2016/07/30
寺院の彫刻 その6(門神4)

クメール近隣諸国のドヴァラパーラを見てみたいと思います。
先ずタイのクメール遺跡を見てみましょう。
東北タイのスリンSURINの近くにあるシーコラプーム寺院PRASAT SRI KHORA PHUM(12世紀後半)です。
中央塔を中心に5点型の配置です。
中央塔の入口の付け柱に正面はデヴァターですが側面にドヴァラパーラが彫刻されています。

PRASAT SRI KHORA PHUM 12世紀後半
タイでは珍しい5点型の寺院
修復が不完全なのが惜しまれる。

PRASAT SRI KHORA PHUM 12世紀後半
肩にオウムを乗せたデヴァターが素晴らしい。
デヴァターと同じ様にドヴァラパーラの足も
同じ方向を向いている。とても珍しい。

PRASAT SRI KHORA PHUM 12世紀後半
こちらもデヴァターの周りには鳥や小動物がいる。
ドヴァラパーラの足は左右を向いている。
同じくスリンの近くにあるバーンプルアン寺院PRASAT BAN PHLUANG(11世紀)です。
正面の隅には側面の2面にわたってドヴァラパーラが彫刻されていますがいずれも未完成です。

PRASAT BAN PHLUANG 11世紀
高い基壇の上に建っている。
建物は未完である。

PRASAT BAN PHLUANG 11世紀
彫りかけで作業過程がわかり面白い。
タイとカンボジアの国境のすぐ近くにタミエントムTA MUEN THOM寺院(11世紀)の遺跡があります。
ここはアンコールからピマイに向かう王道の中継点に位置しています。
アンコール側から丘を登り切ったところに建っています。
崩壊がひどいのですが何とかドヴァラパーラは認識できます。

TA MUEN THOM 11世紀
かなり大きな寺院でカンボジア側の
南を正面にしている。
すぐ近くに宿駅と治療院がある。

TA MUEN THOM 11世紀
近年破壊されたがかろうじて
ドヴァラパーラは判る。
とても興味深いのがピマイ寺院PRASAT PHIMAI(11世紀から12世紀後半)です。
ピマイはアンコールの衛星都市として機能していた様で、ジャヤヴァルマン6世はこの東北タイの出身と言われています。仏教(密教)の影響を強く受けた様で、彫刻に現れています。
本殿入り口のピラスターには悪魔を踏んづけ三鈷杵を持つヴァジュラサットヴァVAJRASATTVAが彫刻されています。

PRASAT PHIMAI 11世紀から12世紀後半
とても大きい寺院で3重の周壁で囲まれている。
中央祠堂正面

PRASAT PHIMAI 11世紀から12世紀後半
悪魔を踏んづけ三鈷杵を持つ
ヴァジュラサットヴァVAJRASATTVA

PRASAT PHIMAI 11世紀から12世紀後半
悪魔を踏んづけ三鈷杵を持つ
ヴァジュラサットヴァVAJRASATTVA
ラオスのワットプー寺院WAT PHU(11世紀から13世紀)は聖山リンガパルヴァタの麓にありクメール民族の揺籃の地と言われています。
先ず参道の中腹にドヴァラパーラの彫像が安置されています。
さらに登ると上部テラスにでます。
本殿の両隅にドヴァラパーラが彫刻されています。

WAT PHU 11世紀から13世紀
参道のドヴァラパーラ
古いものではない。

WAT PHU 11世紀から13世紀
本殿正面 左右にドヴァラパーラ

WAT PHU 11世紀から13世紀
腰の左右に小動物

WAT PHU 11世紀から13世紀
腰の左右に小動物
ベトナムのチャンパ遺跡では唯一ミソン遺跡群MY SONでドヴァラパーラの彫像を見つけましたが他では見つけることが出来ませんでした。
しかしダナンのチャム彫刻博物館では色々なドヴァラパーラの彫像が見つかりました。
仏教遺跡ドンジュオンDONG DUONG(9〜10世紀)から見つかったドヴァラパーラは圧巻です。

MY SON 8世紀から13世紀
Eグループにひっそり佇んでいる。
首がないのが残念

チャム彫刻博物館
ドヴァラパーラ 10世紀

チャム彫刻博物館
DONG DUONG 9世紀から10世紀
水牛の上に立つドヴァラパーラ

チャム彫刻博物館
DONG DUONG 9世紀から10世紀
熊の上に立つドヴァラパーラ

チャム彫刻博物館
ドヴァラパーラ

チャム彫刻博物館
ヤクシャ
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