映画の話 その43(エクソシスト)

67クンティボジョ
こんな怖い映画はありませんでした。
大オカルトブームの始まりです。
テレビのコマーシャルで十分怖く、映画館に行くのがためらわれましたが、興味が先に立ち出かけました。
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イラク北部で古代遺跡を発掘調査していたランカスター・メリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪霊パズズの像を発見する。
彼は「この邪悪な宿敵と再び対峙する日が近い」と予感する。
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一方ワシントン近郊のジョージタウンでは、撮影のために家を借りた女優のクリス・マクニール(エレン・バースティン)は娘のリーガン(リンダ・ブレア)と共に滞在していた。
クリスはやがて一人娘であるリーガンの異変に気付く。
その声は邪悪な響きを帯びて形相も怪異なものに豹変したうえ、荒々しい言動は日を追って激しくなり、ついには医者からも見放される。
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その矢先、友人の映画監督のバーク・デニングズが殺害される事件が発生する。
死体が発見されたのはクリス宅の近くの階段であった。
キンダーマン警部補(リー・J・コッブ)が捜査に乗り出す。
そして、悪魔はリーガンに十字架で自慰行為をさせ、バークの声を使ってクリスを嘲笑する。
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おなじジョージタウンに住むデミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)は時々、ニューヨークに住む母親を見舞いに訪ねている。
母親はギリシャからの移民で、ラジオでギリシャの音楽を聴いている。
娘が悪霊に取り憑かれたと知ったクリスは、カラス神父に悪魔払いを依頼する。
悪魔憑きに否定的なカラスは調査を進めていくうちに、リーガン自身からの助けを求めるメッセージを発見する。
カラスは悪魔払いの儀式を決意し、大司教に許可を求める。
主任には、悪魔払いの経験があるメリンが選ばれた。
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メリンとカラスの両神父は、少女リーガンから悪霊を追い払う儀式を行うが、その途中にメリンは持病の心臓病が悪化し絶命。
カラス神父は格闘の末、悪霊をわが身に乗り移らせると窓から身を投げ、全身を打って絶命する。
二人の神父の命掛けの戦いに少女リーガンが救われ、悪魔は破れ去った。
ウイリアム・フリードキン監督も素晴らしいが、原作脚本のウィリアム・ピーター・ブラッティがとても良いです。
メリン神父はベルイマン監督の第七の封印で死神を演じた名優マックス・フォン・シドーです。
イラクで発見されたバズズ像はこれから恐ろしいことが起こると暗示します。
この段階でもうドキドキです。
そしてリーガンの変貌です。
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この特殊メークを行なったのがディック・スミスです。
彼の元で学んだのがギレルモ・デル・トロ監督です。
ギレルモ・デル・トロ監督の出発点はエクソシストです。
怖くない訳がありません。
リーガンの首が回るのですよ。
ブリッジしながら階段を降りて行くのですよ。
蛇のように舌がペロペロするのですよ。
音楽担当のジャック・ニッチェはマイク・オールドフィールドのチュブラー・ベルズを使います。
とても控え目に使います。
壮絶なカラス神父とリーガン(リーガンに憑りついている悪魔)の戦いです。
全てにおいて、革新的なオカルト、ホラー映画でした。
「決して一人では見ないでください」

8-2ウィジョヨクスモの花

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映画の話 その42(欲望のあいまいな対象)

66ロジョモロ
ルイス・ブニュエル監督の遺作です。
ストーリーは一人の娘に翻弄される初老のブルジョワ紳士の姿をブニュエル風に描いたものです。
欲望のあいまい
テロ事件が頻発していたセビリアからパリまで列車で移動する初老のブルジョワ紳士マチュー・ファベールは一等のコンパートメントで子連れの婦人、判事、心理学教授と乗り合わせた。
皆が見つめる中で列車に乗り込もうとする若い女にバケツの水を頭からかける。
不審に思うコンパートメントの人達に説明を始める所から物語が始まります。
欲望のあいまい2
水をかけられた女はコンチータと言いマチューの家のメイドで初日に関係を持とう迫ったが断られ、翌日彼女は辞めて出て行きます。
次にコンチータにあったのはレマン湖畔です。
再び関係を迫るが断られる。
パリで彼女に聞いたアパートを訪れると、コンチータはクリスチャンの母親と慎ましく暮らしています。
マチューは母親に大金を払い、コンチータを引き取ろうとするが断られます。
再びバーでマチューに会います。
今度こそと別荘に連れて行くがなんと彼女は貞操帯を着けているのでした。
欲望のあいまい4
失意のマチューはセビリアに旅行します。
そこでフラメンコダンサーをしているコンチータに出会うのです。
マチューはコンチータに家を買って一緒に暮らそうとするが、コンチータは家に鍵をかけて入れないばかりかマチューが見ている前でギター弾きと抱き合い、マチューに罵詈雑言を浴びせます。
欲望のあいまい6
ついに怒りが爆発してパリに戻るために冒頭のセビリアの駅に来たのです。
そしてなんとコンチータが追いかけて来て、マチューに水をかけられたと言うことだったのです。
話が終わったときコンチータがコンパートメントに入って来てマチューにバケツの水をかけ返します。
なんとパリの駅から出て来た二人はとても仲が良さそうです。
後日パサージュを仲良く歩く二人。
突如パサージュが爆破され映画は終わります。
この映画の特徴はコンチータが二人一役なのです。
欲望のあいまい5
やせ形のキャロル・ブーケ、豊満なアンヘラ・モリーナが演じます。
しょっちゅう入れ替わりますが気になりません。
77歳で素晴らしいアイディアです。
もう1つの特徴はズタ袋です。
冒頭のセビリアのシーンでおじさんがズタ袋を担いでいます。
カメラはズタ袋を追います。
コンチータが別荘へ行くことを承諾した場面でもズタ袋を担いだおじさんがカメラの前をよこぎります。
次のシーンではマチュー自身がトレンチコートにズタ袋を担ぎます。
セビリアのレストランから出て来た時もズタ袋をお忘れですよと係の人から言われます。
パリの駅でもズタ袋が沢山運ばれるシーンがあります。
ズタ袋の中身は白い下着や寝間着が入っていることがパサージュのシーンでわかります。
そのなかの1枚は血が付いて破れている。
それをお店の人が繕っています。
マチューはそれを真剣に見ています。
欲望のあいまい3
ズタ袋の意味は私にはわかりませんがこのシニカルなブラックコメディにはとても似合います。
最後の爆破のシーンは伏線として何回も起るテロの爆破やハイジャックの新聞記事で想像がつきます。
ルイス・ブニュエルの懐の深さが解る名画です。

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映画の話 その41(惑星ソラリス)


70エロワティ
アンドレイ・タルコフスキー監督の「惑星ソラリス」です。
原作はスタニスラフ・レム「ソラリスの陽のもとに」ですが、原作とはだいぶ異なっています。 solaris5.jpg
生物の存在は確認されないが、知性を持った有機体の海で覆われた惑星ソラリスを探索中の宇宙ステーション「プロメテウス」との通信が途切れたことから、心理学者のクリスは調査のために派遣される。
「プロメテウス」に到着したクリスが目にしたのは、友人の自殺死体、いないはずの人物の痕跡、そして知性を持つ有機体である海が及ぼす、不可解な現象の数々であった。
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この不可解な現象は惑星ソラリスを覆いつくすソラリスの海がなんらかの知的活動を行っており、その結果として引き起こされているものである可能性が見出された。
つまり人間の脳に接触して潜在意識の中に入りそれを実体化していたのである。
クリスの前に10年前に自殺したクリスの妻ハリーが現れる。
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ハリーはソラリスが送って来た幻であった。
一度はハリーを宇宙に飛ばすが、ハリーは生き返ってハリーのもとに戻ってくる。
次第にクリスはハリーを愛してしまう。
そしてクリスは精神的にも肉体的にも極限の状態になっていく。
クリスは母親の夢を見る。起きると隣にいるはずのハリーは見当たらない。
置き手紙があり自分から別れることにしたと書いてある。
同僚から地球に戻れと言われうなずく。
そして自分の家に戻り、窓から中を見ると家の中に雨が降っていて、父が雨の中で片付けものをしている。
そこはソラリスの海に出来た小島に再現されたものでした。
クリスは外にでて来た父に抱きつき映画は終わります。
この自分の家のシーンはとても良いです。
プロローグの実家とエピローグの実家は見事です。
日本では77年に公開され「2001年宇宙の旅」と比較されました。
キューブリック対タルコフスキー、原作のアーサー・C・クラーク対レム、音楽はツァラトゥストラはかく語りき対バッハのコラール・プレリュード、宇宙船の内部はアメリカ対ソ連、映像はスピーディ対スローなど好みの問題です。
私はキューブリックです。
タルコフスキーは好きな監督で「ノスタルジア」は大好きですが、この映画は安っぽさが目立ちます。
故郷の家や東京の高速道路、宇宙船の内部特に図書館のインテリア、ブリューゲルは頂けません。
浮遊シーンもいただけません。
一番の見所はハリーが液体窒素を飲んで自殺を図り蘇生するシーンです。
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下手なホラー映画顔負けです。
エンディングはとても素敵でした。

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映画の話 その40(仮面/ペルソナ)

68バスデウォ
ベルイマン監督1966年の作品「仮面/ペルソナ」です。
ペルソナ1
始まりから驚かされます。
現代音楽をバックに回るフィルム、男性器、蜘蛛、サイレント映画、屠殺された羊、死体の様な人々、電話で少年が起こされます。その少年が愛おしそうに触れようとしている巨大な女性の顔、そこでサブリミナル効果の様にタイトルクレジットが入ります。
ペルソナ5
舞台女優のエリザベート(L・ウルマン)は確固たる地位を築き、善良な夫と可愛い息子に恵まれて幸せであった。
ところがある日、彼女は舞台で突然セリフが喋れなくなってしまった。
それはほんの一瞬間の出来事だったから、別に大したこともなく無事演技を終えたのだったが、数日後、その発作が再発、彼女は言葉を失うと同時に、身体の動きをも失ってしまった。
病院での精密検査にもかかわらず、精神的にも肉体的にも何ら欠陥をみつけ出せなかった。
そこで担当の女医はエリザベートに、バルト海に面した自分の別荘への転地療養をすすめた。
エリザベートはつきそいの看護婦アルマ(B・アンデルソン)がひどく気に入った。
ペルソナ4
そしてアルマも言葉にならぬエリザベートの意志をたちまち理解出来るほどになった。
ある日アルマは過去におかしたいまわしい自分の誤ちを話した。
エリザベートにとって、健康でたくましいアルマの肉体はまぶしく、その上アルマの官能性が自分にのり移ってくるように感じられた。
アルマはある日、女医あてのエリザベートの手紙をぬすみ見て驚いた。
そこにはアルマが名前も素姓も分らぬ男たちと戯れた白昼の浜辺の出来事、そのあげく妊娠してしまい、同棲していた医学生に堕胎医を探してもらった思い出話などが、細かに書かれていた。
アルマは激怒し二人の仲は裂かれた。
ペルソナ3
その頃から夢ともうつつともさだかならぬ状態の中で、二人の女の心と身体は互いに感応しあい、二人の境界が曖昧になり、同体感覚をもつようになる。
そしてエリザベートとアルマの肉体は入れかわり始めたのだ。
やがてエリザベートは再び口がきけるようになった。
彼女は幼い息子のことを得々とアルマに語り、一方アルマは耐えられぬ吐き気に悩まされた。
それはエリザベートが息子をみごもった時の苦しみが、アルマの肉体に移ったのであった。
エリザベートとアルマの入れかわりはそればかりでなく、エリザベートは夫との交わりにおいても、アルマの肉体を感じた。
ペルソナ2
しかし危機はやがて去った。
エリザベートは女優として華やかにカムバックし、アルマは病院に帰った。
やはりベルイマンは白黒の魔術師です。
風景、インテリア、ファッションすべてモノクロのために作られています。
カーテンをとても効果的に多用しています。
見終わると最初のシーンが意味を持ってきます。
それにしてもL・ウルマンとB・アンデルソンの演技力は素晴らしく、全く似ていない2人がそっくりに見えてきます。
ベルイマンはすごい。

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映画の話 その39(カッコーの巣の上で)

71ボロデウォ

今回は1975年のアメリカ映画「カッコーの巣の上で」です。
アカデミー賞も取り、原作は若者に人気の高かったケン・キージーの「One Flew Over the Cuckoo's Nest」と言うことでとても話題になりました。
特にカウンターカルチャーを標榜する人達に人気がありました。
私もすぐに映画館に行きました。
カッコー
あらすじはマクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は刑務所の労役から逃れるために更生施設の牧場で暴行を働き精神病を装い、精神病院に入院する。
そこは絶対的な権限を持つラチェッド婦長が仕切っています。
ここの規則や管理体制が気に入らないマクマーフィーは全く無気力で生気のない患者達を巻き込んで婦長達に反抗を始めます。
カッコー3
ここで注目すべきはこの無気力な患者達は自分達みずから望んで入院していることです。
従っていつでも退院出来るのです。
マクマーフィーはみんなを引き連れてボートに乗り、釣りをしたり、ワールドシリーズを見せろと要求したり、反抗しますが、罰として電気ショック療法を受けるはめになります。
このとき重要な役割を演じるネイティブアメリカンのチーフ、彼は耳が聞こえず喋れないはずなのですがマクマーフィーにガムをもらい「ありがとう」と言うのです。
実は演技をしていたのでした。
ついにある日脱走を実行するのですがみんなとお別れのパーティーをしている時に酔いつぶれてしまい、翌朝婦長に見つかってしまいます。
カッコー2
さらに悪いことに見つかった仲間が婦長に責められ自殺してしまいます。
怒ったマクマーフィーは婦長の首を絞めて殺そうとしたところを取り押さえられ、隔離病棟へ連れて行かれます。
一緒に脱走しようとマクマーフィーの帰りを待つチーフのもとに戻って来たマクマーフィーはロボトミーの手術を施され、何の感情も持たない植物人間になっていました。
カッコー4
チーフは惨めなマクマーフィーをそのままに出来ず、枕を押し付け窒息死させます。
そして誇り高きインディアンとして、窓を壊し出て行くのです。
完全に管理された社会と無気力な患者、全員黒人の看護人、アイデンティティを失ったネイティブアメリカンと白人社会、など問題提起は色々ありますが、私が一番怖かったのはロボトミーです。
公開当時ロボトミーはまだ行われていたのです。
脳に穴をあけ前頭葉を切除するのです。
前頭葉は意志、学習、言語、類推、計画性、衝動の抑制、社会性などヒトをヒトたらしめている高次機能の主座です。
そこを切り取るのです。
そして感情のないロボット人間にするのです(ロボット人間にするからロボトミーではなく外科用語で葉LOBEを一塊に切除することをいう)。
もちろん廃人になります。
こんなに怖いことはありません。
当時全世界で反政府的な過激な人にロボトミー手術を施すという恐いうわさも流れました。

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「なまはげ」が来て、わるいこいねが!ろぼとみーにすっぞ!
子供も大人も怖くて泣き叫びます。


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