FC2ブログ

映画の話 その48(ヴェニスに死す)

74ノロヨノ
この映画は高齢者が見るべき映画です。
原作は10代後半に読みました。
トーマス・マンは読みやすく、三島由紀夫も絶賛していたので、ヘッセの「荒野の狼」カミユの「異邦人」ラディゲの「肉体の悪魔」とともにマンの「トニオ・クレーガー当時はトニオ・クレーゲル」は愛読書でした。
「ヴェニスに死す」は少しかったるい小説でしたがヴィスコンティが監督した映画でしたので、見に行きました。
オープニングからヴィスコンティ全開です。
ヴェニス1
冒頭から厳かに流れ来るグスタフ・マーラーの交響曲第5番第4楽章が重要です。
映像と音楽のコラボレーションでこれから起こることを暗示させます。
静養のためベニスを訪れた老作曲家アシェンバッハ(ダーク・ボガード)は、ふと出会ったポーランド貴族の少年タジオ(ビョルン・アンドレセン)に理想の美を見出す。
ヴェニス2
以来、彼は浜にタジオを求めて彷徨う。
ある日、ベニスの街中で消毒が始まる。
尋ねると、疫病が流行しているのだという。
理髪店で白髪を染め、髭を整え、おしろいを塗り、口紅を施して若作りをし、タジオの姿を求めてベニスの町を徘徊していたあるとき、彼は力尽きて倒れ、自らも感染したことを知る。
ヴェニス3
それでも彼はベニスを去らない。
疲れきった体を海辺のデッキチェアに横たえ、波光がきらめく中、彼方を指差すタジオの姿を見つめながら死んでゆく。
ヴェニス5
さすがヴィスコンティと思えるのがヴェニスの風景描写です。
観光都市ヴェニスが全く美しくなく、薄汚いのです。
天気はほとんど曇りです。
主役のリド島のホテル・デ・バンのロケは閉鎖時期を利用して徹底的に当時のままに作り替えました。
もちろんヴィスコンティのセンスで、です。
これがまた完璧です。
ホテル内は紫陽花の花が至る所に置かれています。
そして名優ダーク・ボガードの演技と、よくぞ探したビョルン・アンドレセンの美しさ、シルバーナ・マンガーノの気品です。
伏線も素敵です。
行きの船で出会うお化粧をほどこした醜い老人、ヴェニスの街で見かけたコレラで倒れこむ男性、全く同じ事がアッシェンバッハの身に起こります。
ラストの映像の美しさなども感激しました。
今自分が高齢者になりこの映画を見直して気づいたことはアッシェンバッハに感情移入をしている自分です。
高齢になり思うように動かない体(もちろん性欲も)、些細なことに腹をたてる自分、世間の動きについて行けない頭、それが恋をすれば相手が男であっても女であっても子供であってもアッシェンバッハの様になる可能性は大です。
それは時間が経たなければわからない感情です。
したがってこの映画は高齢者の映画と結論づけました(若い時と2度見るのが良い)。
ヴェニス7

「けれども彼自身は、海の中にいる蒼白い愛らしい魂の導き手が自分にほほ笑みかけ、合図しているような気がした。少年が、腰から手を放しながら遠くのほうを指し示して、希望に溢れた、際限のない世界の中に漂い浮んでいるような気がした。すると、いつもと同じように、アシェンバハは立ち上がって、少年のあとを追おうとした。椅子に倚って、わきに突っ伏して息の絶えた男を救いに人々が駆けつけたのは、それから数分後のことであった。そしてもうその日のうちに、アシェンバハの死が広く報道されて、人々は驚きつつも恭しくその死を悼んだ 」
                   トーマス・マン / 原作、高橋義孝 / 訳 新潮文庫より

8-2ウィジョヨクスモの花


ホームページ  www.ravana.jp

映画の話 その47(アポロンの地獄)

73カルトウィヨゴ
今回はパゾリーニ監督のアポロンの地獄です。
この映画を観たのは70年頃だったと思います。
狭い新宿の名画座で観ました。
当時はフェリーニ、パゾリーニ、アントニオーニが3大イタリア監督でした。
三大監督の映画を見ていないと仲間外れです。
アポロン5
ソポクレスのギリシャ悲劇「オイディプス王」を原作としています。
オープニングの男の子が誕生する家とエンディングの成長して盲目になった男が何事もなく通過するその家が印象的です。
『一人の女が、男の児を生んだ。
あどけないその赤ん坊の顔をみて、父親は暗い予感にとらわれる。
「この子は、私の愛する女の愛を奪うだろう。そして、私を殺し、私の持てるすべてを奪うであろう」。
舞台は古代、太陽に焼けただれた赤土の山中に、一人の男が赤ん坊を捨てにきた。
アポロン2
泣きさけぶ赤ん坊をさすがに殺すことはできず、男はそのまま立ち去った。
捨て子は、コリントスの王ポリュボスに届けられ、神に授かった子として王妃メローペ(A・バリ)の手で大事に育てられ、たくましい若者エディポ(F・チッティ)となった。
ある日、友だちと争い本当の子でないとののしられたエディポは、父母に事実を問いただし、否定されたがどうしても真実を知りたくて、神託をきくために思いたって旅に出る。
アポロン1
神託は恐しい言葉を、エディポに投げかける。
「お前は父を殺すだろう。そして母と情を通じるであろう。お前の運勢は呪われている」ポリュボスとメローペを実の父母と考えていたエディポは、コリントスには再び帰らぬ決心をして長い絶望の旅を続けた。
テーベの近くまできたとき、エディポは数人の兵士と従僕をしたがえたテーベの王ライオスの一行と出会った。
ライオス王に乞食あつかいにされ侮られたのを怒ったエディポは、兵士たちをつぎつぎ殺し、ライオス王をも殺した。
ただ一人、老従僕だけが、エディポの剣をのがれた。
予言は実現したが、エディポには知るよしもなかった。
テーベに到着したエディポは、人々が続々と、町を逃げて行くのに会った。
聞くと、暗黒の国からきたスフィンクスが、人々を恐怖と災いのどん底に突きおとしているとのことだった。
アポロン3
エディポは単身スフィンクスに挑戦、殺した。
スフィンクスを退治した者は、ライオス王の后イオカステ(C・マンガーノ)を妻とし、テーベの王になれるという布告が出ており、エディポは、テーベの王となった。
それから間もなく、テーベにはおそろしい疫病が流行しはじめた。
イオカステの弟クレオンが、アポロンの神託を受けてきた報告によると、これは天の怒りで、その怒りをとくためには、ライオス王の殺害者を捧げねばならないとのことだった。
エディポは犯人探索もはじめた。そのため予言者ティレシアスが召された。
ティレシアスの言葉から、その犯人が自分であるとエディポは聞かされた。
それが真実かどうか、エディポはライオス王の死を知らせたという羊飼いにあった。
その男こそが、彼を山中に捨てた男だった。
今こそエディポは真実を知った。
真実を知ったイオカステは首をつって自殺した。
エディポは自らの手で両眼をえぐり、あてのない放浪の旅に出た。
アポロン4
そして現代。
一人の盲人が、若者の肩につかまり、さまよって行く。
その顔は、エディポに、そっくりである』という話です。
全編モロッコで撮影され荒野や城が美しい。
そして主人公たちや住民のコスチュームが素晴らしい。
特に被り物がユニークです。
音楽はモーツアルト、ルーマニアなどの民族音楽、インドネシアのケチャ、特に日本の雅楽のような古典音楽がマッチしています。
極端に少ない台詞と場面場面に入る無声映画のカットタイトルの字幕が画面を引き締めます。
シルヴァーナ・マンガーノは美しい。
自殺のシーンはサービスショットなのでしょうか。
とても印象に残る映画でした。

8-2ウィジョヨクスモの花

ホームページ  www.ravana.jp



映画の話 その46(ブルースブラザーズ)

72プラゴト
ジョン・ランディス監督の「ブルース・ブラザース」です。
すべての音楽ファンにとってマストの映画です。
R&Bファンには一生の宝物です。
ブルースブラザーズ2
あらすじは『ジョリエット・ジェイク(ジョン・ベルーシ)は強盗を働き、3年の刑期を終えてシカゴ郊外の刑務所(ジョリエット刑務所)を出所する。
弟のエルウッド(ダン・エイクロイド)が彼を迎えに来ていた。
兄弟はかつて育ててくれたカトリック系の孤児院に出所の挨拶に行くが、そこで孤児院が5000ドルの固定資産税を払えないため立ち退きの瀬戸際にあることを知る。
孤児院の危機を救うため援助を申し出る二人だが、犯罪で得た汚れた金は要らないと逆に院長に追い払われてしまう。
そこで孤児院で世話を焼いてくれたカーティスに相談するとジェームス牧師の移動礼拝に行けと言う。
二人は教会で説話を聞いている最中に「バンドを作れ」と神の啓示を受ける。
こうして昔のバンド仲間を探し出しあの手この手でバンドに引き入れ、音楽で金を稼いで孤児院を救う「聖なる任務」に立ち上がる。
行く手にはイリノイやシカゴの警官、州兵、マッチョなカントリー・ミュージック・バンド、ネオナチ極右団体、そしてジェイクの命を付けねらう謎の女が待ち受ける。
あらゆる伝手を使い、満席となった会場で“凱旋コンサート”を催し、舞台裏でレコード会社の契約を受けた二人はレコーディング費用として現金$10000を手付金で受け取る。
孤児院存続に充分な資金を得た二人はブルース・モービルに乗って追手を振り切りシカゴ市本庁舎に到着、クック郡を担当する窓口で期限前に納税を済ませるも、州警察や軍隊の総動員によって身柄を拘束され刑務所に収監される』というものです。
ブルースブラザーズ4
ブレードランナーを思わせる空撮から始まり、刑務所です。
ジェイクの出所ですがまだ顔を正面から映しません。
指に彫ったジェイクのタトゥのアップです。
やっと手続きを終えて門で待っているのは弟のエルウッドです。
エルウッドも顔を映さず、指に彫ったエルウッドのタトゥのアップです。
二人とも黒のスーツに黒のネクタイ、サングラスです。
二人は抱擁します。ここで顔がアップになり「SHE CAUGHT THE KATY」です。
上手い!と思わずうなってしまいます。
二人は中古のパトカー(ブルース・モービル)に乗って孤児院へ向かいます。
車の中ではサム&デイブです。
孤児院で働くカーティスこと伝説のキャブ・キャロウエイは、後のステージで素晴らしい「MINNIE THE MOOCHER」をきかせてくれます。
ジェームス牧師のシーンはもう最高で二人が啓示を受け踊りだすシーンでは身体が動きだしてしまいます。
初めはわからなかったのですが聖歌隊にチャカ・カーンがいたのです。
バンドメンバーを捜しに行くシーンも素晴らしいのですが特にギターのマット“ギター”マーフィを勧誘に行くシーンは最高です。
かみさんのアレサ・フランクリンの「THINK」にあわせてお店のお客全員が踊りだし、誘いにきたジェイクとエルウッドも踊りだし、怒られているマット・マーフィまで身体が動いてしまいます。
そしてレイの楽器店です。
ブルースブラザーズ5
レイの歌「SHAKE A TAILFEATHER」に合わせてバンドメンバーはもちろん、店の前の通行人全員で、ツイスト、モンキー、チキン、スイム、ジャーク、マッシュポテトなどのダンスを踊ります。
この映画のハイライトです。
バンドメンバーが揃い、レイの楽器店で楽器が揃い、いよいよステージです。
田舎のカウボーイの集まるバーで初演です。
金網越しのステージでジェイクのカウントで「GIMME SOME LOVIN' 」です。
鳥肌モノです。
カントリーしか聞かない客には大ブーイングです。
カントリーを知らないバンドはとっさにテレビ映画の主題曲♪ローレン♪ローレンの「THEME FROM RAWHIDE」です。そして「Stand By Your Man」で大成功です。
ブルースブラザーズ3
バンドはパレスホテルのボールルームで一夜限りのコンサートにこぎつけます。
しかし時間になっても二人は現れません。
そこで時間稼ぎでカーティスが「「MINNIE THE MOOCHER」を歌い会場を沸かせます。
ギリギリ到着した二人は「CAN'T TURN YOU LOOSE」で迎えられ、最初の曲「EVERYBODY NEEDS SOMEBODY」を歌います。
会場は大興奮状態です。
ブルースブラザーズ
続く「SWEET HOME CHICAGO 」の途中で二人は納税するために抜け出します。
警察との大迫力のカーチェイスがあります。
音楽映画のカーチェイスとは思えない素晴らしいカメラワークです。
何台のパトカーをクラッシュさせたのでしょうか。
無事納税を済ませるのですがこの税務署員がスピルバーグ監督のカメオ出演なのです。
エンディングは逮捕されたバンドが刑務所内で「JAILHOUSE ROCK」を演奏します。
乗ってきた囚人が踊りだすのですが、一番先に踊るのがイーグルスのジョー・ウォルシュです。
最後は囚人全員が踊りだします。
何回見ても楽しい映画です。
監督のジョン・ランディスを始め、出演者はもとよりこの映画に携わった人達のブルースやR&Bに対する愛情を感じます。ジョン・ベルーシの死は早すぎました。

8-2ウィジョヨクスモの花


ホームページ  www.ravana.jp

映画の話 その45(地獄の黙示録)

70エロワティ
コッポラ監督の大作「地獄の黙示録」です。
「ディア・ハンター」より先に作られましたが撮影が延びて公開は後です。
ベトナム戦争が泥沼の中にはまり込んだ時代です。
「ディア・ハンター」の衝撃が治まらないままテアトル東京へ行きました。
黙示録1
「ディア・ハンター」同様大変疲れた映画でした。
ベトナム戦争後期、陸軍空挺士官のウィラード大尉(マーティン・シーン)はサイゴンのホテルに滞在中、軍上層部に呼び出され、元グリーンベレー隊長のカーツ大佐(マーロン・ブランド)の暗殺指令を受ける。
カーツ大佐は米軍の意向を無視して山岳民族の部隊とともに国境を越え、カンボジアに侵攻し、王国を築いているらしい。
任務の出発点、ナン川には海軍の硝戒艇と若い4人の乗員が待っていた。
ウィラードは海軍の河川哨戒艇に乗り込み、乗組員に目的地を知らせぬまま大河を遡行する。
その中で一行は戦争の狂気を目の当たりにする。
黙示録6
ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を流しながらの爆撃、サーフィンをするためにベトコンの前哨基地を襲撃する司令官(ロバート・デュヴァル)。
ジャングルに突如として出現したプレイメイトのステージ。
指揮官抜きで戦い続ける最前線の兵士。
プランテーションを経営するフランス人入植者達。
そして目的地に近づくにつれ、騒がしさは薄れ、静けさと静けさゆえの狂気がウィラードたちを包み込み始める。
原住民からの攻撃は、もはや現実の出来事とも思えない。
黙示録5
しかし現実に乗組員は死傷し、ウィラードは何とか王国にたどり着く。
出迎えたのは、狂った白人カメラマン。
彼の案内で、ウィラードは王国に入り、カーツ大佐と邂逅する。
黙示録4
カーツは自分がどんな地獄を見てきたかを語り“地獄を知らぬ者に私を裁く権利はない”と言う。
そしてウィラードに帰国したら息子へ真実を伝えて欲しいと依頼する。
さらに訓練された兵士は手を下すときに躊躇をしてはいけないと暗にウィラードを誘導する。
黙示録2
ウィラードはカーツが裏切り者の脱走兵ではなく誇り高い軍人としての死を望んでいることを悟り、カーツ殺害を実行する。
カーツは抵抗しようとはしなかった。
ウィラードはカーツの手記を持ち、ランスとともに川を下る。
黙示録3
軍から何度も無線の呼び出しがあるが、ウィラードは無線を切ってしまう。
今回、新たに見たのはコッポラ自身が49分のフッテージを追加した特別完全版です。
プランテーションを経営するフランス人入植者達のエピソードは必要だったのかわかりません。
オープニングはヤシのジャングルとヘリコプターで「ジ・エンド」のイントロが流れてきます。
ジム・モリソンのボーカルと同時にナパーム弾がジャングルを焼尽します。
マーティン・シーンの顔のアップと天井の扇風機。
扇風機の羽根とヘリコプターの羽がシンクロして始まります。
沢山のヘリが朝日の中を飛んでいきます。
前半の主役は間違いなくヘリコプターで脇役はロバート・デュヴァルです。
ヘリからのナパーム弾の投下はまるで仕掛け花火を見ている様です。
中盤の主役は乗組員のクリーン(ローレンス・フィシュバーン)です。
後半の主役はもちろんウィラードとカーツです。
脇役はデニス・ホッパーとカーツが居住するクメール寺院です。
この映画の主役であるウィラードもカーツも生死ぎりぎりの戦場でしか生きていけないPTSD(戦争後遺症)でお互いに似た者どうしであることを直感します。
「ディア・ハンター」でも主役の二人はPTSDです。
この2つの映画に共通するのは戦闘シーンがあまりないことです。
それにもかかわらず戦争の恐怖を描ききっていることです。
コッポラもチミノも完全主義者です。完全主義者バンザイ!

8-2ウィジョヨクスモの花

ホームページ  www.ravana.jp

映画の話 その44(ディア・ハンター)

68バスデウォ
マイケル・チミノ監督のディア・ハンターです。
あまり知識がなくベトナム戦争映画のひとつと思って軽い気持ちで見ましたがとても重い3時間でした。
ディアハンター
ペンシルベニア州ピッツバーグの鉄工所で働くマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーブン(ジョン・サヴェージ)、スタン(ジョン・カザール)、アクセル(チャック・アスペグレン)、ジョン(ジョージ・ズンザ)は休日になれば鹿狩りに行く仲の良いグループである。
そんな彼らにもベトナム戦争の影が迫っていた。
徴兵されてベトナムに向かうマイケル、ニック、スティーブンの壮行会が、スティーブンとアンジェラ(ルターニャ・アルダ)の結婚式も兼ねて行われた。ディアハンター2
彼女は別の男との子供を妊娠していたが、スティーブンはそれを承知の上で式に臨んだ。
式も終わりに近づく頃、ニックは突然リンダ(メリル・ストリープ)に結婚の申込みをする。
彼女は喜んでそれを受け入れた。
一夜明けて彼らは揃って鹿狩りに出かけ、マイケルは見事な鹿を仕留めた。
ディア・ハンター7
彼らはヴェトナムの前線に贈られ、捕虜となってしまう。
閉じ込められた小屋の中ではロシアンルーレットが行われていた。
北ベトナムの兵士たちは捕虜に一発の弾の込められたリボルバーを渡し、それを自らのこめかみに向け引き金を引かせて、それを楽しんでいた。
銃弾が放たれる音を聞いたスティーブンは発狂寸前となった。
だが冷静なマイケルはサディスティックな北ベトナムの兵士の心理を逆に利用して脱出することを考えた。
そこで彼は半狂乱を演じながら兵士たちに弾倉に込める弾を3発に増やすことを提案した。
ディアハンター5
このことは兵士たちにとって自分達を瞬時に殺傷する機会を相手に与えてしまうことを意味したが、愚かにも彼らはそれに気が付かず、複数の弾の込められた銃をマイケルに渡してしまった。
果たして目論見は成功し、隙をついたマイケルは次々に北ベトナム兵士たちを射殺しスティーブンとニックを連れて脱出に成功した。
ディアハンター4
丸太にしがみついて濁流を下るところを自軍のヘリコプターに見つけられたが、マイケルとスティーブンは力尽き川へと落ちてしまい、ニックだけがヘリコプターで救出される。
スティーブンは脚を骨折したが2人は無事救出される。
ニックはサイゴンの町に繰り出し、そこでロシアンルーレットの賭けに興じる集団を目にする。
観衆の中にはマイケルもいたが、ニックは彼に気づいていない。
怪しげな男からプレーヤーになれば金を稼げるという誘いを受け、すぐに断ったニックだったが、実際に引き金が引かれるのを目にした彼は急に使われていた銃を奪い自らのこめかみに当てると、躊躇なくその引き金を引いた。
弾は出ない。
場が騒然となる中、呼び止めようとするマイケルの声も届かず、彼は誘いかけた男と夜の闇へ消えていった。
2年後、マイケルは帰還。
故郷の仲間たちはマイケルを温かく迎えたが、彼はどこかよそよそしく、ベトナムへ発つ前とは雰囲気が変わっていた。
スタン達と久々の鹿狩りにでかけるマイケルだが、鹿を仕留めることはできなかった。
そのころスティーブンは両脚を失い陸軍病院で治療の日々を送っていた。
スティーブンを訪ね、サイゴンから彼宛に謎の送金があることを聞いたマイケルは、ニックの生存を確信し陥落寸前のサイゴンへ飛んだ。
賭博小屋でプレイヤーとなりロシアンルーレットに没頭するニックを発見し連れ帰ろうとするが、ニックにはマイケルの記憶がない。
ニックの記憶を呼び戻すために、マイケルは自分の命を懸けニックと対峙する。
ディア・ハンター8
マイケルはニックへの思いを語り家へ帰るよう説得しながら引き金を引くが発砲しない。
マイケルがかつての鹿狩りの思い出を語ると嬉しそうに微笑むニック。
鹿狩りの記憶が甦ってきた刹那、銃弾がニックのこめかみを打ち抜いた。
倒れるニックを抱きかかえ泣くマイケル。
ニックの遺体はマイケルによって故郷に帰され、かつてスティーブンの結婚式が行われた町の教会で葬式が行われた。
ディアハンター3
こんなに精神的にきつい映画はありませんでした。
そして素晴らしい映画に巡り会ったことに感謝しました。
オープニングから流れるスタンリー・マイヤーズのメインテーマ「カヴァティーナ」です。
なんて美しいメロディでしょうか、ジョン・ウィリアムスのギターが素晴らしい。
前半で主人公達の性格を描写し、戦場での体験、除隊後の心の変化を自然に描いています。
鹿狩りから帰ってきて、バーに集まったみんなの表情が素晴らしい。
帰還したが家には戻れず、モーテルに泊まるマイケルがとても良いです。
マイケルがニックの遺体を持って帰り、葬式のあとみんなでバーに集まり朝食の用意をし、ゴッドブレスアメリカを歌い、ニックに献杯をした所で終わります。
とても良いエンディングです。
そして「カヴァティーナ」が流れクレジットです。
完璧主義者マイケルチミノ監督はすごい。

8-2ウィジョヨクスモの花


ホームページ  www.ravana.jp