見つかりました。
仏教遺跡ドンジュオンDONG DUONG(9〜10世紀)から見つかったドヴァラパーラは圧巻です。
ミソン099
  MY SON 8世紀から13世紀
  Eグループにひっそり佇んでいる。
  首がないのが残念
  
















チャンパ博物館5
  チャンパ博物館
  ドヴァラパーラ 10世紀















チャンパ博物館4
  チャンパ博物館
  DONG DUONG  9世紀から10世紀
  水牛の上に立つドヴァラパーラ














チャンパ博物館3
  チャンパ博物館
  DONG DUONG  9世紀から10世紀
  熊の上に立つドヴァラパーラ















チャンパ博物館1
  チャンパ博物館
  ドヴァラパーラ

















チャンパ博物館2
  チャンパ博物館
  ヤクシャ












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寺院の彫刻 その5(門神3)

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ドヴァラパーラはインド近隣諸国、東南アジア、東アジアまで伝わりました。
東南アジアのクメール帝国では私の調べた限り、プレアンコール期には見つかりませんでした。
初めて見つけたのは9世紀のロリュオス遺跡群(ROLUOS)からです。
写真はロレイ祠堂(LOLEI)です。
ドアーフレイムではありませんが入り口左右の壁龕に彫刻されています
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  LOLEI 893年
  レンガ造りの祠堂が4つ建っている。
  レンガの壁龕に砂岩のドヴァラパーラが
  嵌め込まれている。













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  LOLEI 893年
  クメール帽など衣装がよい。
















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  LOLEI 893年
  クメール帽など衣装がよい。

















写真はプラサットクラヴァン(PRASAT KRAVAN)です。
レンガの上に漆喰を塗り彫刻したものです。
少し後のプレループ(PRE RUP)や東メボン(EAST MEBON)も同じように彫刻されています。
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  PRASAT KRAVAN 10世紀初め
  レンガ造りの祠堂が5つ並んでいる。
  中央塔は大きく立派である。













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  PRASAT KRAVAN 10世紀初め
  表面の漆喰は剥がれてしまった。
















PRASAT KRAVAN035
  PRASAT KRAVAN 10世紀初め
  表面の漆喰は剥がれてしまった。

















バンティアイスレイ(BANTEAY SREI)はクメールの宝石と言われる大変美しい寺院です。
あのアンドレマルローが盗掘したデヴァター(女神)の彫刻はこの寺院にあります。
ドヴァラパーラはそれに劣らない美しい彫刻です。
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  BANTEAY SREI 10世紀後半
  赤色砂岩が美しい。















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  BANTEAY SREI 10世紀後半
  丸彫りに近い厚肉彫りで素晴らしい。
  トリバンガの姿勢が美しい。















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  BANTEAY SREI 10世紀後半
  丸彫りに近い厚肉彫りで素晴らしい。
  トリバンガの姿勢が美しい。

















アンコールトムにあるバプーオン寺院(BAPUON)は私の大好きなラーマーヤナの彫刻で埋め尽くされています。
西側の楼門に彫刻されていました。
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  BAPUON 1060年

















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  BAPUON 1060年
  小さいパネルはクリシュナの物語。
















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  BAPUON 1060年
  小さいパネルはクリシュナの物語。
















ジャヤヴァルマン7世の時代には入り口の左右にドヴァラパーラの彫像が安置されるようになります。
また寺院も沢山建立され、彫刻もパターン化されます。
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  PREAH KHAN 1191年
  ほとんど首がとれている。















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  PREAH KHAN 1191年
  とても魅力的なお尻
















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  BANTEAY KDEI 1180〜1200
  パターン化されたドヴァラパーラ
















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  BANTEAY KDEI 1180〜1200
  パターン化されたドヴァラパーラ
















バッタンバンへ行った時に博物館で見つけました。
バッタンバン2
  BATTAMBANG博物館
  顔貌がクメール的ではない。
















バッタンバン
  BATTAMBANG博物館
  顔貌がクメール的ではない。
















その他寺院ではありませんが昔の王道の橋(SPEAN PRAPTOSH)で見つけました。この橋はナーガの欄干になっており、その横に橋を守るように立っています。この橋は現役で私が訪れた時にはトラックやバスが走っていました。
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  SPEAN PRAPTOSH 12世紀後半〜13世紀











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MEMORIES

1グヌンガン
先日、上野にトンカツを食べにいく途中、60年ぶりに卒園した幼稚園を尋ねました。
素通りしたことはありますが、今日は時間があるので中に入りました。
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何と入った瞬間、時間が止まり60年前にフラッシュバックしてしまいました。
有形文化財に指定され、現在も使用しながらそのまま保存されています。
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その幼稚園は本郷中央教会付属中央会堂幼稚園といい地下鉄本郷三丁目からすぐの本富士警察署の前にあります。
階段を上がり1階正面が幼稚園になっていて、中から子供達の声が聞こえます。
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周囲の写真を撮っていたら不審者に思われたらしく教会関係者と思われる中年の女性に声をかけられました。
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私が60年前の卒園生であることを告げると、とても喜び2階の礼拝堂へどうぞと案内してくれました。
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今日は日曜日なので10時半から日曜礼拝があるのでどうぞと代表者らしき人に紹介してくれました。
その方に了解を得て写真を撮らせてもらいました。
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いろいろお話をすると、その方と幼稚園、小学校、中学校、と同窓でした。
教会に集まっている人達の年齢は、まだ時間が早いせいか、皆さん70代以上と思われます。
卒園生ということでとても親切にしてくださり、コーヒーまで頂きました。
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代表の方のお話によると、最近イギリスから使われなくなったパイプオルガンを譲り受け2階席に設置したそうです。
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そのパイプオルガンの歴史とこの教会の歴史がほとんど同じで、とても感慨深いものがあったそうです。
私の思い出は写真にあるクリスマスです。おそらく劇なども演じた様な記憶があります。
それと鮮明に覚えていますが、運動場の奥にコンクリートの平屋の建物があり、そこにとても綺麗な苔が生えていました。それをはぎ取って持って帰ったこと、キンダーブックやチャイルドブックの発売日が待ち遠しかったことなどです。
遠足で横浜へ行ったこともなんとなく思い出します。
中央会堂-2
  クリスマス会の写真です。
  前列向かって左から3番目が私です。









本当に素晴らしい教会で、現在も現役で働いていることに敬意を表し、この幼稚園の卒園生であることに誇りを持ちました。
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上野のトンカツの話は又この次にしたいと思います。

8-2ウィジョヨクスモの花
 

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寺院の彫刻 その4(門神2)

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KARNATAKA州PATTADAKAL のKADASIDDHESHVARA寺院です。
PATTADAKALは8〜10世紀の北型の寺院と、南型の寺院がまとまって保存されている世界遺産です。
入口両側にとても立派なドヴァラパーラが彫刻されています。
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  KADASIDDHESHVARA TEMPLE
  8世紀
  








中インドのDEOGARHにあるDASHAVATARA寺院のドアーフレイム下部です。両側に女神やガナを引き連れたドヴァラパーラが彫刻されています。
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  DASHAVATARA TEMPLE 6世紀


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  DASHAVATARA TEMPLE 6世紀










ドヴァラパーラも次第にドアーフレイムの下部に彫刻されるようになります。
ORISSA洲BHUBANESHWARにある7世紀初めの初期の3寺院です。BHARATESHWAR寺院、LAKSHMANESHWAR寺院、SATRUGHNESHWAR寺院のドアーフレイムに彫刻された左右のドヴァラパーラはオリッサ独特の意匠です。
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  SATRUGHNESHWAR TEMPLE 7世紀初め
















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  SATRUGHNESHWAR TEMPLE 7世紀初め
  四臂で三叉戟と数珠を持っている。
  上部左右にいる天人が可愛い。














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  SATRUGHNESHWAR TEMPLE 7世紀初め
  四臂で数珠と花と三叉戟をもっている。
  顔の破損が惜しまれる。
















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  LAKSHMANESHWAR TEMPLE 7世紀初め
  右手に花を持ち、三叉戟に寄りかかっている。
  右の大きなイヤリングからコブラ。
  髪や衣装が素晴らしい。













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  LAKSHMANESHWAR TEMPLE 7世紀初め
  四臂で右上の手に三叉戟を持っている。
  左上の手には数珠を持っている。
  第三の眼を持ち、大きなイヤリングを付けている。
  注目は衣装で国東半島の仁王像と似ている。













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  BHARATESHWAR TEMPLE 7世紀初め
  二臂で左手に三叉戟を持っている。
  大きなイヤリングを付けている。
  典型的なスタイル。















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  BHARATESHWAR TEMPLE 7世紀初め
  顔面が破損しているのが惜しい。
  典型的なスタイル。













同じBHUBANESHWARにある中期のBRAHMESHWAR寺院です。この寺院は五堂形式の寺院で四隅に小祠堂が建つ。その小祠堂のドアーフレイムです。
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  BRAHMESHWAR TEMPLE 1060年










KARNATAKA州MAHAKUTAの境内にある7世紀の寺院です。BADAMIから13kmの森の中にあり、とても不便なところですが参拝者が沢山来ます。
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  MAHAKUTA TEMPLE 7世紀
  ドアーフレイム上部にガルーダの彫刻。
  従ってヴィシュヌ神を祀った寺院であるので
  内部のリンガは後世持ち込まれたと思われる。














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  MAHAKUTA TEMPLE 7世紀

















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  MAHAKUTA TEMPLE 7世紀

















TELANGANA州ALAMPURのPAPANASI GROUPの寺院です。最初の寺院は本尊が七母神、なので門神はDVARAPALIKAですが、次の寺院の本尊はリンガが祀られているのに門神はDVARAPALIKAです。おそらく以前は女神が祀られていましたがあとからリンガに変えられたと思われます。
PAPANASI GROUP
  PAPANASI GROUP 10〜11世紀
  内部には七母神が祀られている。
  左右のDVARAPALIKAは払子を持っている。















PAPANASI GROUP2
  PAPANASI GROUP 10〜11世紀
  内部のリンガは後世に持ち込まれたもの。
  DVARAPALIKAは払子をもっている。














RAJASTHAN洲MENALのMAHANALESHWAR寺院です。2階建ての楼門と堀で囲まれ、境内には珍しいヒンドゥー教の僧院があります。
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  MAHANALESHWAR TEMPLE 
  11世紀後半
  珍しい二階建ての楼門。








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  MAHANALESHWAR TEMPLE 11世紀後半
  四臂でコブラ以外わからない。
















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  MAHANALESHWAR TEMPLE 11世紀後半
  四臂で三叉戟とコブラをもっている。
  イヤリングが良い。
















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寺院の彫刻 その3(門神)

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今回はドヴァラパーラDVARAPALA(門神)を見て行きたいと思います。
ドヴァラパーラは読んで字のごとく寺院の入り口を守る神です。元々は古来の神ヤクシャ(薬叉、夜叉)が時代とともにドヴァラパーラとして彫刻されるようになったと思われます。 
ヤクシャはもともと樹木や水に関係する自然神でした。
ヤクシャの頭領のクベーラ(毘沙門天)も、たまにですがドヴァラパーラとして彫刻されます。
ナーガラージャ(龍王)も仏教寺院ではよく用いられます。
シヴァ寺院ではシヴァ神自身もドヴァラパーラになります。
女神を祀っている寺院の場合はドヴァラパーリカーDVARAPALIKAとしてヤクシーが彫刻されることがあります。
古い時代のドヴァラパーラの容貌は荒々しい顔貌で口から牙が飛び出しています。持ち物は棍棒をもっていますが時代とともに容貌も変化し、肉体派の美男子になってきます。
写真はMADHYA PRADESH洲SANCHIの第1塔北門(紀元前2世紀)のヤクシャです。
サンチ−1塔122
  SANCHIの第1塔北門 紀元前2世紀
  マンゴーの樹に立つとても古い形式のヤクシャ
  手にはなにか果物を持っている。















サンチ−1塔118
  衣裳がとても良い。
  手には蓮の花をもっている。

















ヤクシャはドアーフレイムにも彫刻されますが入り口横の壁龕や柱に彫刻されます。
TAMIL NADU州のMANDAGAPATTU(7世紀初め)に素晴らしいドヴァラパーラの彫刻があります。

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  MANDAGAPATTU CAVE 7世紀









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  ドヴァラパーラの彫刻しかないが必見。
  ヘビの巻き付いたとても大きな棍棒を持っている。

















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  未完である。
  とても窮屈なトリバンガの姿勢をとっている。

















MAMALLAPURAMのDRAUPADI RATHA(7世紀)です。ドゥルガー女神を祀ってあるのでドヴァラパーラも女性のドヴァラパーリカーが守っています。

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  DRAUPADI RATHA 7世紀
  茅葺き屋根の民家を石で彫った石彫り寺院。
  内部のドゥルガーの彫刻も素晴らしい。















同じくMAMALLAPURAM のGANESHA RATHA(7世紀後半)です。

GANESHA RATHA
  GANESHA RATHA 7世紀後半
  石彫り寺院で屋根の形が後世の
  ゴープラ(南インドの高層の門)の原型







GANESHA RATHA3
  はにかんだ様な顔と自信なさげな態度がよい。
















GANESHA RATHA2
  これで寺院をまもれるのか。



















KARNATAKA州AIHOLEにあるRAVANAPADI窟(7世紀後半)には珍しいクベーラのドゥパラパーラが彫刻されています。

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  RAVANAPADI窟 7世紀後半










ヤムナー女神のところでも出てきたTELANGANA州ALAMPURのSANGAMESHWAR(6世紀中頃)のドヴァラパーラもクベーラです。

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  SANGAMESHWAR 6世紀中頃
  上部ではガナ(小人)が踊っています。
  クベーラの顔が素晴らしい。








KARNATAKA州PATTADAKALのVIRUPAKSHA寺院(8世紀中頃)のドゥパラパーラはとても良い出来です。

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  VIRUPAKSHATEMPLE 8世紀中頃
  とてもカッコいいドヴァラパーラ。
  彫刻が細かい。














どぅVIRUPAKSHA

  片足が欠けているのがとても残念。


















仏教寺院でもとても早くから彫刻されていました。MAHARASHTRA洲AURANGABAD
(7世紀)の石窟です。

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  AURANGABAD CAVE 7世紀
  








同じMAHARASHTRA洲のPITALKHORA(紀元前1〜2世紀)にとても良いドヴァラパーラが有りますが残念ながら保存状態がよく有りません

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  PITALKHORA CAVE 紀元前1〜2世紀
















BHAJAの石窟にも紀元前2世紀の素晴らしいドヴァラパーラがあります。
残念ながら一体しか残っていません。
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  BHAJA CAVE 19 BC2世紀
  この窟には保存状態の良い同時期の
  素晴らしいスーリヤとインドラがあります。















KARNATAKA州KAMBADAHALLIにあるジャイナ教のPANCHAKUTA BASTIに素晴らしいドヴァラパーラがあります。

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  PANCHAKUTA BASTI 10世紀後半
  








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  PANCHAKUTA BASTI 10世紀後半
















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  PANCHAKUTA BASTI 10世紀後半


















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寺院の彫刻 その2(河の女神2)

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ドアーフレイムの上部に彫刻されていたガンガー女神とヤムナー女神は8世紀頃になるとドアーフレイムの下部に移行されます。
写真はTELANGANA州ALAMPURのSANGAMESHWAR寺院です。
建立は6〜7世紀でドアーフレイムではありませんが向かって左側の壁龕にヤムナー女神が彫刻されています。
不思議なことに右側の同じ場所は窓になっているので、ガンガー女神の彫刻は初めから無かったようです。
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  SANGAMESHWAR TEMPLE 6〜7世紀
  とにかく彫刻が素晴らしい寺院。
  ヤムナー女神の上部は向かい合うマカラ。
  














ORISSA州BHUBANESHWARの仏教伽藍RATNAGIRI入り口のドアーフレイムの左側の壁龕にヤムナー女神が彫刻されています。こちらは右側にガンガー女神が彫られていましたが現在はありません。建立は7世紀から9世紀まで続いたと言われています。とても重要な密教寺院で中国僧の玄奘三蔵も訪れています。
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  RATNAGIRI MONASTERY  7〜9世紀
  右手を従者の首に巻き付け
  左手には蓮?を持っている。
  













KARNATAKA州AIHOLEのLADKHAN寺院(7世紀末)では入り口の左の柱にヤムナー女神が彫刻されています。
残念ながら右側の柱に彫刻されたガンガー女神はほとんど崩壊しています。
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  LADKHAN TEMPLE 7世紀末
  とても魅力的な彫刻で特に衣装が素晴らしい。















同じAIHOLEにあるHALLIBASAPPA GUDIです。入口の左右に立派なガンガー女神、ヤムナー女神が彫刻されています。
HALLIBASAPPA GUDI
  HALLIBASAPPA GUDI 9〜10世紀
  RASHTRAKUTA朝の寺院
  ドアーフレイム上部のマカラと果物
  (マンゴー)の意匠が素晴らしい。







HALLIBASAPPA GUDI
  HALLIBASAPPA GUDI
  亀に乗るヤムナー女神
















HALLIBASAPPA GUDI2
  HALLIBASAPPA GUDI
  マカラに乗るガンガー女神

















寺院の彫刻ではありませんがニューデリー国立博物館に収納されている6世紀グプタ期のガンガー女神とヤムナー女神の彫像です。とても素晴らしい出来です。以前はドアーフレイムを飾っていたと思われます。
ガンガー6世紀
  NEW DELHI NATIONAL MUSEUM  6世紀 
  ガンガー女神 
  左手に水壷を持ち、衣装のデザインが素晴らしい。













  




ヤムナー6世紀
  NEW DELHI NATIONAL MUSEUM  6世紀 
  ヤムナー女神
  ガンガー女神に比べて表情が硬い。
  



















KARNATAKA州PATTADAKALのVIRUPAKSHA寺院(745年頃)のドアーフレイム下部の彫刻です。
従者が増えアプサラ(天女)まで加わりとてもにぎやかです。VIRUPA083.jpg
  
  VIRUPAKSHA TEMPLE 754年 
  ヤムナー女神
  全員が左手に捧げものを
  持っている。


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  VIRUPAKSHA TEMPLE 754年 
  ガンガー女神
  全員が右手に捧げものを
  持っている。








TELANGANA州ALAMPURのGARUDA BRAHMA寺院(7〜8世紀)のドアーフレイムです。とてもシンプルで向かって左下にヤムナー女神、右下にガンガー女神が彫刻されています。

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  GARUDA BRAHMA TEMPLE 7〜8世紀
  木製のドアーがついている。















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  GARUDA BRAHMA TEMPLE
  ヤムナー女神






  









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  GARUDA BRAHMA TEMPLE
  ガンガー女神 
















MADHYA PRADESH洲KHAJURAHO寺院群はミトゥナ(男女の交合像)で有名です。
初期のBRAHMA寺院(10世紀初め)のドアーフレイムです。下部に大きく左にガンガー女神、右にヤムナー女神が彫刻されています。
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  BRAHMA TEMPLE  10世紀初め 
  左下にガンガー女神、右下にヤムナー女神
 














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  ガンガー女神
  足下に可愛いマカラ 
















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  ヤムナー女神
  足下に可愛い亀  
















やがて下部の彫刻が小さくなり他の神々も一緒に彫刻されるようになります。
RAJASTHAN州BAROLIのGHATESHWAR寺院(9〜10世紀)のドアーフレイムです。
小さくなり隣にドゥパラパーラ(門神)が彫刻されます。

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  GHATESHWAR TEMPLE 9〜10世紀
  左下にガンガー女神 右下にヤムナー女神 
















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  ガンガー女神
  左手に正統派の水壷
  隣にドゥパラパーラ 















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  ヤムナー女神
  右手に正統派の水壷
  隣にドゥパラパーラ 















ネパールでも1つ見つけました。
パタンPATANにあるBISHWAKARMA 寺院です。
入口の左右に金属を打ち出して作られていました。
BISHWAKARMA 1
  BISHWAKARMA TEMPLE
  パタンの町中にある。
  BISHVAKARMANは天地創造の力を
  神格化したもの。
  建築、建造の神












BISHWAKARMA 2
  BISHWAKARMA TEMPLE
  マカラに乗るガンガー女神
  














BISHWAKARMA 3
  BISHWAKARMA TEMPLE
  亀に乗るヤムナー女神















東南アジアにおいてはガンガー、ヤムナー女神の彫刻は見たことがありません。
ただ一つそれらしき彫刻がミャンマーのパガンにありました。KYAUK-KU-UMIN(11世紀)と言う僧院のドアーフレイムです。
残念ながら反対側のヤムナー女神の彫刻は保存がひどく乗り物はわかりません。
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  KYAUK-KU-UMIN 11世紀 

















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  ガンガー女神?
  隣に鬼みたいなドゥパラパーラ 
















東南アジアではあまり重要視されなかったのかもしれません。

ガンガー5


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寺院の彫刻 その1(河の女神)

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記念すべき第一回は寺院の入り口、ドアーフレイムの彫刻のお話です。

ヒンドゥー教の祠堂入口にはほとんどの場合ガンガー女神とヤムナー女神が彫られています。
ガンガー女神は聖なるガンジス河を神格化した女神で、ヤムナー女神はガンジス河の支流のヤムナー河を神格化した女神です。そしてあらゆる罪を洗い清めると信じられています。
したがって神が宿る神聖な祠堂に入るにあたリ、ドアーフレイムに彫刻するのは誠にピッタリです。

両女神の見分け方は、ガンガー女神がマカラと呼ばれる空想上の動物(象の鼻に身体はイルカやワニ、サメなど、尻尾はヘビでとぐろを巻く)に乗っているのに対し、ヤムナー女神は亀に乗っています。

マカラ
  マカラ BC 100年 
  BHARHUTの欄楯











写真は中インドのDEOGARHにあるDASHAVATARA寺院のドアーフレイムです。

向かって左上方にマカラに乗るガンガー女神、右上方に亀に乗るヤムナー女神が彫刻されています。

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  DASHAVARARA TEMPLE 6世紀    
  この寺院の彫刻は後期グプタ朝の最高傑作である。














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  マカラに乗るガンガー女神
















DASHA026.jpg  
  亀に乗るヤムナー女神

 















さらに古い5世紀後半の寺院が同じ中インドのTIGAWAとNACHNAに有ります。写真はTIGAWAのKANKALI DEVI寺院です。左上方にマカラに乗るガンガー女神、右上方に亀に乗るヤムナー女神の素晴らしい彫刻が有ります。


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  KANKALI DEVI TEMPLE 5世紀
  グプタ期に置ける石造寺院の原型を良く保っている。















Tigawa-22 のコピー   
  マカラに乗るガンガー女神

















Tigawa-24.jpg
  
  亀に乗るヤムナー女神


















次の写真はインドのELLORA 石窟の中の第21窟です。


E-CAVE21012.jpg  
  ELLORA CAVE 21 6世紀
  ELLORAの中でも彫刻が素晴らしい。









石積寺院ではありませんが窟の入口の左右に、向かって左側の壁にガンガー女神が右側の壁にヤムナー女神が彫刻されています。6世紀後半の開窟です。


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  マカラに乗るガンガー女神
















E-CAVE21004.jpg  
  亀に乗るヤムナー女神

















5世紀のMADHYA PRADESH洲VIDISHAにあるUDAYAGIRI石窟のドアーフレイムです。

よく見ると左右ともマカラに乗るガンガー女神が対称に彫られています。

UDAYA-4009.jpg  
  UDAYAGIRI CAVE TEMPLE 5世紀  ヒンドゥー教最古の石窟寺院


 







UDAYA-4009-2.jpg
  
  拡大したもの 
  左右のガンガー女神の乗るマカラは
  お互いに外側を向いている。







5世紀後半のAJANTA石窟は仏教窟ですがここにもマカラに乗るガンガー女神が左右対称に彫られています。

A-CAVE26055.jpg  
  AJANTA CAVE 5世紀後半
















A-CAVE26056.jpg  
  拡大したもの 
  左右のガンガー女神の乗るマカラは
  内側を向いている。

 





古い時代にはまだヤムナー女神は登場しなかったのかもしれません。

ドアーフレイムではありませんがELLORA石窟の第16窟(カイラーサナータ寺院)には三大河の女神、ガンガー、ヤムナー、サラスヴァティー(現在は残っていない河、あるいは想像上の河)の彫刻が有ります。

E-CAVE16020.jpg
  ELLORA CAVE 16  
  ガンガー女神
  マカラに乗る

















E-CAVE16021.jpg  
  ヤムナー女神
  亀に乗る

















E-CAVE16019_Copy.jpg  
  サラスヴァティー女神
  蓮に乗る


















8世紀中頃の彫刻で非常に珍しい作品です。 


ガンガー4


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はじめまして

PANATA062.jpg
このたびホームページを開設しました。過去30年間の旅行の記録をまとめたものです。

旅行地はインド、東南アジアです。ホームページは写真、旅行記(巡礼記)、雑誌に投稿した記事(うめがおか)、ブログからなっています。

旅行記にも書きましたが子供時代からアンコールワットに憧れ、東南アジアの遺跡を見て回るうちに、この文化のもとになったインド文化に興味を持ち、インドへハマってしまいました。


ホームページにブログを設け、このブログで遺跡関係の知見や、他の趣味の音楽、映画、本、食べ物のことなど、思いついたことを書いて行きたいと思います。

なにぶん自分に甘い体質なので、のんびりゆっくり続けたいと思います。

ホームページのアドレスはwww.ravana.jpです。

タイトルは「占城・真臘・驃・爪哇天竺巡礼」でサブタイトルは「インド・東南アジア遺跡の旅」にしました。

どうしても気持ちは憧れの玄奘三蔵や高丘親王のつもりでしたのであえてベトナムを占城、カンボジアを真臘、ミャンマーを驃、インドを天竺、インドネシア(ジャワ島)は良い古代国家名が見つからず、ジャワの漢字表記の爪哇を使い古い巡礼のイメージを作ったつもりです。
これらの国のインド文化の影響を見て行くうちに、日本ではどうなの?と疑問がわき上がります。

そこでホームページのホームのデザインに遠く西アジアからインド、東南アジア、東アジアと伝わり、薬師寺の薬師三尊の台座に刻まれた葡萄唐草文様を使いました。

また東大寺の大仏開眼では中国、韓国、ベトナム、インド、ペルシャの僧や商人が訪れたと聞きます。結構インターナショナルな都市だったみたいですね。

この時代はまだ大陸の影響が強く寺院建築もおおらかでとても落ち着きがあります。仏像や彫刻も同じです。

インドを見ても6世紀中頃から8世紀末あたりの寺院建築や彫刻が、その影響を受けた東南アジアでは7世紀末から12世紀あたりのものが日本と同じく、おおらかで私は好きです。

とくに寺院彫刻に興味があります。
神や悪魔達、神話、叙事詩、人々の営み、文様などを題材とした彫刻が所狭しと彫られています。

これらの意味を探るのが私の楽しみの1つです。彫刻の題材など、これからお話し出来れば良いと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。
オーム・ガン・ガナパタイェー・ナモー・ナマハ

                          まずはガネーシャに祈りを捧げます。
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