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音楽の話 その51(マーヴィン・ゲイ)

ガンジーファ - 084
今回はマーヴィン・ゲイです。
ワシントンD.C.に生まれたマーヴィンは地元の聖歌隊に入り、歌、ピアノ、ドラムなどを習得して音楽の基礎を作りました。
しかし厳格な父により精神的虐待を受け、これがトラウマになります。
空軍に入隊し除隊したあと、数々のコーラスグループへてモータウンレコードの社長であるベリー・ゴーディ・ジュニアにその才能を見出され、同レーベルでソロシンガーとしてのキャリアを踏み出すこととなります。
ドラマーでもあったマーヴィンはモータウンのバックミュージシャンと仲良くなり、曲作りや編曲に貢献してもらうことになります。
「悲しいうわさ」やタミー・テレルとのデュエット「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」などのヒットをとばしモータウンの中でも高い地位を占めるようになります。
しかしタミーの死で衝撃を受け一時音楽活動を停止してしまいます。
マーヴィン2
やがて弟フランキーがベトナム戦争から復員してきます。
その体験などを聞き新たな音楽を模索します。
そして1971年衝撃的な「What's Going On」をリリースします。
マーヴィン
この曲は公害、貧困、ベトナム戦争といった社会問題を取り上げ、それに対する苦悩を赤裸々に表現した歌詞と、とても優しくメロディアスな曲で話題になりました。
モータウンの社長ベリー・ゴーディは当初この曲を気に入らず、シングルとしてリリースすることに難色を示しましたが、ゲイはそれに対して、リリースしなければ残りの曲のレコーディングもしないと反論し、異例のセルフ・プロデュースでアルバムを発表しました。
すべて社会問題についての問題提議のコンセプトアルバムでタイトルソングが随所で挿入されています。
A面に針を落とすと、ざわめく会話の中からソプラノサックスが出てきて優しいマーヴィンの声で「What's Going On」が始まります。
マーヴィン3
ソフトな曲と裏腹に歌詞は「ねえ母さん、沢山の人達が涙を流しているよ、兄弟達が次々と死んで行くよ・・・・・」と、とてもきつい内容です。
そのまま2曲目の「What's Happening Brother 」につながります。
「Flyin' High」、ヴァースが素晴らしい「Save the Children」エンディングから「God is Love」の入り方が素晴らしい。
最後は名曲「Mercy Mercy Me」です。
サックスソロがいい感じです。
A面は流れるようなトータル感が素晴らしいです。
B面1曲目「Right on」はピアノとフルートでラスカルズやウィンウッドのような感じの曲で始まります。
2曲目「Wholy Holy」はストリングスをバックに素晴らしいマーヴィンの歌とクラリネットで聴かせます。
最後の「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)」では「What's Going On」のフレーズが出てきて終わります。
とどまることなく最後まで一気に聴ける素晴らしいアルバムです。
マーヴィン5
残念ながらマーヴィンは45歳の誕生日前日に父親との口論により父親の発砲で亡くなりました。
とても残念です。

Ωベストアルバム 「What's Going On」

8-2ウィジョヨクスモの花

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音楽の話 その50(フロック)

ガンジーファ - 003
フロックについて話したいと思います。
1969年頃CBSソニーからニューロック(良い言葉です)のレコードが沢山発売されました。
「フィルモアの奇跡」「スーパーセッション」「エレクトリック・フラッグ」「スライ&ファミリーストーン」「ブラッド、スウェット&ティアーズ」など有名無名のミュージシャンのレコードが沢山発売されました。
その中に混じって「The Flock」と言う無名のバンドがありました。
ジャケットも特徴がなくまず買わないアルバムです。
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そのアルバムが友人の家にあったのです。
とりあえずA面に針を落とします。「Introduction」 はギターとエレクトリックヴァイオリンでとても美しいメロディを奏でます。
ここで虜になってしまいます。
当時有名だったジャン=リュック・ポンティとは全然別物のヴァイオリンです。
クレジットを見るとFred Glickstein (Lead Vocals, Guitar)、Jerry Smith (Bass)、Ron Karpman (Drums)、Rick Canoff (Tenor Saxophone)、Tom Webb (Tenor Saxophone)、Frank Posa (Trumpet)、Jerry Goodman (Violin)です。
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Fred GlicksteinとJerry Goodman の抜群のコンビネーションです。
続くベースから入る「Clown」はブラスロック全開です。
シカゴを感じさせる部分もありますがやはりなんと言ってもJerry Goodman のヴァイオリンです。
中間部のサックスが交差するインプロビゼーションもなかなかです。
ベースから主題にもどり終わります。
そして名曲「I Am the Tall Tree 」です。
ギターからボーカルが入り、ヴァイオリンです。
「Introduction」「Clown」「I Am the Tall Tree 」の流れは最高です。
レオン・ラッセルの「カーニー」、ビートルズの「サージャント」と共にLPレコードにおける最高の流れです。
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フロックはこれだけで十分です。
一時期毎日のように聞いていました。
セカンドアルバム「Dinosaur Swamps」 はジャケットが最高です。
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恐竜好きにはたまりません。
ジャケ買いするでしょう。
一曲目の「Green Slice」から何か出てきそうな雰囲気のサックス、続く「Big Bird」はオドロオドロした曲かと思ったら陽気なブラスカントリーでした。
「Hornschmeyer's Island 」や「Mermaid 」など不思議な曲が入っていますが、あまりジャケットと関係ない様です。
かなり実力のあるバンドですが、ヒットには恵まれず、ヴァイオリンのジェリー・グッドマンがジョン・マクラフリン、リック・レアード、ビリー・コブハム、ヤン・ハマーらとマハヴィシュヌ・オーケストラを結成して有名になったぐらいです。
ANDWELLAと共にフロックは私の秘密のアルバムです。

Ωベストアルバム 「The Flock」

8-2ウィジョヨクスモの花

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音楽の話 その49(ゾンビーズとビートルズ考)

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ビートルズのデビューは強烈でした。
リアルタイムで体験した人達は全員同じ思いだったと思います。
今回取り上げるのはゾンビーズですが、原点のビートルズに関して私の考えをお話ししたいと思います。
初期ビートルズが私に及ぼした音楽的影響は3つあります。
1つは「抱きしめたい」「プリーズ・プリーズ・ミー」「シー・ラブズ・ユー」などのビートルズ独自の曲(これがメインで80%)、2つ目は「プリーズ・ミスター・ポストマン」「ベイビー・イッツ・ユー」「チェインズ」など黒人女性グループを中心としたR&Bのカバー(10%)、3つ目は「アスク・ミー・ホワイ」、「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」「ディス・ボーイ」「イエス・イット・イズ」などのヨーロッパ系哀愁を帯びたナンバー(10%)です。
私がこの3番目の音楽が好きな理由は、ビートルズデビュー以前の音楽体験にあると思います。
ヨーロッパ系映画音楽(特にイタリア)、ガンツオーネ、フレンチポップスなどと、ロリポップなアメリカ女性グループの音楽の下地が出来ていたためだと思います。
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そしてこの路線を引き継いだのがマージー・ビートやブリティシュ・ビートのグループです。
ジェリー&ザ・ペイスメーカーズ「太陽は涙が嫌い」「マージー河のフェリーボート」、デイヴ・クラーク・ファイヴ「ビコーズ」「ハーティング・インサイド」「ウェン」、ゾンビーズ「シーズ・ノット・ゼア」「テル・ハー・ノー」などが代表曲です。その中でもゾンビーズは特異です。
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ロッド・アージェントとクリス・ホワイトの2人が生み出す哀愁を帯びた美しいメロディ、コリン・ブランストーンの独得の歌い方と独得の声、これがゾンビーズの骨格です。
とても不運なグループで彼らが発表したヒット曲はイギリスではわずか2曲、アメリカでさえ5曲、原因はレコード会社のサポートを十分に受けられなかったり、ティーン・エイジャー向けの曲が少なかったりしたためだと言われています。
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リリースしたオリジナルアルバムは65年「ザ・ゾンビーズ」と68年「オデッセイ・アンド・オラクル」の2枚だけです。
名作「オデッセイ・アンド・オラクル」はまったく売れずバンドは解散してしまいます。
当時CBSのプロデューサーであったアル・クーパーの進言によりアメリカでシングルカットされた「ふたりのシーズン」が大ヒット(さすがアル・クーパー、確かにアル・クーパー好みの曲である)します。
しかし再結成はされませんでした。
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そして「オデッセイ・アンド・オラクル」が見直されます。
A面一曲目オープニングにふさわしい「Care of Cell 44」からとても美しい「A Rose For Emily」コリン・ブランストーンしか歌えない「This Will Be Our Year」、大ヒットの「Time of the Season」などどれも佳作ぞろいです。
メロトロンやハプシーコード、フルート、コーラスが素晴らしい。
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お勧めはザ・ゾンビーズ オデッセイ&オラクル40周年コンサート [DVD]にします。
理由その1「シーズ・ノット・ゼア」「テル・ハー・ノー」が入っている。
その2 R&Bの名曲「ホワット・ビカムズ・オブ・ザ・ブロークン・ハーテッド」がコリンの歌で聞ける。
その3 コリンの「ミスティ・ローズ」が弦楽五重奏団で聞ける。
その4ダリアン・サハナジャのプロデュースでオデッセイ・アンド・オラクルがフルで聞けるからです。
ポール・アトキンソンのギターはもう聞けませんが。
これほどバンド名と実態がそぐわないグループも珍しい。

Ωベストアルバム 「DVDザ・ゾンビーズ オデッセイ&オラクル40周年コンサート 」

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音楽の話 その48(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)

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1960年代後半はウェストコーストサウンド全盛期で、ヒッピー文化とともに全てが西海岸のカリフォルニア、ロサンゼルスに向いていました。
ここは反体制的なカウンターカルチャーの発信基地であり、ヒッピー的思想、マリファナやLSDなどのドラッグ・カルチャーにより、新時代の若者文化の中心地でした。
音楽もドラッグの影響でサイケデリックになり、ファッションもカラフルな物が好まれるようになって行きます。
そんな中、ニューヨークから現れたヴェルヴェット・アンダーグラウンドは新鮮でした。
アンディ・ウォーホルの肝いりでデビューした彼らのファーストアルバム「The Velvet Underground and Nico」のジャケットはウォーホルのバナナでした。
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僕らの合言葉は「バナナ聞いた?」です。
アルバムに入っている曲のタイトルを見てまた驚きです。
なんと「HEROIN」ですよ。
ウエストコーストでマリファナやLSDで盛り上がっているのにニューヨークではいきなりヘロインですよ。
また「VENUS IN FURS」ですよ。
あのマゾッホの「毛皮を着たビーナス」ですよ。
「黒い天使の死の歌」なんて言うのもあります。
絶対ウエストコーストサウンドのタイトルにはあり得ないタイトルです。
ファッションもウエストコーストとは大違いのビートニックです。
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このバンドはルー・リード(Vo、G)とジョン・ケイル(Viola、B)、スターリング・モリソン(G)、モーリン・タッカー(Ds)のヴェルヴェット・アンダーグラウンドにウォーホルの取り巻きのニコがボーカルで参加して作られました。
それではA面に針を落とします。
拍子抜けするような美しい「Sunday Morning」で始まります。
「I'm Waiting for the Man」は後のバンドに多大な影響を与えたルーリードのボーカルです。
「Femme Fatale」はニコのボーカルです。
綺麗な曲で決してうまいとは言えないが魅力のある歌い方とよくマッチしています。
やる気のないバックコーラスが良い。
「Venus in Furs」は好きな曲です。
サードイヤーバンドに音が似ていますね。
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「Run Run Run」とニコのボーカルの格調の高い「All Tomorrow's Parties」は後のパンクに多大な影響を与えたと思います。
B面は「Heroin」そしてポップな「There She Goes Again」続いてこれもポップなニコの「I'll Be Your Mirror」、「The Black Angel's Death Song」、ベースラインとノイジーなギターの「European Son」で終わりです。
当時は音楽自体よりも存在がかっこいいと思っていましたが、改めて聞くと、その影響力の大きさを実感するデビューアルバムで今聞いても全く色あせていません。
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ポール・オースター監督の映画「Blue in the Face」にルー・リードが出てきますがメチャクチャカッコいいです。
ルー・リードとキース・リチャーズは永遠の悪ガキです。

Ωベストアルバム 「The Velvet Underground and Nico」

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音楽の話 その47(ラヴィン・スプーンフル)

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ラヴィン・スプーンフルは不思議なバンドです。
60年代後半、あらゆるロックが台頭して来る中で、ラヴィン・スプーンフルの「 Summer In The City」はとてもかっこよく、いつも聞いていました。
単なるアメリカのカントリーロックともフォークロックとも違い、イギリスの香りがします。
そして根底にはブルースがあります。
メンバーのジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキーはニューヨークを中心に活動していたフォーク・デュオ・グループ、マグワンプスのメンバーでした。
マグワンプスには、その後ママス&パパスを結成することになるキャス・エリオットとデニー・ドハーティーが在籍していましたが、1964年にこの二人が脱退して、ベースのスティーブ・ブーンとドラムスのジョー・バトラーを加え、1965年にラヴィン・スプーンフルをスタートさせます。
スプーンフル
ファーストアルバム「魔法を信じるかい?」の一曲目「 Do You Believe in Magic」は大ヒットした軽快なナンバーです。いきなりラヴィン・スプーンフルの世界です。
「Sportin’Life」はコテコテのブルース、「Younger Girl」はとても優しい曲、「Night Owl blues」ではジョンセバスチャンのブルージーなハーモニカが聴けます。
スプーンフル2
セカンドアルバム「Daydream」の1曲目「Daydream」は大好きな曲で、キンクスのレイ・デイビスが歌ってもおかしくない曲です。
「Warm Baby」はとても面白いブルースでバックコーラスが洒落ています。
次の「You Didn’t Have to Be So Nice」もとても良い曲で、これぞラヴィン・スプーンフルです。
スプーンフル3
サードアルバム「Hums Of The Lovin’ Spoonful」の7曲目はヒットした「Rain On the Roof」ですが、8曲目の「Coconut Grove」の方が好きです。
11曲目に「Summer In the City」です。
スプーンフル4
ラヴィン・スプーンフルと他のバンドの違いは温かみがある事です。
それはジョン・セバスチャンの持つ雰囲気によるものかもしれません。ジョン・レノンのようなメガネをかけ、顔も声も曲もとてもやさしいのです。
ザル・ヤノフスキーのギターも基本がしっかりして、曲にマッチしてセンスも良いのです。
60年代後半のアメリカのバンドとしてはとても貴重な存在です。

Ωベストアルバム 「Daydream」

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