音楽の話 その43(バッドフィンガー)

ガンジーファ - 010
今回はとても不幸なバンド、バッドフィンガーです。
こんな悲しい話があるでしょうか。
こんな理不尽な話があるでしょうか。
バッドフィンガーはピート・ハムとトム・エヴァンスを中心として結成されたバンドです。
アイヴィーズというバンド名で69年ファーストアルバム「メイビー・トゥモロウ」をリリースしますが、レコード会社(アップル)の関係でアメリカ、イギリスでは発売されず、ヒットしませんでした。
その後バッドフィンガーと名前を変え、ビートルズの弟分のバンドとしてバッドフィンガーとしてのファーストアルバム「マジック・クリスチャン」を発売してスマッシュヒットします。
このアルバムはリンゴの主演映画「マジック・クリスチャン」のテーマ曲を含み、作詞作曲、プロデュースもポールです。
70年に大好きなセカンドアルバム「ノー・ダイス」が発売されます。
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アメリカツアーに備えてマネジャーをスタン・ポリーという最低な男に替え、最低な契約を結ばされます。
バンドは人気が出て、ビートルズのメンバーのレコーディングにも参加します。
73年にはサードアルバム「ストレート・アップ」をジョージ・ハリスンとトッド・ラングレンのプロデュースでリリースします。
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しかしアップルレコードの経営不振、ひどい契約内容で、レコード会社を替えアルバムを出し続けますが、バンドの管理、金銭の管理がひどく、ついにはバンドに一銭も入らなくなります。
絶望のあまりピート・ハムは身重のガールフレンドを残し「ポリーを道ずれにする」という遺書を残し首吊り自殺します。
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その後トムを中心にバンド活動を続けますが、楽曲の利権問題などで疲れ果てたトムは自宅の庭の木で首吊り自殺を遂げ、バッドフィンガーの歴史に完全に終止符が打たれました。
とても素晴らしいシンガーソングライター達をなくしました。
曲も歌も大好きでした。
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「マジック・クリスチャン・ミュージック」からは後のELOの様な名曲「Maybe Tomorrow」、うつくしい「Carry on Till Tomorrow」、キンクスの様なふしぎな「Knocking Down Our Home」、「ノー・ダイス」からはタイトなロックナンバー「No Matter What 」、ティム・ハーディンがカバーした「Midnight Caller」、あまりにも有名な「Without You」、「ストレート・アップ」から印象的な「Sweet Tuesday Morning」「Day After Day」「Perfection」、など素晴らしい作品を生み出しました。
バッドフィンガーのアルバムは音がとても良いのです。エンジニアが良いのでしょうね。
バッドフィンガーは永遠です。

Ωベストアルバム 「ノー・ダイス」

8-2ウィジョヨクスモの花


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音楽の話 その42(キャロル・キング)

ガンジーファ - 011
1971年に発売された「つづれおり」はとても良いアルバムです。
プログレやハードロックに疲れた耳にはとても新鮮です。
キャロル・キングは16歳で歌手デビューするも、売れなくて挫折します。
キャロル1
17歳の頃ジェリー・ゴフィンと結婚し二人でソングライターとして売れてゆきます。
ザ・シレルズの「Will You Love Me Tomorrow」、シフォンズの「One Fine Day」など女性グループの曲、リトル・エヴァの「The Loco-Motion」、スティーブ・ローレンスの「Go Away Little Girl」,ドリフターズの「Up on the Roof」など60年代前半のヒット曲を沢山作りました。
素晴らしいのは作ったすべての曲が似ていないのです。
どうしてもヒットしたらその曲に似て作りそうですが、そうならないのです。
キャロル4
「つづれおり」に針を落とします。
軽快なピアノで「I Feel the Earth Move」が始まります。
身体が動いてしまいます。
大好きな曲です。
次の「So Far Away」ピアノの弾き語りで始まりベースが入ってくる所が最高です。
最後のフルートも良いです。
「It's Too Late」は言うことがない名曲です。
間奏のギターからソプラノサックスがたまりません。
「Home Again」「Beautiful」「Way Over Yonder」は佳作です。
B面にうつり「You've Got a Friend」です。
弾き語りにオーケストラが入りますが決して前に出てきません。
やはり名曲です。
「Where You Lead」はアップテンポな曲、「Will You Love Me Tomorrow」はザ・シレルズのバージョンとはまったく違うスローテンポでじっくり歌い上げます(私はシレルズの方が好きですが)。
「Smackwater Jack」はホンキートンク調、「Tapestry」はタイトルソングで落ち着いた曲、「A Natural Woman」はアレサ・フランクリンがカバーしています。
You Make Me Feelのフレイズが素敵です。
キャロル3
続くアルバム「Music」もサウンドが似ていて良いアルバムです。
一曲目の「Brother, Brother」は良い曲です。
「It's Going to Take Some Time」はカーペンターズの方が好きかな。
とても可愛い曲「Some Kind of Wonderful」、素敵な「Carry Your Load」、「Music」は最高です。
間奏のところはコルトレーンに似ていますね。
ピアノもマッコイ・タイナーか。
チャールズ・ラーキーのベースを前面に出した(出し過ぎ)「Brighter」その他駄作はありません。
とても良くまとまったアルバムです。
キャロル2
キャロル・キングは素晴らしいソングライターです。
不世出のソングライターです。
しかしシンガーとしてはまあまあです。
なぜなら他人に送った曲を作者が歌えばほとんど素晴らしいのですがカバーの方が良いのです。
とは言っても素晴らしいミュージシャンに変わりはありません。
ライブでは飛び回り、ユーミン顔負けの元気なおばさんです。

Ωベストアルバム 「つづれおり」

8-2ウィジョヨクスモの花

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音楽の話 その41(ダスティ・スプリングフィールド)

ガンジーファ - 012
世界には伝説的女性歌手がいます。
日本には美空ひばり、台湾にはテレサ・テン、インドネシアにはエルフィ・スカエシ、インドにはアシャ・ボスレ、アメリカにはアレサ・フランクリン、そしてイギリスにはダスティ・スプリングフィールドがいます。
今回はイギリスの歌姫ダスティ・スプリングフィールドです。
1966〜1967年頃、「この胸のときめきを」を聞いたのが初めてです。
ビートルズやリヴァプールサウンドにどっぷり浸かっていたので大人のポップス位にしか思っていませんでした。
原曲がカンツォーネなので随分仰々しい曲だなと思っていました。
確かデビューしたてのビートルズと何回か共演をしたと思います。
60年代後半から70年代中頃まで沢山のロックミュージシャンが出てきて、沢山のアルバムをリリースしたのでダスティ・スプリングフィールドのことはまったく忘れていました。当然69年のアルバム「Dusty In Memphis」のことは知りませんでした。
80年代に入り何かの雑誌で元祖ブルー・アイド・ソウル・シンガーであり「Dusty In Memphis」は名盤であるという記事を見てすぐに購入しました。
ダスティ
このアルバムは60年代終わりに鳴かず飛ばずであったダスティにアトランティック・レコードはメンフィスでのレコーディングを勧めます。
それはダスティのソウルフルなボーカルを見越してのことでした。
プロデュースに当たったのは、ダスティの敬愛するアレサ・フランクリンのプロデューサー・チーム、トム・ダウド、ジェリー・ウェクスラー、そしてアリフ・マーディンで、彼らは本格的なリズム&ブルース・アルバムを作ります。
バリバリのソウルではなくGerry・Goffin, Carole・KingやRandy・Newman、Burt・Bacharach, Hal・Davidの曲を取りいれたこのアルバム「Dusty In Memphis」は大絶賛されました。
ダスティ4
A面1曲目の「Just a Little Lovin'」名曲でストリングスとコーラスがとても合っています。
2曲目のキャロル・キングの「So Much Love」も黒っぽい雰囲気とダスティの声がとても合っています。
3曲目の「Son of a Preacher Man」はいうまでもないR&Bの名曲です。
アレサがボツにした曲を復活させました。
4曲目の「I Don't Want to Hear It Anymore」はダスティのために書かれたようなランディ・ニューマンの曲です。
とても素敵な曲です。
5曲目「Don't Forget About Me」は再びキャロル・キングの曲です。
最後の曲「Breakfast in Bed」はダスティ節全開です。
ダスティ2
B面1曲目はランディニューマンの「Just One Smile」です。
アル・クーパーも歌っている大好きな曲です。
2曲目はミッシェル・ルグランの「風のささやき The Windmills of Your Mind」です。
悪いわけはありません。
3曲目は「In the Land of Make Believe」です。
バカラックの美しいメロディに乗って素晴らしい歌声を聴かせてくれます。
シタールが面白いです。
4曲目はキャロル・キングの「No Easy Way Down」です。
5曲目もキャロル・キングの「I Can't Make It Alone」です。
ダスティ3
ダスティはキャロル・キングをして貴方ほど私の曲を的確に解釈した人はいないと言わしめています。
白人がソウルを歌うと黒さばかり強調されますがダスティは自然に歌っていて、その中にソウルが込められているので、とても自然です。
それがアレサ・フランクリンやマーサ・リーヴスといった偉大な黒人女性シンガーたちも、彼女には一目を置いている理由だと思います。

8-2ウィジョヨクスモの花

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音楽の話 その40(ジョージ・ハリスン)

ガンジーファ - 027
今回は1970年に発売された3枚組の「All Things Must Pass」です。
当時3枚組のロックアルバムはありませんでした。
何と5000円もしたのです。
ジョージ1
当時の私はジョンとポールでした。
ジョージごめんなさい。
しかし改めてジョージの曲を聞くととても良いのです。
「Don't Bother Me」「I Need You」「You Like Me Too Much」「If I Needed Someone」「Taxman」「Within You Without You」「Old Brown Shoe」「Something」「Here Comes The Sun」など素晴らしいソングライターなのです。
そして「All Things Must Pass」です。
まずジャケットが素晴らしい。
フライアー・パーク前の芝生でジョージが4体のノーム人形に囲まれて座っています。
ジョージもノームになり切っています。
撮影はボブ・ディランの写真で有名なバリー・ファインスタインです。
ジョージ2
2枚のアルバムと、Apple Jam”と呼ばれ、ジョージを中心としたジャム・セッションで構成されています。
まずはA面1曲目「I'd Have You Anytime」です。
とても幻想的な曲で特にエコーのかかった様な音の壁ウォールオブサウンドです。
古い人にはロネッツやライチャスブラザースでおなじみです。
名曲です。
2曲目は「My Sweet Lord」です。
クリシュナ好きにはたまりません。
シフォンズのHe's So Fineにそっくりですがそんなことは気になりません。
もちろん名曲です。
ちなみに歌詞のハリはクリシュナ神のもとの神ヴィシュヌ神を表す言葉で、ジョージ・ハリスンのハリに引っ掛けています(ラヴィ・シャンカール談)。
ジョージ3
「Wah-Wah」もウォールオブサウンド全開です。
壁が厚過ぎます。
A面最後は「Isn't It a Pity」もう最高です、名曲。
B面にします。
「What is Life」とてもポップな曲サビが良い。
2曲目はボブ・ディランの曲「If Not for You」ですがアレンジされてジョージの曲になっています。
「Behind That Locked Door」少しカントリーが入っています。
ほとんどカントリーか。
「Let It Down」ピアノとオルガンに程よくギターが入る曲で結構好きです。
B面最後の「Run of The Mill」も良い曲です。
ブラスがとても素敵です。
C面最初は「Beware of Darkness」すぐに鳥肌が立ちます、名曲です。
ジョージの歌い方がたまりません。
「Apple Scruffs」はディランの様なハーモニカで始まるジョージの弾き語りです。
コーラスが引き立てます。
ジョージの豪邸のもとの持ち主を歌った「Ballad of Sir Frankie Crisp」、「Awaiting on You All」はとても明るいポップナンバー 、最後はタイトル曲「All Things Must Pass」、もちろん名曲です。
老子の道徳経に影響されて作ったと言われています。
ジョージ5
D面1曲目は「I Dig Love」ピアノとベースで始まる不思議な曲。
「Art of Dying」クラプトンのギターをフィチャーしたアップテンポの曲、「Isn't It a Pity」が戻ってきます。
少し壁が薄くなってスローテンポです。
オルガンとコーラスが印象的です、名曲です。
最後の「Hear Me Lord」です。
とてもタイトで好感が持てます。
My Sweet Lordの続編の様な曲です。
三枚目のApple Jamは当時あまり聞いていなかったのですが、じっくり聞くとなかなか味わいのあるジャムセッションで今では考えられないメンバーの音が楽しめます。
ジョンの誕生日に贈ったクリフ・リチャードのCongraturationsの替え歌は楽しめます。
「Thanks for the Pepperoni」はノリノリです。
このアルバムはジョージの人柄に集まって来た人達です。
ジョージ4
ブライアン・エプスタインが「ジョージといると本当に心が休まる。
ジョンやポールと一緒のときのように、何かしなくちゃいけないというプレッシャーが全くない」と言っています。
ジョージの人柄や才能に憧れたミュージシャンが追悼コンサートにあつまりました。
「CONCERT FOR GEORGE」は素晴らしいDVDです。

8-2ウィジョヨクスモの花
                                                       
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音楽の話 その39(ポール・マッカートニー2)

ガンジーファ - 029
ポールのソロ第2弾「Ram」はとても美味しいアルバムです。
ラム好きの私にはたまりません。
ジャケットもとても美味しそうです。
私はサホーク種の羊が大好きです。
ジンギスカンは最高ですがラムチョップも捨てがたいです。
ラム
前作はポール1人で作りましたが今回はドラマーやギタリストも参加しています。
さらにニューヨークフィルハーモニーがアルバムに彩りを添えます。
まずはA面1曲目「Too Many People」は後のウィングスを予感させる曲です。
「3 Legs」は快適なブルースナンバーです。
リンダのバックコーラスもいけます。
三曲目の「Ram On」はウクレレが決め手です。
ジョージの影響かな。
とても良く作られています。
ラム4
「Ram On」から5曲目の「Uncle Albert/Admiral Halsey」の流れは最高です。
「Dear Boy」はシングルカットされてもおかしくない曲です。
「Uncle Albert/Admiral Halsey」はこのアルバムのハイライトです。
ビートルズを感じさせるアレンジが随所に見られます。
ポール得意の色々な曲を繋ぎあわせるスタイルがとても良くでています。
A面最後の「Smile Away」は乗りが良い曲です。
B面は「Heart Of The Country」タイトル通りカントリーぽい曲です。
「Monkberry Moon Delight」はよく解らない不思議な曲です。
ポールの血管が切れそうな曲。
もうやけくその感じです。
「Helter Skelter」よりすごいかもしれません。
リンダとヘザーのとても冷静なコーラスがとても良い。
一度聞いたら忘れられません。
ラム3
「Eat At Home」普通の曲。
「Long Haired Lady」普通の曲、長すぎる。
エンディングが「Hey Jude」に似ているかな。
「Ram On」が戻ってきました。
ほっとします。
B面最後の曲は「The Back Seat of My Car」です。
私は一番好きです。
この曲がなければB面は引き締まりません。
ラム2
「Ram」は「McCartney」にくらべると遥かにアルバムの体裁が整っています。
とても完成度の高いアルバムですが、聞き込むと「McCartney」のアットホームな暖かさや未完成の美しさがうすれています。
この後ウイングスになりますが、「Ram」と「McCartney」はポールの原点です。
ビートルズから脱皮し、これから世界に羽ばたき、世界中に素敵な音楽を届けます。

8-2ウィジョヨクスモの花

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