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寺院の彫刻 その57 (シヴァ7 象の魔神を退治するシヴァ) 

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前回の「アンダカを退治するシヴァ 」と良く似た彫刻「象の魔神を退治するシヴァ Gajasamharamurti」の神話です。
「カーシー(ベナレス)にクリッティヴァーセーシュヴァラと呼ばれるリンガがあった。
そのリンガの周囲にバラモン僧が集まり、瞑想に耽っていた時、象に姿を変えた魔人が瞑想を妨害しようとした。
その時シヴァがリンガから姿を現し、その象を殺し、その皮をはぎ取り身につけた」という話です。
この像の見分け方は頭上で象の皮を拡げている、象の上で踊る、頭髪はボサボサである、などです。
まずはエローラのCAVE16窟(8世紀中頃)です。
CAVE16窟
1エローラ16
とても微妙な彫刻です。
象の上で踊っていませんが三叉戟で悪魔を刺していないので「象の魔神を退治するシヴァ 」としました。
南インドKANCHIPURAMのKAILASANATHA寺院(8世紀初め)の彫刻です。
この彫刻は本殿やマンダパではなくこれらを取り囲む小祠堂に彫刻されています。
KAILASANATHA寺院
2KAILASANATHA
象の皮を拡げ、象を踏みつけるシヴァです。
表面が漆喰で塗られていたのですがだいぶ剥がれてしまっています。
足元にはパールヴァティーがいます。
もう一つKAILASANATHA寺院(8世紀初め)にあります。
KAILASANATHA寺院
3KAILASANATHA
本殿の壁龕上部に彫刻され、象の皮を拡げ、象を踏みつけています。
KANCHIPURAMのIRAVATANESHWARA寺院(8世紀初め)です。
IRAVATANESHWARA寺院
4IRAVATANESHWARA
KAILASANATHA寺院と同じ8世紀の初めに建立された寺院で、こじんまりしています。
壁龕に彫刻され象の皮を拡げ、象を踏みつけています。
KANCHIPURAMのMUKTESHWAR寺院(8世紀中頃)の入り口ポーチに彫刻されています。
MUKTESHWAR寺院
5MUKTE011
お尻をこちらに向けて体をひねったポーズで未完成の石の上で踊っています。
足元ではガナもおどっています。
南インドのPATTADAKALにあるMALLIKARJUNA寺院(745年)です。
MALLIKARJUNA寺院
6MALLIKARJUNA
未完成ですが一目で「象の魔神を退治するシヴァ 」と解ります。
同じPATTADAKALのSANGAMESVARA寺院(8世紀初め)です。
SANGAMESVARA寺院
7SANGAMESVARA
これも未完成ですが「象の魔神を退治するシヴァ 」と解ります。
PATTADAKALのKASHIVISHVANATHA寺院(8世紀後半)の内部の柱の彫刻パネルです。
KASHIVISHVANATHA寺院
8KASHIVISHVANATHA
シンプルに象の皮を拡げています。
タミルナード州KALAIYURのAGASTYESHVARA寺院(10世紀)の壁龕です。
AGASTYESHVARA寺院
9AGASTYESHVARA(KALAIYUR)
この寺院は現在も使用されていますので、信者が供物を捧げていきます。
スリムで整った彫刻です。
PULLAMANGAIのBRAHMAPURISVARA寺院(10世紀初め)です。
BRAHMAPURISVARA寺院
10BRAHMAPURISVARA(PULLAMANGAI).jpg
彫刻が素晴らしい寺院です。
このチョーラ朝の寺院は本殿の周囲に堀が巡らされ祠堂が水に浮かんでいる様に設計されています。
「象の魔神を退治するシヴァ 」をはじめとしてたくさんの神話の彫刻が基壇に彫られています。 
南インドのカルナータカ州にある後期チョーラ朝寺院やホイサラ朝の寺院では良く見かけます。
LAKKUNDIのKASIVI SVESVARA寺院(12世紀)です。
KASIVI SVESVARA寺院
11KASIVI004.jpg
MUKTESHWAR寺院の様に尻をこちらに向けて体をひねったポーズで悪魔の上で踊っています。
ガネーシャやパールヴァティーもいます。
とても素晴らしデザインです。
BASARALUのホイサラ朝寺院MALLIKARJUNA寺院(1234年)の基壇はホイサラ朝独特の精密な彫刻で埋め尽くされています。
MALLIKARJUNA寺院
12MALLIKARJUNA(BASARALU).jpg
象の頭の上で踊っていますがシヴァ全体を象の皮で覆っている面白い意匠です。
HALEBIDのHOYSALESHWARA寺院(12世紀中頃)の彫刻も素晴らしい出来です。
HOYSALESHWARA寺院
13ホイサレーシュヴァラ
MALLIKARJUNA寺院と同じ意匠ですがさらに細かく精密です。
VELURのCHENNAKESHAVA寺院(1117年)です。
CHENNAKESHAVA寺院
14チェンナケーシャヴァ
重要なホイサラ寺院で圧倒的な腕の数、象の周りの人々、迫力があります。
DARASURAMの博物館に素晴らしい「象の魔神を退治するシヴァ」の彫像があります。
Nayak Palace Art Museum
15Darasuram, Nayak Palace Art Museum
シヴァのポーズが感動的です。Thanjavurの Rajarajesvara寺院で見つかりました。
象の魔神を退治するシヴァの彫刻も東南アジアでは見つかりませんでした。 

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寺院の彫刻 その56(シヴァ6 アンダカを退治するシヴァ)

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今回のシヴァ神の神話は魔神アンダカを退治する話です。
『魔族のアンダカは勢力を蓄え、神々に敵対するようになった。しかもシヴァ神の妻パールヴァティーに恋し、彼女を奪おうとさえした。アンダカの横暴にシヴァ神はアンダカ成敗を決意し、魔族と全面戦争の態勢に入った。シヴァは戦いのため3匹の蛇を造り2匹を腕輪とし、1匹を聖紐とした。また1000の頭と1000の眼を持つヴィーラバドラという怪物を作り出した。アンダカに味方する魔族ニーラはシヴァを殺そうと魔象の姿でカイラス山に赴いた。ところが従者ナンディンに正体を見破られ ヴィーラバドラに報告された。ヴィーラバドラはたちまち魔象を殺してその生皮をシヴァ神に献上した。シヴァ神は血の滴る象の生皮を身体にまとい、蛇を巻き付け、三叉戟を振りかざして主戦場に向かった。ヴィシュヌ神を始め多くの神々が応援に駆けつけた。激しい攻防の末、シヴァ神とアンダカの一騎打ちとなり,シヴァ神の放った矢がアンダカに命中した。アンダカの傷口から血が滴り落ち地面に触れると、一滴ずつから別のアンダカが誕生した。数千に増えたアンダカはシヴァ神を包囲する。これを見たヴィシュヌ神はアンダカの分身達を円盤で切り刻み、シヴァ神は冷静に本物のアンダカを見つけ三叉戟を投げつけ、殺した。こうして勝利はシヴァ神を始め神々のものとなった 』という話です。
この神話を主題にした彫刻では、シヴァ神は多臂で手に様々な武器を持ち、象の皮を背後に大きく拡げ、象の頭の上で舞踊のポーズをとると神話関係の書籍に書かれていますが、この図像は後に述べる「象の魔神を殺すシヴァ 」と非常によく似ています。
今回私独自の分類で「アンダカ殺すシヴァ 」の図像は三叉戟で悪魔を刺す、悪魔を踏みつけるが象の上で舞踊のポーズはとらない、この2点で分けたいと思います。
はじめにエローラのCAVE-15窟(8世紀中頃)の像です
                 ELLORA CAVE-15
1E-CAVE15004
三叉戟で悪魔を刺し、頭上に象の皮を拡げ、悪魔を踏みつけている典型的な「アンダカを退治するシヴァ 」の像です。
おそらく三叉戟で刺されたアンダカの傷口から流れる血を受け止めるために、チャームンダー(シヴァ の妃の一人)が杯を差し出しています。
シヴァ の腕の一つも杯を差し出しています。
素晴らしい彫刻です。
同じエローラのCAVE-16窟(8世紀中頃)の像です。
                 ELLORA CAVE-16
2E-CAVE16037.jpg
15窟の像と比べるとだいぶ稚拙ですが、三叉戟で悪魔を串刺しにして、頭上で象の皮を広げ、血を受け止める杯を持っている構図は同じです。
同じエローラのCAVE-29窟(6世紀終わり)の像です。
                 ELLORA CAVE-29
2E-CAVE29004
残念なことに三叉戟を持つ腕が破損してしまいましたが悪魔を刺しています。
頭上には象の皮を広げ、腕の一つで杯を持ち、血を受け止めています。
右側にはおそらく妃のパールヴァティーが腰かけています。
これととてもよく似た図像がエレファンタ島(6世紀)にあります。
                 ELEPHANTA CAVE
3elephanta
保存状態がとても悪く下部はほとんど解りませんが、三叉戟によって刺された悪魔とその血を受ける杯を持った腕は確認できます。
象の皮を持った指と象の頭が解ります。
上部にはたくさんの神が集まっています。
南インドALAMPURのSANGAMESHWARA寺院(6世紀中頃)の壁龕にあります。
                SANGAMESHWARA寺院
4SANGAMESHWARA
三叉戟で悪魔を刺す典型的な図像です。
しかし腕がほとんど失われてしまっているので血を受け止める杯や頭上の象の皮は良く解りません。
悪魔を踏みつけ、足元にはガネーシャが彫られています。
同じALAMPURの博物館にも展示されています。
                 ALAMPUR博物館
5alampur博物館
典型的な図像で保存状態もまあまあです。
南インドPATTADAKALのGALAGANATHA寺院(8世紀)です。
                GALAGANATHA寺院
6GALAGANATHA
壁面の窓に彫刻されています。
横幅があまり取れないのでシンプルですが典型的な図像です。
シヴァの顔がとても穏やかで美しいとおもいます。
同じPATTADAKALのKASHIVISHVANATHA寺院(8世紀後半)です。
               KASHIVISHVANATHA寺院
7KASHIVISHVANATHA
この寺院の内部の柱には神話のパネルが沢山あります。
逆光になってしまって解りづらいのですが、典型的な図像で悪魔を踏みつけています。
左右に女神が彫られているようですが向かって右側はパールヴァティーでしょうか。
左側は踊っているようです。
チェンナイのプリンスオブウェールズ博物館にも展示されています。
              プリンスオブウェールズ博物館
8PRINCE023
8世紀のカルナータカ州で発見されたアンダカを退治するシヴァの彫刻です。
ほとんどの彫刻が向かって右向きなのに対し、この像は左向きです。
PATTADAKALのVIRUPAKSHA寺院(745年)の壁龕の彫刻も左向きです。
                VIRUPAKSHA寺院
9VIRUPAKSHA
中インドRAJIMのRAJIVALOCHANA寺院(8世紀)にも素晴らしい彫刻があります。
                RAJIVALOCHANA寺院
10Rajim-122.jpg
4腕で前2本で三叉戟を持ち、悪魔を指します。
後ろ2本で象の皮を拡げます。
タッチが南インドとだいぶ違います。
ELLORA CAVE-15と同じ様に、チャームンダーが血を受けます。 
同じ中央インドのSHIVPURIにあるSURWAYA寺院(10〜14世紀)です。
                 SURWAYA寺院
11Surwaya-137マディヤプラディシュ
ほぼ完全に残っており、典型的なアンダカを退治するシヴァの彫刻です。
8腕全ての持ち物がわかります。
チャームンダーが血を受け、悪魔を踏みつける足元にナンディがいます。

東南アジアでは「アンダカを退治するシヴァ」の彫刻は見つかりませんでした。
次回は非常によく似た「象の魔神を殺すシヴァ 」を見てみたいと思います。

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寺院の彫刻 その55(シヴァ5 ナタラージャ3)

PANATA103 2
ナタラージャの彫刻は東南アジアでも見ることができます。
カンボジアの至宝と言われるバンティアイ・スレイ寺院(967年)には素晴らしいナタラージャの彫刻があります。
東第一塔門の破風には10腕の威厳のあるシヴァ、右下にはカーライッカル・アンマイヤール、左下には打楽器を叩く人が厚肉堀りで彫刻されています。
インド本国に勝るとも劣らない傑作です。
1SREI025
バコン寺院(881年)の破風にも彫刻されていますが、創建当時のものではなく、のちに彫られたものです。
残念ながら保存状態が良くなく特に下半身は分かりません。
2BAKON124
プノンペンの南50kmにあるプノム・チソール寺院(11世紀)の破風にもナタラージャの彫刻がありますが、やはり保存状態が良くありません。
しかしカーライッカル・アンマイヤールはわかります。
3CHISSOR049
バンティアイ・サムレ寺院(12世紀)には寺院内部にあるために比較的保存状態の良いナタラージャがあります。
カーラの上で踊り、従者は破壊されてわかりませんが、左右のシンハはわかります。
4SAMURE198
同じような構図のナタラージャがプリア・ピトゥ寺院(12世紀)にあります。
5PITHU041
バッタンバンの博物館にもありました。
6BATTAMBANG博物館
東北タイのクメール寺院でも好まれ、ピマイ寺院(11~12世紀)の破風に彫刻されています。
10腕で頭には宝冠をかぶり、足元には従者を従えています。
一番左にはあばらが浮き出たカーライッカル・アンマイヤールがいます。
7PHIMAI023
パノム・ルン寺院(12世紀)の破風のナタラージャは素晴らしい出来です。
10腕で足元に従者を従えています。
カーライッカル・アンマイヤールやガネーシャもいます。
ピマイ寺院と構図は似ていますが宝冠や顔立ちが違います。
8RUNG077
もう一つ印象的なのがサコンナコンにあるNARAI JAENG WAENG寺院(11世紀)の破風にあります。
他の像とは異なり12腕でガネーシャを伴う従者を連れています。
面白いのは上部の左右に木に登るリスが彫られていることです。
9WAENG010
ベトナムのチャンパ遺跡でも見つかります。
聖地ミソン(7~13世紀)の博物館にナタラージャの破風が2つ展示されています。
1つは8腕で左右に従者が捧げ物(蓮華?)をしています。
蓮の上で踊っており、足元の左右にはマカラが彫刻されています。
奇妙なのはシヴァの胸にトカゲのような動物が彫刻されていることです。
シヴァの妻の一人チャームンダーにはサソリが彫刻されていますが、トカゲは初めて見ます。
10ミソン025
もう1つは残念ながら上部が崩壊してわかりませんが下部はよく残っています。
従者の楽団に合わせて踊るカーライッカル・アンマイヤール、ナンディなどで、右側の人物はよくわかりません。
11ミソン038
寺院ではポーン・クロン・ガライ寺院(13~14世紀)の破風に彫刻されています。
6腕で宝冠やアクセサリーの彫刻が細かく美しいです。
12ガライ011
ダナンにあるチャム彫刻博物館にも数点あります。16腕、10腕、4腕などバライティーに飛んでいます。
13cham.jpg
14cham.jpg
インドシナ半島においては好まれて作られましたが、インドネシアでは見つからず、やっと博物館で一点だけ見つけました。
東ジャワのSINGOSARI寺院で見つかった像です。
バイラヴァとしてのシヴァです。
15singo.jpg
ヴィシュヌ派よりも圧倒的にシヴァ派の寺院が多いインドネシアで意外でした。
シヴァの立像や坐像は沢山あるのですがナタラージャ像はほとんどありませんでした。
余談ですがシヴァの妃であるドゥルガー女神の「水牛の悪魔を退治するドゥルガー」の彫像が東南アジアで一番沢山見つかっているのはインドネシアです。
ナタラージャ像は東南アジアでとても好まれたようです。

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寺院の彫刻 その54(シヴァ4 ナタラージャ2)

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今回は石積寺院に彫刻されているナタラージャを見ていきます。
シヴァ派の寺院ではシカラの正面のメダリオンにナタラージャが彫刻されています。
壁龕などの彫刻はやはり南インドに集中しています。
アランプール近郊のSANGAMESHWARA寺院はチャールキア朝で最も早い6世紀中頃の建立で素晴らしい彫刻が沢山あります。
ナタラージャは恐らく18腕で下部にはミュージシャンが彫刻され、カーライッカルアンマイヤールも確認できます。
1sangameshwara
  SANGAMESHWARA寺院 6世紀中頃 
  同じ時期のバーダーミの石窟に勝るとも劣らない
  18腕の欠損が惜しまれる
  足の間から顔を出すカーライッカル・アンマイヤールの
  スタイルはこの時には出来ている
  

  








この像によく似た像がアランプールのSVARGA BRAHMA寺院にあります。
7世紀の建立で、窓のパネルに彫刻されています。
16腕で下部にはナンディ、ガネーシャ、ミュージシャン、カーライッカル・アンマイヤールなどが彫られています。
2SVARGA BRAHMAA
  SVARGA BRAHMA寺院 7世紀
  この像も保存状態の悪さが惜しまれる。
  足下の取り巻き連中が素晴らしい












アランプールの博物館にも11〜12世紀のナタラージャが展示されています。
4腕です。
3alampur博物館
  アランプール博物館 11〜12世紀
  














パッタダカルの寺院群(8世紀)にも見つかります。
KASHIVISHVANATHA寺院の内部の柱に彫刻されています。
6腕みたいです。
4KASHIVISHVANATHA
  KASHIVISHVANATHA寺院 8世紀
  この寺院の柱にはシヴァやヴィシュヌの
  素晴らしい彫刻パネルがある
  







JAMBULINGA寺院のシカラにあるメダリオンはナンディとパールヴァティーが彫られています。
5JAMBULINGA
  JAMBULINGA寺院 8世紀
  北型のシカラにメダリオン
  8腕で女神とナンディ
  上部にはガンダルヴァ、下部にはナーガ












MALLIKARJUNA寺院の壁龕のナタラージャは8腕で上部の楣にはシヴァとパールヴァティーが彫刻されています。
6MALLIKARJUNA
  MALLIKARJUNA寺院 8世紀
  上部には座すシヴァとパールヴァティーと
  ナンディ、左右にはマカラが掘られているが
  未完成












PAPANATHA寺院の天井には4腕でパールヴァティーを伴った素晴らしいナタラージャが彫刻されています。
7PAPANATHA
  PAPANATHA寺院 8世紀
  矮人の上で踊るシヴァ
  ハスの上にパールヴァティー
  ナンディ
  足下にミュージシャン





VIRUPAKSHA寺院の壁龕のナタラージャは4腕で矮人を踏みつけています。
頭髪のドクロを始めアクセサリーなどの彫刻がとても細かく綺麗です。
上部にはアプサラとガンダルヴァが彫刻されています。
8VIRUPAKSHA.jpg
  VIRUPAKSHA寺院  8世紀
  アクセサリーが素晴らしい
  ナンディの杖を持っている
  上部のアプサラとガンダルヴァの動きが良い










東インドのブヴァネーシュヴァルにある7世紀初めのSATRUGHNESHWAR寺院は最初期の寺院で保存状態は良くありませんが、壁龕に素晴らしいナタラージャがあります。
恐らく性器が勃起していたと思われます(初期のシヴァ像は勃起例が多い)。
下部に孔雀に乗るスカンダ、ナンデイが彫刻されています。
9SATRG012
  SATRUGHNESHWAR寺院 7世紀初め
  右下にナンディ
  左下に孔雀に乗るスカンダ












8世紀のVAITAL DEUL寺院は特殊な屋根の形をしています。
シカラ正面のメダリオンには12腕のナタラージャが彫刻されていますが性器が勃起しています。
独特の素晴らしい彫刻です。
9VAITAL020
  VAITAL DEUL寺院 8世紀
  顔の表情が素晴らしい
  右手にはヘビ、足下にナンディ
  左手で女性の顎を撫でている(?)






ブバネーシュヴァルの寺院のシカラに掘られたメダリオンはどれも素晴らしい出来です。
ピンクの美しい砂岩 のMUKTESHWAR寺院(10世紀)のシカラにもメダリオンではありませんがナタラージャが掘られています。
10MUKTE086.jpg
  MUKTESHWAR寺院 10世紀
  シカラの中央にガンディのボーと呼ばれる彫刻
  その上に龕を作りナタラージャの彫刻












南インドのホイサラー寺院では、必ずと言って良いほど見かけます。
HALEBID のHOYSALESHWARA寺院ではカーライッカル・アンマイヤールと楽団を引き連れた12腕のシヴァと矮人の上で踊る12腕のシヴァが見られます。
11HOYSAL029.jpg
  HOYSALESHWARA寺院 12世紀
  ホイサラー独特の衣裳
  ミュージシャン達が良い













南インドのカンチープラムのKAILASANATHA寺院の壁龕です。
しゃがんだシヴァのナタラージャです。
10腕です。
13KAILASANATHA2
  KAILASANATHA寺院 8世紀初め
  いわゆるタイプEと言われるナタラージャ














同じ形のナタラージャがパッタダカルのVIRUPAKSHA寺院にあります。
保存状態は良くありませんが10腕でそっくりです。
14VIRUPAKSHA4
  VIRUPAKSHA寺院 733〜746年
  タイプEのナタラージャ














タミルナードでの必見はCIDAMBARAMのその名もNATARAJA 寺院です。
12〜13世紀の寺院で参拝客がひっきりなしに訪れる大寺院です。
ここにはシヴァの踊りの108のポーズ全てが壁面に彫刻され、この寺院は舞踊家の聖地です。
15NATARAJA.jpg
  NATARAJA 寺院 12〜13世紀
  南インド独特の巨大なゴープラム
  ゴープラムの壁面にダンスのポーズ














16NATARAJA2.jpg
  NATARAJA 寺院 12〜13世紀
  108の小さなパネルにポーズが
  彫刻されている。













GANGAIKONDACOLAPURAMのBRIHADISHVARA寺院の壁龕には矮人の上で踊る4腕のシヴァの足元に三本足のブルンギ、さらに基壇にミュージシャンとカーライッカル・アンマイヤールが彫刻されています。
17GANGAIKONDACOLAPURAM2
  BRIHADISHVARA寺院 1025年
  このパネルには全て揃っている
  足下は矮人、左に三本足のブルンギ
  右にドゥルガー女神
  基壇にカーライッカル・アンマイヤールと
  ミュージシャン









次回は東南アジアのナタラージャを調べます。

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寺院の彫刻 その53(シヴァ3 ナタラージャ)

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シヴァ神を表すリンガとともに有名なシヴァ神の形態(ムルティ)はナタラージャと呼ばれるダンスのポーズです。
それゆえ舞踊王とも呼ばれ、その踊りは9つの型に分類され108のポーズがあります。
いずれも宇宙の創造、維持、破壊、幻惑、開放などを表していると言われます。
ナタラージャは寺院に彫刻されていますが、南インドでは12世紀頃から、ブロンズ像として沢山作られました。
1ナタラージャ12世紀
『あるときシヴァ神は、彼に敵対する宗派の集会を訪れた。
そこに集まった1万人聖仙に真の信仰を説こうとしたのである。
ところが彼らは呪文によってシヴァ神を苦しめようとした。
しかしシヴァ神に呪文は何の効き目もなかったので、聖仙達は獰猛なトラを出現させて襲いかからせた。
シヴァ神は微笑みながら小指の爪でトラの生皮を剥ぎ、身体にまとった。
怒った聖仙達は猛毒を持つ大蛇を出現させた。
シヴァ神はこれに対しても驚かずその大蛇を首にかけた。
聖仙達は今度は全身が真っ黒な小人の悪魔を出現させた。
小人の悪魔は棍棒を手に襲いかかったが、シヴァ神は小人を踏みつけるように踊り始めた。
聖仙達は無言のまま舞踏を見つめていたが次第に引き込まれ、霊妙なリズムが聖仙の心に波動となって響き渡り、眼も眩むほど見せられたのである。
すると突然天界が開けてそこから神々がシヴァ神の舞踏を見つめているのが見えた。
聖仙達はシヴァ神こそ真実の信仰を伝えるものと悟った。
そして、彼の足下にひれ伏して心の底から礼拝したのである』という話です。
PB030661.jpg
古代社会において、舞踏は宗教儀式と結びついた大変重要な行為です。
狂躁、陶酔、エクスタシーを伴う再生、創造を象徴する宗教儀式です。
シヴァ神が舞踏王とされるのは、彼自身がそうした狂躁行為を通じて宇宙を破壊し、さらには再生に導くという役割を担っていたからです。
ナタラージャ像における、腕の数は一定していません。4、8、10、16、18など様々です。
足元は矮人(小人の悪魔)を踏みつけています。
一般に足下には音楽隊や従者を引き連れています。
その中に特徴的なカーライッカル・アンマイヤール、三本足のブルンギもいます。
カーライッカル・アンマイヤールは狂信的なシヴァ信者です。
元は大変美しい女性でしたが、修行の邪魔になるので神に祈り、ガイコツのような容姿にしてもらいました。
ブルンギも狂信的なシヴァ信者です。
それでは石窟寺院におけるナタラージャの彫刻から見ていきます。
南インドのバーダーミの石窟は第4窟まであります。
バーダーミ第1窟(6世紀後半)はシヴァ神に捧げられた窟で入り口に素晴らしいナタラージャの彫刻があります。
CAVE-1.jpg
18腕ですごい迫力です。
多腕に不自然さはなく、足元にナンディとガネーシャ、打楽器奏者を従えています。
同じ南インドのアイホーレにあるラーヴァナパディ(6世紀後半)には細身のナタラージャが彫刻されています。10腕で蛇の使い方がとても上手です。足元にはガネーシャとスカンダが彫刻されています。写真には写っていませんが、スカンダの隣にはパールヴァティーが彫刻されています。
RAVANAPADI.jpg
7世紀前半のエローラの石窟にはたくさんのナタラージャの彫刻があります。
エローラ14窟のナタラージャは8腕で腰に巻いた蛇が印象的です。
E-CAVE14004.jpg
ミュージシャンと子供の手をひく女神が彫刻されています。
エローラ15窟のナタラージャは暗くてよく解りませんが8腕で伸び伸びした像です。
足下にはミュージシャン達がいます。
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エローラ16窟カイラーサナータ寺院のナタラージャは8腕で優しい感じがします。
残念なことに右足は失われています。
足下にはミュージシャン達です。
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エローラ21窟のナタラージャも暗くてよく見えませんが8腕で女性のような顔つきと身体で光背があります。
上部には神々が下部にはミュージシャンが描かれています。
股の間からカーライッカル・アンマイヤールがのぞいています。
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エローラ29窟のナタラージャはあまり良い出来ではありません。
ミュージシャンは上部に、そして神々が囲んでいます。
E-CAVE29011 2
開窟時期がはっきりしない(6〜8世紀)エレファンタ島の石窟にも素晴らしいナタラージャがあります。
8腕で腰から下は崩壊しています。
周囲をガネーシャやブラフマー神など沢山の神々に囲まれています。
ELEPHA088.jpg
同じくボンベイ近郊のMANDAPESVAR石窟にもナタラージャの大パネルがあります。
6世紀と言われ、エレファンタと同じような構図です。
8腕で同じように神々に囲まれています。
下部にはミュージシャンが彫られ、カーライッカル・アンマイヤールも見つかります。
MANDAPESVAR.jpg
彫刻ではありませんが同時期の彫像があります。
表情もスタイルもよく似ています。
足下にはナンディとミュージシャン、足の間にはダンサーも見えます。
素晴らしい彫像です。
シヴァグプタ
これら石窟寺院の彫刻は6世紀から8世紀のもので、とても迫力があり、おおらかです。
次回は寺院の彫刻を見たいと思います。

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