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寺院の彫刻 その61(シヴァ11 ラーヴァナに恩恵を授けるシヴァ)

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「ラーヴァナに恩恵を授けるシヴァ」は「カイラーサ山を揺さぶるラーヴァナ」とも言われ、この方が一般的です。
『ランカーの王ラーヴァナがシャラヴァナという所にやってきて、山に登ろうとしたが彼の戦車プシュパカは動こうとしなかった。ラーヴァナはサルの顔をしたシヴァの従者ナンディケーシュヴァラという矮人に会い、彼に戦車が動かない理由をたずねた。彼はシヴァがウマ−(パールヴァティー)と山頂で遊戯に耽っているので、神々ですら山を越えることは禁じられていると答えた。ラーヴァナは激怒し、シヴァとは何者かと尋ね、ナンディケーシュヴァラをあざ笑った。そしてカイラーサ山を10本の腕で持ち上げた。山は揺れウマーは恐怖に震えシヴァの腕にしがみついた。シヴァは山の揺れる理由を知り、山を足で押さえつけ、ラーヴァナを山の下に閉じ込めてしまった。ラーヴァナは1000年泣きながらシヴァの賛歌を唱えた。シヴァはやっと彼を許し刀剣(チャンドラハース月の刃)を授けランカーに帰らせた。』という話です。
私の名前ravanaはこの羅刹の王ラーヴァナravanaから戴きました。
ravanaのコピー
ラーヴァナについては寺院の彫刻 その29(ラーマ2)を参照してください。
形態は多面多臂のラーヴァナがカイラーサ山を持ち上げ、山の頂上にはシヴァと怯えたパールヴァティーが座っているところが有名です。
ELLORA CAVE16(8世紀)のカイラーサナータ寺院です。
ここには有名な「カイラーサ山を揺さぶるラーヴァナ」があります。
立膝でカイラーサ山を持ち上げるラーヴァナ、カイラーサ山には左右に門番がおり、ガナがいます。頂上で怯えてシヴァにすがりつくパールヴァティーがいます。
さらに上空には神々がおります。
1カイラーサE-CAVE16051
CAVE29(6世紀後半)も良い出来です。
2カイラーサE-CAVE29006
ELEPHANTA(6世紀中頃)の彫刻は残念なことに保存状態が良くありません。
ラーヴァナも頭部がわからず、シヴァの右腕に寄り添うパールヴァティーもわかりません。
残った部分から、かなりの作品であることがわかります。
3カイラーサELEPHA076
南インドのMAHAKUTAにあるMAHAKUTESHVARA寺院(7世紀)の基壇の彫刻です。
カイラーサ山を揺さぶるラーヴァナと山頂で怯えるパールヴァティーの顎を愛撫する余裕のシヴァです。
左隣の彫刻は前回お話ししたアルダナーリーシュヴァラです。
4カイラーサ
南インドのMAMALLAPURAMにあるOLAKKANATHA 寺院(8世紀初め)の壁龕に彫刻されています。
ここは昔の灯台と言われています。
おそらく漆喰が塗られていたと思われます。
5カイラーサLIGHT006
KANCHIPURAMにあるMATANGESHWARA寺院(8世紀)のポーチの彫刻です。
面白いのは未完成でこれから細部を掘っていく様子がよくわかります。
6カイラーサMATANGESHWARA
同じ時期のMUKTESHWARA寺院(8世紀)のポーチの彫刻は完成しています。
13MUKTE009.jpg
南インドのDARASURAM にあるAIRAVATESHVARA寺院(12世紀後半)の壁龕の彫刻です。
3段になっており、一番下にラーヴァナと彼の乗り物の戦車(プシュパカ)2段目は山の動物と神々、3段目にシヴァとパールヴァティーが彫刻されています。
7カイラーサAIRAVATESHVARA(DARASURAM)
南インドのPATTADAKALにあるVIRUPAKSHA寺院(740年)のポーチの柱の彫刻です。
とても細かい彫刻です。
8カイラーサVIRUPAKSHA
もう一つこの寺院の壁龕に興味深い彫刻があります。
崩壊がひどいので良くわかりませんが、下部に戦車に乗ったラーヴァナ、左側におそらくシヴァの従者ナンディケーシュヴァラ(ナンディケーシュヴァラは矮人で小人の筈ですが)か?、上部にはシヴァとパールヴァティーが彫刻されています。
9カイラーサVIRUPAKSHA
南インドのKORAVANGALAMにある BUCHESHWARA寺院(13世紀初め)です。
このホイサラ朝の寺院はとても不思議でした。
壁龕にカイラーサ山を揺さぶるラーヴァナは彫刻されているのですが上部にシヴァとパールヴァティーの彫刻がないのです。
少し離れて見てみるとなんと屋根にシヴァとパールヴァティが彫ってありました。
10カイラーサ
同じホイサラ朝の寺院BELURのCHENNA KESHAVA寺院(12世紀前半)はとても細かい彫刻で彫られています。
11chenna keshava-2(BELUR)
東インドBHUBANESWARのSATRUGHNESHWAR(7世紀中頃)寺院のシカラにはすばらしいカイラーサ山を揺さぶるラーヴァナの彫刻があります。
ラーヴァナの上部には愛し合っているシヴァとパールヴァティー、その隣にはガネーシャと孔雀に乗るスカンダが彫刻されています。
カイラーサ17
カイラーサ16
しかしなんといっても傑作はPARASURAMESHWAR(7世紀中頃)の彫刻です。
ラーヴァナの表情、それを取り囲むバカにしたようなガナたち、上部にはシヴァファミリー、チャームンダー、ガネーシャ、ドゥルガー、スカンダなどが彫刻され、特に素晴らしいのはとてもエロティックなシヴァとパールヴァティーです。
14カイラーサ
カイラーサ15
PARASURAMESHWARの彫刻はインドで一番好きな彫刻です。
「カイラーサ山を揺さぶるラーヴァナ」はインドではとても有名なシヴァ神話で全国的に気に入られたモチーフです。

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寺院の彫刻 その60(シヴァ10 両性具有のシヴァ2)

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東南アジアのアルダーナーリーシュヴァラを調べてみますと、彫像は見つかりましたが、寺院彫刻はありませんでした。
東南アジアで寺院彫刻が沢山見られるのはカンボジア・タイ・ベトナム・インドネシアです。
特に多いのはクメール帝国のカンボジアとタイです。
8アルダナリー
クメールの王たちはインドの宗教(思想)を利用して国を統治しました。
ほとんどの王はヒンドゥー教のシヴァ神を絶対神として崇め、王とシヴァ神が合体して王が世界を治める現人神信仰を作り上げました。
そしてその合体する場所として寺院を建立し、王の名前のついたシヴァリンガを祀りました。
従ってクメール寺院のほとんどはシヴァ派の寺院です。
寺院彫刻もシヴァに因んだものが多いはずですが、あまり種類は多くはありません。
ほとんどが「ナタラージャ」か「ナンディに乗るシヴァとウマー」です。
一つはインドの寺院と違い壁龕を作りそこに彫刻したり、身舎に彫刻したりせず、楣や破風に彫刻するため場所が限られる、もう一つはシヴァの話はヴィシュヌに比べて面白くない(ヴィシュヌにはラーマやクリシュナがいる)からだと思います。
そのようなことでアルダナーリーは見つかりませんでした。
9アルダナリー
しかしすでに5世紀には彫像が制作されていたので、早い時期に伝わったことは間違いありません。
ハリハラもそうですが彫刻よりも彫像の方が魅力的な題材なのでしょう。
それでは彫像を見てみます。
とても古い5世紀のアルダナーリーです。
1アルダナリーシュヴァラ(ウボンラチャタニー出土バンコク国立)5世紀
カンボジアとタイの国境に近いウボンラチャタニーで出土し、現在バンコクの国立博物館に保存されています。
とても不思議なのは坐像なことです。
インドでもあまり見かけません。
蓮華座の上に胡座で座り、両手は手首で破損しています。
頭髪は変わりありませんが、シヴァ側にメダリオンのようなものがついています。
顔は左右で違います。
第三の目は半分、目、鼻、口とパールヴァティー側は優しく、シヴァ側は男らしく、ヒゲも蓄えています。
腰衣も左右違います。
10世紀初めのアルダナーリーはバケーン様式で堂々としています。
2アルダナリーシュヴァラ10世紀初め
右半分のシヴァ側は円筒形の髷に三日月の半分を表しています。
左半分のパールヴァティーは三重の宝冠です。
第三の目は半分でパールヴァティー側は若干優しく作られています。
胸はインドほど強調されていません。
ウエストのくびれも気がつかないほどです。
腰衣は素材は同じようで模様が違います。
次も同じ時期の作品です。
3アルダナリーシュヴァラ10世紀初め
10世紀後半のコーケー様式のアルダナーリーです。
4アルダナリーシュヴァラ10世紀初め
頭部もあまり変わらず、半分の第三の目と左のパールヴァティーのイアリングが目立つ程度です。
同じく10世紀コーケー様式のアルダナーリーがホノルル美術館にあります。
5アルダナーリー10Stone_sculpture_of_Ardhanarishvara_from_Cambodia,_Koh_Ker_style,_10th_century,_Honolulu_Academy_of_Arts
この像は今までの像と比べてスタイルが良く、パールバティー側の胸の下のシワの線がありません。
着衣はとてもシンプルです。
バッタンバンで見つかった13世紀のアルダナーリーは肉感的です。
6アルダナリーシュヴァラ13世紀BATTAMBANG
そのほか東ジャワで見つかった14〜15世紀の像はアルダナーリーと言われていますが、よくわかりません。
7Ardhanari, East Java, 14-15th c
東ジャワの像は神に似せた王、女王のポートレートスタチューが多く、宝冠が左右少し違うようにも見えますが、顔、胸、腰、着衣に違いが見つかりません。
ベトナムでも見つかりませんでした。
東南アジアでは作品として地味ですので、寺院彫刻としてはあまり使用されないモチーフです。
そのかわり彫像としては魅力的な題材だったと思われます。

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寺院の彫刻 その59(シヴァ9 両性具有のシヴァ)

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今回はアルダナーリーシュヴァラ(両性具有のシヴァ)の彫刻です。
アルダナーリーシュヴァラとは身体の右半分はシヴァ神、左半分は妃のパールヴァティーで表された神です。
アルダナーリー15
シヴァとパールヴァティーがカイラーサ山の頂きに座っていた時、神々や聖者たちは彼に敬意を表す為にカイラーサ山に出かけた。ブリンギィ聖者を除き、彼らはシヴァとパールヴァティーの周囲を巡り、お辞儀をしながら崇拝した。ブリンギィ聖者はシヴァ神のみを崇拝する誓いを持っていたため、パールヴァティーを無視した。パールヴァティーは彼に腹を立て、彼の血肉が身体から消え失せ、骨皮のみが残るように心に念じた。パールヴァティーの念が通じ、ブリンギィ聖者は身を支えることは出来なくなった。シヴァは彼のあわれな状態を見て、彼に第三の足を与えたので彼は平衡を保つことが出来た。ブリンギィ聖者は喜び踊を演じてシヴァを讃えた。パールヴァティーの意図は失敗に帰し、彼女は悩み苦しみ、シヴァから恩恵を得るため苦行に励んだ。シヴァは彼女の苦行に喜び、自分との結合を許した。こうしてシヴァにより、男女の合体(アルダナーリー アルダ=半、ナーリー=女性)からなる神が生まれた。ブリンギィ聖者はシヴァ神のみを崇拝するためにその神の周囲を巡ることは難しくなってしまった。しかし彼はその障害にひるまず甲虫の姿をとり、合体神に穴をあけてシヴァ神の周囲を巡って崇拝し、パールヴァティーをも讃えた。彼女は彼の信心深い誓いの固さに祝福を与えた』という話です。
シヴァとブリンギィ聖者 SANGAMESVARA寺院
写ー1
アルダナーリーは一般的に、右半分はシヴァ、左半分は豊かな胸を持った神妃パールヴァティーです。
豊満な片胸と共に通常、女性側の脇腹はくびれ、丸みを帯びる腰が艶めかしく強調され、装飾品も左半分と右半分は明瞭に区別されます。
一般的にはナンディと共に彫刻されることがほとんどです。
ナンディに寄りかかるか、トリヴァンガ(三屈法)の姿勢です。
それでは見ていきます。
マトゥラー博物館にある5世紀のアルダナーリーシュヴァラ像ですが首から上しか残っていません。
特徴のある豊満な片胸も衣装もありませんが、頭髪右半分は荒々しいシヴァの左半分は美しいパールヴァティーのものです。
さらに左側のイアリングと左半分の顔の優しさでアルダナーリーと解ります。
マトゥラー博物館 5世紀
アルダナーリー1MATHURA博物館5世紀
さらに古い像がロサンゼルスカウンティ美術館にあります。
マトゥーラで見つかった2〜3世紀の像です。
ロサンゼルスカウンティ美術館 2〜3世紀
アルダナーリー2 2~3世記マツゥラーロス美術館
南インドのBADAMI第1窟には素晴らしいアルダナーリーがあります。
6世紀後半の製作で片胸を楽器ビーナで隠すようにして不自然感をなくしています。
ナンディとブリンギィも一緒です。
BADAMI第1窟 6世紀後半
アルダナーリー3
同じ6世紀後半の南インドのAIHOLEにあるRAVANAPADI窟のアルダナーリーは傑作です。
頭からつま先までシヴァとパールヴァティーの合体象です。
とても素敵な顔立ちです。シヴァは三叉戟を持っています。
RAVANAPADI窟 6世紀後半
アルダナーリー4
MAMALLAPURAMのDHARMARAJA RATHA(7世紀)の壁龕にあるアルダナーリーは左半分は女性なのですがとても不自然な体型で顔もシヴァそのもので魅力がありません。
DHARMARAJA RATHA 7世紀
アルダナーリー5
これに対しMAHAKUTAにあるSANGAMESHVARA(7世紀)の壁龕のアルダナーリーはとても美しいトリヴァンガのポーズをとっており、まるでパールヴァティーです。
シヴァ側の太ももの衣装はトラでしょうか。
SANGAMESHVARA 7世紀
アルダナーリー6
ELEPHANTA(6世紀)のアルダナーリーは傑作です。
とても神々しく威厳に満ちた彫刻ですが、残念なことに下部が崩壊しています。
ナンディに寄りかかり、周囲には神々や天人、天女が集まってきています。
ELEPHANTA 6世紀
アルダナーリー7
南インドのALAMPURにあるSANGAMESHWARA寺院のアルダナリーは最高傑作です。
SANGAMESHWARA 6世紀
アルダナーリー8
同じALAMPUR のSVARGA BRAHMA寺院(7世紀)は彫刻の宝庫です。
壁龕にアルダナーリーが彫られているのですが、人為的に顔と胸がえぐり取られています。
とても残念です。
シヴァ側の太腿に人面(トラ)が彫られているのが解ります。
SVARGA BRAHMA寺院 7世紀
アルダナーリー9
TAMIL NADUのMUVARKOVIL寺院(10世紀)は蓮の基壇を持つ祠堂が三つ並んで作られましたが、現在は二つです。
その身舎の壁龕にこの地方独特の優しいアルダナーリーとナンディが彫られています。
MUVARKOVIL寺院 10世紀
アルダナーリー10
同じ寺院からの出土したアルダナーリーがPUD博物館に展示されています。
PUD博物館 10世紀
アルダナーリー11PUD MUS DSCF0205 Ardhanar
もう一つこの地方の最高傑作がタンジャブールのNAYAK PALACE ART MUSEUMに展示されています。
NAYAK PALACE ART MUSEUM 10世紀
アルダナーリー12NAYAK PALACE ART MUSEUM10セイキ、タンジャブール
GANGAIKONDACOLAPURAMのBRIHADISHVARA寺院(1025年)壁龕のアルダナーリーは大きく立体感があります。アルダナーリーシュヴァラは全土で見つかりますが、特に南インドでアルダナーリーシュヴァラはとても愛されているようです。
BRIHADISHVARA寺院 1025年
アルダナーリー13
インドは不思議な国です。
以前お話ししたハリハラは最高神のシヴァとヴィシュヌを合体させた神です。
今回はシヴァと妃パールヴァティーの合体です。

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寺院の彫刻 その58(シヴァ8 三都を破壊するシヴァ)

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今回は三都を破壊するシヴァ(TRIPURANTAKAMURTI)の彫刻です。 
『神々に滅ぼされた巨人魔族のターラカ王には3人の息子がいた。彼らは魔族の復活を願って激しい苦行を行い、満足したブラフマー神は彼らの望みをかなえてやることにした。3兄弟は不死を望んだがそれはかなえられず、かわりに「3兄弟がそれぞれの都市の王となり、その世界を支配出来るよう望む。そして三都を一矢で突き抜けさせる強弓の引き手のみが征服者となりうる不滅の都市が欲しいのです」と望み、かなえられた。3兄弟は天界に黄金の都市、空中に銀製の都市、地上に鉄製の都市をそれぞれ造った。3人の魔王はあっという間に三界を征服し、世界中の人々に対して圧政を行った。
見かねたインドラ神はこれらの都市を攻撃したが3魔王は強かった。インドラ神はブラフマー神に相談した。
ブラフマー神は「三都を一矢で貫通させる力を持つのはシヴァ神のみである」と語ったので、神々はシヴァ神に三都の破壊を依頼した。シヴァ神は「あの3兄弟は何としても滅ぼさなければならない。私の力だけでは及ばないのですべての神々の力を半分ずつ私に貸してほしい」と述べた。同席した神々は了承しこのとき以来シヴァ神はマハーデーヴァと呼ばれるようになった。
シヴァ17
三都攻撃の準備は着々と進められ、大地はシヴァが乗る戦車に、太陽と月は戦車の車輪に、4っのヴェーダは4頭の馬に、ブラフマーは御者に、メール山は弓に、海は矢筒に、そしてヴィシュヌは矢に姿を変えてシヴァを援護した。シヴァ神が三都に向かうと、三都は合体して堅牢無比なひとつの城になった。しかしシヴァ神が渾身の力を振り絞り弓を引くと、放たれた矢は見事に三都を貫通し、3人の魔王もろとも砕け散った』という話です。
彫刻をみてみますと、典型的な形は戦車に乗り、巨大な弓を引き、御者はブラフマーです。
もう一つの形はBRIHADISHVARA寺院(TANJAVUR)の二階の壁龕全てに彫刻されている巨大な弓を持つ単独の立像です。4臂で弓、矢、三叉戟を持ちトリバンガの姿勢で描かれます。
南インドエローラのCAVE-16窟(8世紀中頃)の壁面の彫刻です。
ELLORA CAVE-16
1エローラ16
戦車に乗り、巨大な弓を引き、御者のブラフマーの典型的な像です。下部は崩壊していますが上部にはアプサラ、ガンダルヴァ、ナンディなどが彫刻されています。
もう一つELLORA CAVE-15にあります。
ELLORA CAVE-15
2E-CAVE15019
完璧な彫刻ですが真っ暗の中なので、綺麗に写真が撮れませんでした。
南インドのKANCHIPURAMのKAILASANATHA寺院(8世紀初め)です。
KAILASANATHA寺院
4KAILASANATHA
寺院の境内の外壁に沿って作られた小部屋にある彫刻です。漆喰が剥がれています。
南インドALAMPURのSVARGABRAHMA寺院(689年)です。
SVARGABRAHMA寺院
5svargabrahma
下部は崩壊していますが、戦車とブラフマーの御者で「三都を破壊するシヴァ」である事がわかります。
南インドのMAMALLAPURAMの海岸寺院(8世紀初め)です。
SHORE TEMPLE 
6SHORE TEMPLE
海岸に建ち、外壁に彫刻されているが風化がひどい。
南インドPATTADAKALのKASHIVISHVANATHA寺院(8世紀後半)です。
KASHIVISHVANATHA寺院
7KASHIVISHVANATHA2
内部の柱の彫刻です。忠実に彫られています。
南インドMAHAKUTAのMAHAKUTESHVARA寺院(7世紀後半)です。
MAHAKUTESHVARA寺院
8マハークータ
基壇は細かい神話の彫刻で埋め尽くされています。その中におそらく「三都を破壊するシヴァ」と思われる彫刻があります。
南インドTANJAVUR のBRIHADISHVARA寺院( 1010年)上部壁龕全てに彫刻されている巨大な弓を持つ単独像です。
BRIHADISHVARA寺院
11BRIHADISHVARA(TANJAVUR)2
12BRIHADISHVARA(TANJAVUR)2
13BRIHADISHVARA(TANJAVUR)2
全て少しずつ違いますが共通するのは4臂で弓、矢、三叉戟を持っている事です。
南インドCIDAMBARAMのNATARAJA寺院です。
14CIDAMBARAM.jpg
ゴープラム(楼門)の壁龕に彫刻されています。両脇に女神を載せています。
VIJAYANAGARAのVIRUPAKSHA寺院(13〜17世紀)の天井に描かれています。
VIRUPAKSHA寺院
16ハンピ2
マンダパの天井にはヴィシュヌの化身、方位神、シヴァ神話、ラーマーヤナなどの天井画が描かれている。
デリー博物館にもあります。
デリー博物館
15、10世紀デリー博
典型的な彫刻です。

東南アジアでは見つかりませんでした。

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寺院の彫刻 その57 (シヴァ7 象の魔神を退治するシヴァ) 

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前回の「アンダカを退治するシヴァ 」と良く似た彫刻「象の魔神を退治するシヴァ Gajasamharamurti」の神話です。
「カーシー(ベナレス)にクリッティヴァーセーシュヴァラと呼ばれるリンガがあった。
そのリンガの周囲にバラモン僧が集まり、瞑想に耽っていた時、象に姿を変えた魔人が瞑想を妨害しようとした。
その時シヴァがリンガから姿を現し、その象を殺し、その皮をはぎ取り身につけた」という話です。
この像の見分け方は頭上で象の皮を拡げている、象の上で踊る、頭髪はボサボサである、などです。
まずはエローラのCAVE16窟(8世紀中頃)です。
CAVE16窟
1エローラ16
とても微妙な彫刻です。
象の上で踊っていませんが三叉戟で悪魔を刺していないので「象の魔神を退治するシヴァ 」としました。
南インドKANCHIPURAMのKAILASANATHA寺院(8世紀初め)の彫刻です。
この彫刻は本殿やマンダパではなくこれらを取り囲む小祠堂に彫刻されています。
KAILASANATHA寺院
2KAILASANATHA
象の皮を拡げ、象を踏みつけるシヴァです。
表面が漆喰で塗られていたのですがだいぶ剥がれてしまっています。
足元にはパールヴァティーがいます。
もう一つKAILASANATHA寺院(8世紀初め)にあります。
KAILASANATHA寺院
3KAILASANATHA
本殿の壁龕上部に彫刻され、象の皮を拡げ、象を踏みつけています。
KANCHIPURAMのIRAVATANESHWARA寺院(8世紀初め)です。
IRAVATANESHWARA寺院
4IRAVATANESHWARA
KAILASANATHA寺院と同じ8世紀の初めに建立された寺院で、こじんまりしています。
壁龕に彫刻され象の皮を拡げ、象を踏みつけています。
KANCHIPURAMのMUKTESHWAR寺院(8世紀中頃)の入り口ポーチに彫刻されています。
MUKTESHWAR寺院
5MUKTE011
お尻をこちらに向けて体をひねったポーズで未完成の石の上で踊っています。
足元ではガナもおどっています。
南インドのPATTADAKALにあるMALLIKARJUNA寺院(745年)です。
MALLIKARJUNA寺院
6MALLIKARJUNA
未完成ですが一目で「象の魔神を退治するシヴァ 」と解ります。
同じPATTADAKALのSANGAMESVARA寺院(8世紀初め)です。
SANGAMESVARA寺院
7SANGAMESVARA
これも未完成ですが「象の魔神を退治するシヴァ 」と解ります。
PATTADAKALのKASHIVISHVANATHA寺院(8世紀後半)の内部の柱の彫刻パネルです。
KASHIVISHVANATHA寺院
8KASHIVISHVANATHA
シンプルに象の皮を拡げています。
タミルナード州KALAIYURのAGASTYESHVARA寺院(10世紀)の壁龕です。
AGASTYESHVARA寺院
9AGASTYESHVARA(KALAIYUR)
この寺院は現在も使用されていますので、信者が供物を捧げていきます。
スリムで整った彫刻です。
PULLAMANGAIのBRAHMAPURISVARA寺院(10世紀初め)です。
BRAHMAPURISVARA寺院
10BRAHMAPURISVARA(PULLAMANGAI).jpg
彫刻が素晴らしい寺院です。
このチョーラ朝の寺院は本殿の周囲に堀が巡らされ祠堂が水に浮かんでいる様に設計されています。
「象の魔神を退治するシヴァ 」をはじめとしてたくさんの神話の彫刻が基壇に彫られています。 
南インドのカルナータカ州にある後期チョーラ朝寺院やホイサラ朝の寺院では良く見かけます。
LAKKUNDIのKASIVI SVESVARA寺院(12世紀)です。
KASIVI SVESVARA寺院
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MUKTESHWAR寺院の様に尻をこちらに向けて体をひねったポーズで悪魔の上で踊っています。
ガネーシャやパールヴァティーもいます。
とても素晴らしデザインです。
BASARALUのホイサラ朝寺院MALLIKARJUNA寺院(1234年)の基壇はホイサラ朝独特の精密な彫刻で埋め尽くされています。
MALLIKARJUNA寺院
12MALLIKARJUNA(BASARALU).jpg
象の頭の上で踊っていますがシヴァ全体を象の皮で覆っている面白い意匠です。
HALEBIDのHOYSALESHWARA寺院(12世紀中頃)の彫刻も素晴らしい出来です。
HOYSALESHWARA寺院
13ホイサレーシュヴァラ
MALLIKARJUNA寺院と同じ意匠ですがさらに細かく精密です。
VELURのCHENNAKESHAVA寺院(1117年)です。
CHENNAKESHAVA寺院
14チェンナケーシャヴァ
重要なホイサラ寺院で圧倒的な腕の数、象の周りの人々、迫力があります。
DARASURAMの博物館に素晴らしい「象の魔神を退治するシヴァ」の彫像があります。
Nayak Palace Art Museum
15Darasuram, Nayak Palace Art Museum
シヴァのポーズが感動的です。Thanjavurの Rajarajesvara寺院で見つかりました。
象の魔神を退治するシヴァの彫刻も東南アジアでは見つかりませんでした。 

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