音楽の話 その49(ゾンビーズとビートルズ考)

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ビートルズのデビューは強烈でした。
リアルタイムで体験した人達は全員同じ思いだったと思います。
今回取り上げるのはゾンビーズですが、原点のビートルズに関して私の考えをお話ししたいと思います。
初期ビートルズが私に及ぼした音楽的影響は3つあります。
1つは「抱きしめたい」「プリーズ・プリーズ・ミー」「シー・ラブズ・ユー」などのビートルズ独自の曲(これがメインで80%)、2つ目は「プリーズ・ミスター・ポストマン」「ベイビー・イッツ・ユー」「チェインズ」など黒人女性グループを中心としたR&Bのカバー(10%)、3つ目は「アスク・ミー・ホワイ」、「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」「ディス・ボーイ」「イエス・イット・イズ」などのヨーロッパ系哀愁を帯びたナンバー(10%)です。
私がこの3番目の音楽が好きな理由は、ビートルズデビュー以前の音楽体験にあると思います。
ヨーロッパ系映画音楽(特にイタリア)、ガンツオーネ、フレンチポップスなどと、ロリポップなアメリカ女性グループの音楽の下地が出来ていたためだと思います。
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そしてこの路線を引き継いだのがマージー・ビートやブリティシュ・ビートのグループです。
ジェリー&ザ・ペイスメーカーズ「太陽は涙が嫌い」「マージー河のフェリーボート」、デイヴ・クラーク・ファイヴ「ビコーズ」「ハーティング・インサイド」「ウェン」、ゾンビーズ「シーズ・ノット・ゼア」「テル・ハー・ノー」などが代表曲です。その中でもゾンビーズは特異です。
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ロッド・アージェントとクリス・ホワイトの2人が生み出す哀愁を帯びた美しいメロディ、コリン・ブランストーンの独得の歌い方と独得の声、これがゾンビーズの骨格です。
とても不運なグループで彼らが発表したヒット曲はイギリスではわずか2曲、アメリカでさえ5曲、原因はレコード会社のサポートを十分に受けられなかったり、ティーン・エイジャー向けの曲が少なかったりしたためだと言われています。
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リリースしたオリジナルアルバムは65年「ザ・ゾンビーズ」と68年「オデッセイ・アンド・オラクル」の2枚だけです。
名作「オデッセイ・アンド・オラクル」はまったく売れずバンドは解散してしまいます。
当時CBSのプロデューサーであったアル・クーパーの進言によりアメリカでシングルカットされた「ふたりのシーズン」が大ヒット(さすがアル・クーパー、確かにアル・クーパー好みの曲である)します。
しかし再結成はされませんでした。
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そして「オデッセイ・アンド・オラクル」が見直されます。
A面一曲目オープニングにふさわしい「Care of Cell 44」からとても美しい「A Rose For Emily」コリン・ブランストーンしか歌えない「This Will Be Our Year」、大ヒットの「Time of the Season」などどれも佳作ぞろいです。
メロトロンやハプシーコード、フルート、コーラスが素晴らしい。
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お勧めはザ・ゾンビーズ オデッセイ&オラクル40周年コンサート [DVD]にします。
理由その1「シーズ・ノット・ゼア」「テル・ハー・ノー」が入っている。
その2 R&Bの名曲「ホワット・ビカムズ・オブ・ザ・ブロークン・ハーテッド」がコリンの歌で聞ける。
その3 コリンの「ミスティ・ローズ」が弦楽五重奏団で聞ける。
その4ダリアン・サハナジャのプロデュースでオデッセイ・アンド・オラクルがフルで聞けるからです。
ポール・アトキンソンのギターはもう聞けませんが。
これほどバンド名と実態がそぐわないグループも珍しい。

Ωベストアルバム DVDザ・ゾンビーズ オデッセイ&オラクル40周年コンサート

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音楽の話 その48(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)

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1960年代後半はウェストコーストサウンド全盛期で、ヒッピー文化とともに全てが西海岸のカリフォルニア、ロサンゼルスに向いていました。
ここは反体制的なカウンターカルチャーの発信基地であり、ヒッピー的思想、マリファナやLSDなどのドラッグ・カルチャーにより、新時代の若者文化の中心地でした。
音楽もドラッグの影響でサイケデリックになり、ファッションもカラフルな物が好まれるようになって行きます。
そんな中、ニューヨークから現れたヴェルヴェット・アンダーグラウンドは新鮮でした。
アンディ・ウォーホルの肝いりでデビューした彼らのファーストアルバム「The Velvet Underground and Nico」のジャケットはウォーホルのバナナでした。
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僕らの合言葉は「バナナ聞いた?」です。
アルバムに入っている曲のタイトルを見てまた驚きです。
なんと「HEROIN」ですよ。
ウエストコーストでマリファナやLSDで盛り上がっているのにニューヨークではいきなりヘロインですよ。
また「VENUS IN FURS」ですよ。
あのマゾッホの「毛皮を着たビーナス」ですよ。
「黒い天使の死の歌」なんて言うのもあります。
絶対ウエストコーストサウンドのタイトルにはあり得ないタイトルです。
ファッションもウエストコーストとは大違いのビートニックです。
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このバンドはルー・リード(Vo、G)とジョン・ケイル(Viola、B)、スターリング・モリソン(G)、モーリン・タッカー(Ds)のヴェルヴェット・アンダーグラウンドにウォーホルの取り巻きのニコがボーカルで参加して作られました。
それではA面に針を落とします。
拍子抜けするような美しい「Sunday Morning」で始まります。
「I'm Waiting for the Man」は後のバンドに多大な影響を与えたルーリードのボーカルです。
「Femme Fatale」はニコのボーカルです。
綺麗な曲で決してうまいとは言えないが魅力のある歌い方とよくマッチしています。
やる気のないバックコーラスが良い。
「Venus in Furs」は好きな曲です。
サードイヤーバンドに音が似ていますね。
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「Run Run Run」とニコのボーカルの格調の高い「All Tomorrow's Parties」は後のパンクに多大な影響を与えたと思います。
B面は「Heroin」そしてポップな「There She Goes Again」続いてこれもポップなニコの「I'll Be Your Mirror」、「The Black Angel's Death Song」、ベースラインとノイジーなギターの「European Son」で終わりです。
当時は音楽自体よりも存在がかっこいいと思っていましたが、改めて聞くと、その影響力の大きさを実感するデビューアルバムで今聞いても全く色あせていません。
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ポール・オースター監督の映画「Blue in the Face」にルー・リードが出てきますがメチャクチャカッコいいです。
ルー・リードとキース・リチャーズは永遠の悪ガキです。

Ωベストアルバム 「The Velvet Underground and Nico」

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音楽の話 その47(ラヴィン・スプーンフル)

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ラヴィン・スプーンフルは不思議なバンドです。
60年代後半、あらゆるロックが台頭して来る中で、ラヴィン・スプーンフルの「 Summer In The City」はとてもかっこよく、いつも聞いていました。
単なるアメリカのカントリーロックともフォークロックとも違い、イギリスの香りがします。
そして根底にはブルースがあります。
メンバーのジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキーはニューヨークを中心に活動していたフォーク・デュオ・グループ、マグワンプスのメンバーでした。
マグワンプスには、その後ママス&パパスを結成することになるキャス・エリオットとデニー・ドハーティーが在籍していましたが、1964年にこの二人が脱退して、ベースのスティーブ・ブーンとドラムスのジョー・バトラーを加え、1965年にラヴィン・スプーンフルをスタートさせます。
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ファーストアルバム「魔法を信じるかい?」の一曲目「 Do You Believe in Magic」は大ヒットした軽快なナンバーです。いきなりラヴィン・スプーンフルの世界です。
「Sportin’Life」はコテコテのブルース、「Younger Girl」はとても優しい曲、「Night Owl blues」ではジョンセバスチャンのブルージーなハーモニカが聴けます。
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セカンドアルバム「Daydream」の1曲目「Daydream」は大好きな曲で、キンクスのレイ・デイビスが歌ってもおかしくない曲です。
「Warm Baby」はとても面白いブルースでバックコーラスが洒落ています。
次の「You Didn’t Have to Be So Nice」もとても良い曲で、これぞラヴィン・スプーンフルです。
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サードアルバム「Hums Of The Lovin’ Spoonful」の7曲目はヒットした「Rain On the Roof」ですが、8曲目の「Coconut Grove」の方が好きです。
11曲目に「Summer In the City」です。
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ラヴィン・スプーンフルと他のバンドの違いは温かみがある事です。
それはジョン・セバスチャンの持つ雰囲気によるものかもしれません。ジョン・レノンのようなメガネをかけ、顔も声も曲もとてもやさしいのです。
ザル・ヤノフスキーのギターも基本がしっかりして、曲にマッチしてセンスも良いのです。
60年代後半のアメリカのバンドとしてはとても貴重な存在です。

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音楽の話 その46(ロジャー・ニコルズ)

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今回はロジャー・ニコルズです。
70年代初め、カーペンターズを聞くようになると、この楽曲は誰が作った曲なのか興味が出てきます。
好きな曲のクレジットを見ると歌詞ポール・ウィリアムズ、曲ロジャー・ニコルズなのです。
「We've Only Just Begun」「 Rainy Days and Mondays」「 Let Me Be the One 」「I Won't Last a Day Without You」などです。
この2人は最強のエルトン・ジョン、バーニー・トーピンのコンビに勝るとも劣りません。
ポール・ウィリアムズは知っていますが、ロジャー・ニコルズは知りません。
色々調べるとポール・ウィリアムズと組む前は65年頃から活動を始めます。
なかなか恵まれず、68年にトニー・アッシャーを作詞家に迎えた「Roger Nichols & The Small Circle Of Friends」がやっと発売されます。
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このアルバムは全12曲中、オリジナルが6曲、カバーが6曲です。
1曲目はオリジナル「Don't Take Your Time」から始まります。
とても軽快なナンバーでセルジオ・メンデスのようなピアノで始まり、ハーブ・アルパートのようなトランペットが入り最高です。
2曲目はビートルズの「With A Little Help From My Friends」です。
ポールとは違うベースラインが特徴です。
3曲目はバートバカラックの「Don't Go Breaking My Heart」原曲はボサノバ調ですが上手にアレンジしています。
「ららら〜」がよいですね。
「I Can See Only You」もとても良い曲です。
イントロから泣かせます。
大好きです。
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5曲目はキャロルキングの「Snow Queen」です。
「Love So Fine」はロジャー全開です。
ノリノリでSwing Out Sisterに歌わせたらぴったりです。
名曲です。
7曲目「Kinda Wasted Without You」、8曲目「Just Beyond Your Smile」は普通の曲、9曲目「I'll Be Back」はビートルズの曲ですが、あまりアレンジが良いとは言えません。
それに比べるとラヴィン・スプーンフルの10曲目「Cocoanut Grove」と11曲目「Didn't Want To Have To Do It」は完璧のアレンジです。
始めからロジャー・ニコルズの曲みたいです。
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ビートルズフリークの私の意見としては「With A Little Help From My Friends」と「I'll Be Back」は要らなかったと思います。
初夏の爽やかな風みたいにウキウキ楽しくなるアルバムです。

8-2ウィジョヨクスモの花

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音楽の話 その45(デヴィッド・ボウイ)

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70年頃だったと思いますがスペース・オディティを聞き驚きました。
まだキューブリックの「2001年宇宙の旅」の余韻が残っていおり、アポロ計画が話題を集めていたときでした。
あまりにも美しく壮大な曲で感動しました。
そして初めて購入したアルバムは「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Marsー屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群」でした。
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何と素敵なタイトルでしょう。
5年後に迫る資源枯渇を原因とする人類滅亡の危機に、異星よりやってきたロックスター「ジギー・スターダスト」と彼のバンド「スパイダーズ・フロム・マーズ」の成功から没落までの物語をアルバムにしました。
妖艶さと狂気を兼ね備えた「ジギー」のキャラクターは正にボウイそのものです。
ステージでは宇宙人である奇抜な衣装それも山本寛斎デザインの衣装を歌舞伎で用いる引き抜きを使ったり、蜘蛛の糸を投げつけたりするパフォーマンスは圧巻です。
もともと舞踏家リンゼイ・ケンプにパントマイムを習ったりしていましたので身体の動きがとてもきれいです。
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私は1973年に新宿の厚生年金会館で見ました。
完全にジギーの世界=ボウイの世界に引き込まれました。
今までにないロックスターの出現に大興奮です。
さてアルバムA面に針お落とします。
「Five Years」はシンプルで乾いたロック、オープニングにふさわしい5年後です。
同じくドラムで始まる「Soul love」サッックスがとても印象的な佳作、「Moonage Daydream」はとても面白い曲、「Starman」は言わずと知れた名曲。
最後はRon daviesの「It Ain’t Easy」です。
この泥臭い曲は色々な人がカヴァーしていますがボウイはまるで彼のオリジナルのように歌います。
最高です。
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B面「Lady Stardust」はピアノが印象的で私はとても好きです。
「Star」はスターのジギーがだんだん落ちぶれて、スターにしがみついているのがわかります。
「Hang Onto Yourself」ノリのいいロックナンバー、ミック・ロンソンのギターにしびれます。
タイトルチューンの「Ziggy Stardust」は自分とバンドの歌、最後のZiggy played guitarの
ところは泣けます。
「Suffragette City」はスピーと感あふれるロックナンバーですが仲間ともいざこざがあり、薬と女に溺れるジギー、彼に残されたのは死しかありません。
そして最後の「Rock’n’Roll Suicide」アコースティクギターで淡々と歌うジギー、やがて魂の叫び、ストリングスで終わります。
ボウイ2
新しいヒーローの登場です。
8-2ウィジョヨクスモの花

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